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リモート組織を賦活する?!「体験作文」実践レポ

2021年7月某日。

仕事において、自分の力不足を猛省するとともに、大きな学びになった出来事がありました。
その経験を忘れずに次の実践へと繋げるべく、
所属しているMIMIGURIの仲間である瀧 知惠美さんがご紹介されていた「体験作文」を初めて書いてみることにしました。

その結果、書くことで自分のリフレクションになったのはもちろん、社内のみんなにも共有することで

・共有したいナレッジについて解像度高く追体験してもらえた
・書いた人(自分)について理解を深めてもらえた
・他メンバーによる同ナレッジについての深堀りや探索にも繋がった


など、さまざまな良いことがありました。

…これは!
コミュニケーションが希薄になりがちなリモートワークで、雑談に代わる新たな組織活性化の手段として活きるかも?!と思ったので、まだ聞き慣れない方も多いであろう「体験作文」について、その実体験および効果をシェアします。


体験作文の書き方は?


まずは書いてみましょう!ということで。
前述の瀧さんのnoteから体験作文の書き方について引用します。

体験作文とは、自分が経験したできごとについて、そのとき自分が考えていたこと、感じたことなどの内面を含め、一人称視点で詳細に記述した文章です。要は、小学校のときに書いていた作文を思い出しながら書くようなイメージです。

ポイントは「内面を含め」「一人称視点で詳細に」を遵守することで、書式は何でも良いと感じました。
理由は後述します。

私の場合は、ある平日の深夜、前触れもなくslackのtimes(分報)にてイキナリ体験作文を投稿し始める、というやりかたで書きましたw

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ゆるいイラストのアイコンと切れ味鋭めのタイトルのコントラストね。
※「Garden」は所属チームの名称

作文は事前に編集したものではなく、まさにその時書いているものを適当な文字数で切りながら投稿していたので、リアルタイムで見てくれていたメンバーもいたそうです。ありがたや。

全文は掲載できないのですが、コンペという、他社競合も存在する状況でクライアントへとご提案させていただく場面で「MIMIGURIらしく戦おう」と考えていた自分が、その考え方の誤りや自分たちのご提案に足りていなかったものに気が付くまでの顛末を、
それまでのキャリアでの経験を踏まえたデザインのご提案の在り方についての葛藤や、自分が「そう在りたい」と考えるMIMIGURI デザイナーとしての姿などについて、しいては「MIMIGURIらしさとは?」の自分なりの解釈に至るまで、行為と心象を交えて詳細に記載しています。

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↑提案内容を判断する上での葛藤と、そのバックグラウンドにあたる自分のキャリアの話

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↑自分たちの「らしさ」に気が付いていくようす


約1時間ほど思いの丈を綴り、気づいたら3,730文字のそこそこ大作になっていました。原稿用紙10枚分。

こんな感じで自分の場合はslackの分報を活用して記載しましたが、
瀧さんのように資料形式でまとめるのも素晴らしいですし、Notionなどを活用するのも良いかと思います。

このように書式は何でも良いので、「内面を含め」「一人称視点で詳細に」書いていきます。


体験作文の効果とは?


・MIMIGURIらしさに言及しているのが嬉しくて号泣
・新たな気づきを得られた
・オンボード資料にしたい
・別のプロジェクトにも繋がりそう
・体験作文って続けて読むと解像度が上がるシステムすげぇ
・自分の思う「こうあってほしい」の数々が散りばめられていて、なんというか、とてもエモい感情になった
・これまでのキャリアや葛藤なんかも書かれていて…すごかった
・竹内さん天才パネェ+こういう意識で仕事したいと盛り上がるkitchen(※チームの名称)なう

などなど、
リアルタイムで読んでいた方々から即感想をもらったり、翌朝さらに社内拡散が広がったり…多くの方から感想をいただきました。

また、

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体験作文を読んで、そこで触れられていたナレッジから今後どのような改善が出来るか、という議論・探索に繋がったりもしていました(めっちゃ嬉しい)。


まとめると、冒頭に記載した内容の再掲になるのですが

・共有したいナレッジについて解像度高く追体験してもらえた
・書いた人(自分)について理解を深めてもらえた
・他メンバーによる同ナレッジについての深堀りや探索にも繋がった

といった効果がありました。


体験作文の効果はなぜ生まれる?


では、このような効果はなぜ生まれたのでしょうか。
冒頭の瀧さんのnoteでも、下記のように記載されています。

体験作文を活用しながらデザイン活動の省察をすることで、デザインの「行為」と「心象」を一体のものとして表現することが、デザインの実践知を表出させることにつながっていると考えられるのではないでしょうか。


ふだん業務上のナレッジをシェアする際に、具体的な行為やそのロジックは共有しても、その裏に隠された心象を共有することはまれではないかと思います。

オフラインで業務を進めていた頃は、心象は口に出さずとも、
「○○さんがとても充実した表情をしている、良いことがあったのかな」
「○○さんたちと一緒にプレゼンをやり遂げた!達成感がある!」といったようなポジティブな心象も、
「○○さん、表情が曇っている。少し悩んでいるのかな?」
「うまく提案が通らなかった…○○さんがとても悔しそうだ、自分も悔しい」といった葛藤や悔しい想いも。。。

同じ場に居ることで多かれ少なかれ感じ取ることができ、ひとつひとつの出来事や行為がどれだけ重要な意味を持つのか、その裏側に秘められた心象部分まで、非言語でのコミュニケーションからも周りも感じ取ることができたのではないでしょうか。

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一方、リモートワーク環境下では、オンラインミーティング中などを除き相手の顔は見えなくなり、「察する」ことがが難しい、一人ひとりに発話を求める言語コミュニケーションが主体になりました。

そんなコミュニケーションの変化が起こる中、リモート環境下でもチームの求心力を維持するために、例えば積極的に雑談の機会を創設するなど、さまざまな施策を採り入れ試行錯誤しているチームも多いのではないかと思います。

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雑談が主に「業務外」のメンバーの行為や心象を表出させる手段だとしたら、体験作文は「業務内」のメンバーの行為の裏に隠れた「心象」を表出させることができる手段だと思います。

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オフラインでは同じ場に居ることでさまざまな心象を言語・非言語両方のコミュニケーションにより仲間と共にしましたが、
オンラインでも自分主語で自分の行為と心象を体験作文に込めて詳しく文章にすることで、読んだ相手にも没入感高く自分の実践について共有でき、また、心象を含んだからこそ、多くの人が解像度高く追体験でき、次の実践にも繋がったのでは?と思います。


体験作文が活きる組織とは?


ここまで「体験作文めっちゃ万能めっちゃイイ」みたいに書いてきましたが、ここで注意が必要だなと思うことが1点あります。
体験作文はどんな組織でも有用か?というと、そんなことはない!ということです(少なくとも私はそう思います)。

体験作文が有用である組織には、絶対的に欠かせない2つの要素があると思います。

①心理的安全性が担保されている組織であること
②メンバー同士がお互いに興味関心を抱いている組織であること

心理的安全性が担保されておらず、「こんなこと書いたら変と思われるかも…」「怒られるかも…」と感じるような組織であれば、そもそもメンバーは体験作文を書こうと思わないか、仮に強制的に書かせたとしても形骸化し心象が十分に表出しない、本来であれば望めた効果が望めない体験作文になってしまうでしょう。

また、せっかく体験作文を書いたメンバーがいたとしても、誰もそれを読まなかったり、読んだけれどそこから何かを考察したりリアクションしたりする人がいなければ、筆者のリフレクションにはなれど、組織の活性化には繋がらないでしょう。

今回、私が体験作文を書こうと思いつき、多くのみんなからリアクションをしてもらえたのも、瀧さんが体験作文について組織内外に広める活動されていたことはもちろん、MIMIGURIが①②ともに満たしている組織であるからだと思います!BIG LOVE!


というわけで、リモートワークでの組織を賦活させるかもしれない?!大きな可能性を感じた、「体験作文」の体験レポでしたー!
リモートワークでの組織づくりにお悩みの方に少しでもお役に立てれば嬉しいですし、「書式を問わず気軽に始められる」のも体験作文の良さだと思いますので、ぜひみなさんもまずは体験作文を書いてみてくださいね。

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