インチキ女神、観戦の本音
テレビをつけても、ラジオを聞いても、どうしてもサッカーの話題にひっかかる。
我が家の屋根裏のクモの巣のように、決して避けて通れないくらいその話題で溢れている。
サッカーワールドカップ決勝 フランス対クロアチア の試合が日曜日に迫っている。
20年ぶりの優勝がかかっているフランスに住んでいるんだから、まぁ仕方がないんだろう。
20年前はまだ、フランスには来ていなかったので、私は1998年の優勝当時のフランスは知らない。
今回は最初から期待が持てる代表だったからなのだろうか?
ワールドカップ開始前から、1998年の優勝時のワールドカップのダイジェストやら、当時の代表 VS FIFA選抜チームのマッチとか、かなりテレビでもいろいろ放送していたようだ。見てないけど。
そして予選ではナンダカンダと批判されたりしていたようだが、ちゃんと決勝までたどり着いたわけだ。
相手は3試合連続延長戦、しかも1日休日が少なく、層もフランスよりは薄く、さらに初の決勝というクロアチア。なんだかスラムダンク感のあるチーム。
2006年のやはり決勝で、ジズー(当時のキャプテン、ジダンの愛称)の頭づき→レッドカード退場→PKでイタリアに負け、という衝撃とトラウマを持つフランス人は、ちゃんとクロアチアを警戒するぞ!「何が起こるかわからんぞー油断しないでおこー」という空気も流れているように思う。
我が家のオットと子供らはもちろんフランスを応援している。
「延長3回連続とか、初の決勝とか、なんかクロアチアって応援したくなる要素あるよね」とムスメ。
あ、やっぱ、わかってるんだ、そこは。
「そうだねー、やっぱどちらの国にも関係なければ、クロアチアを応援したくなっちゃうものかもね」と私。
「フン!関係ないし!他の人がどこを応援しても、フランスが勝てばいいし」とムスコ。
「……でも、ママはフランス応援するよね?」
う。
そこ確認してくるあたり、母をよく知ってるな。
うーん、…まぁ、ねぇ。
正直、クロアチアが勝っても面白いな、と思う部分がある。
でもフランスに住んでいようが、オット子供がフランス人だろうが、私がクロアチアを応援してもいいはずだ、と言うと
「そうだけど!今まで見てきた試合、いつもママが応援しているチームが勝っている気がするもん!フランス応援して!」
謎の勝利の女神説でっち上げ。
「は? 日本は? 応援してたけど?」
「………」
「で、でも、ずっとフランスに住んでるんだし!」←最初に戻る
日本については、華麗にスルーされた。
だいたい、たまたま長く住んではいるが、愛着心はかけらも持っていない。
老後はギリシャかニュージーランドがいいな、なんてフンワリ思っている。
日本代表も、最初からすごく応援していたわけでもない。
試合中継を見ながら、「あ、あの選手の表情いいな」とか「あ、このシーン好きだな」みたいな、言葉にはできないちっちゃなイイネ!が心の柔らかい場所に積み重なっていって、いつのまにか、イイネ!がヤッタネ!になる。
「なんかもうちょっと見たい」という気分がぼやっと形成される。
サッカー中継は選手がなにを話しているのかはわからないので、表情やジェスチャー、態度を見ることになるが、日本選手のそれは馴染みがあるだけ、イイネ!が増えやすかった、というだけだ。
といっても、相手国のシーンでイイネ!も当然あって、だから「どちらかをちゃんと応援する」というスタンスでスポーツを見れないことが多い。
実は準決勝のフランス VS ベルギー戦も、4.9割ぐらいの気持ちはベルギーを応援していた気がする。日本戦で見てたから、ベルギーへのイイネ!は結構知らぬまに積み重なっていたのだろう。
応援しているチームが勝つと嬉しいから、というよりも、その試合中継でどんな素敵なイイネが見つかるかな?という視点で見ている。
ドラマや映画を見ている感覚だ。
フランスVSクロアチア戦も、そんなスタンスで見ることになるんだろう。
まぁ、フランスの今回のヒール役っぽさに若干ひかれもする。(昔から嫌われ役に弱い)
なんとなくフランスを応援して、勝ったら「ママの応援するチームは勝つ(注 日本以外)」という、謎の勝利の女神説を定着させようかな。
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