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Like a Rolling Stone (ライク ア ローリングストーン)


クニマスの話

奇跡の絶滅魚「クニマス」。かつて秋田県にある田沢湖の水深部のみに生息した淡水魚で、江戸時代には漁獲量も多く豊富に生息していたとされるが、昭和になって行われた国の水力発電所建設における強酸性水の流入により1940年ころ絶滅したとされる魚である。

ところが2010年になってある偶然により山梨県西湖にて生体が発見された。なぜ遠く離れた西湖で発見されたのか調べれば、絶滅直前の1935年に人工ふ化の実験の為、西湖のほかにも琵琶湖や長野、富山などにも卵を送っていたと云う記録が残っていた。

幻の淡水魚クニマスの生態調査の為、NHKと京都大学の合同チームにより潜水カメラを使用し捜索を始めるが、西湖の湖底は泥に覆われクニマスの産卵場となる砂地には程遠い環境であった。

「このままではクニマスの生態を立証出来ない」と捜索チームに焦りの色が出始めた時、湖の北側に砂地が発見された。西湖の北側の山は深い谷となっておりそこに貯まる雨水が地面をろ過され湖底からの湧水となっており、偶然にもその周辺の湖底は綺麗な水と砂地になっていたのである。

そこに据えたカメラにはゆっくり泳ぐ「クニマス」の姿が映し出されていた。

天敵となるブラックバスなどの生息域よりも水温が低く安定した深い位置にあり、生態系の影響を免れたとも言えるという。

そもそも、京都大学総合博物館名誉教授の中坊氏が、タレント・イラストレーターで東京海洋大学客員准教授のさかなクンに「クニマス」のイラストを依頼し、参考資料として似た魚である「ヒメマス」を日本全国より取り寄せた際、その中にあった西湖の「クニマス」らしき個体にさかなクンが気付いた事が調査発見の発端である。

この幾重にも及ぶ偶然により奇跡の絶滅魚「クニマス」は西湖のみに生息し、再び発見されたのである。運命に翻弄されながらも生き抜く事を諦めず、真実に向かい続ける事で偶然が味方する。偶然が必然に変わり、人知れずそこに存在したものが注目を浴びる時、どこか至高で特別な価値を感じる。


そして、前置きとしては超長かったが、この話に似た事が私たちの身近にもある。

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Like a Rolling Stone (ライク ア ローリングストーン)

かつては純粋に良いものを「集める事だけ」を生業にしたセレクトショップであった。

しかし、インターネット通販という時代の変革が訪れる。珍しかった商品も今や自宅にいながらにして探せるものへと変化していった。それは取扱品目の優位性と物量で臨まぬ限りは、同質化の渦にのまれ淘汰される事を意味する。

同時に全国的にファストファッションの台頭。そして都心ではかつての取り扱いブランドのフラッグシップショップオープンの波が押し寄せる。都心からほど近いそのセレクトショップを取り巻く環境は、都心から離れた環境の地方と違い東京にアクセスが良い事でその存在の意味すら危ぶまれる。

それは、危機感が生み出す幻想かも知れなかったが、それら取り巻く環境の変化はそのセレクトショップのフロンティア&ディスカバリー精神に火を灯す事になった。そして幾つかの岐路に立たされたそのセレクトショップは、用意された全ての道しるべに対して首を横に振り、あろうことか自ら道なき道に足を踏み入れて行く。

しかし、誰もが道なき道(オリジナル=自分で商品を作る)と思っていたその先には、都心から近場の便宜性の良い立地に存在する著名なブランドの製品を手掛ける縫製工場が数多く存在している環境があった。

やがてそのセレクトショップは非常に高いクオリティーのオリジナル商品を展開するようになる。経験とノウハウはあったが、手探りの事も多かった。工場に出入りする事で更に経験値も高まった。運命に流されるように「ここにしか無いもの」を作り出す事となり、既存のオリジナルとは意味合いの違う、ただならぬクオリティに共感した確かな審美眼を持つ先駆者はいち早くそれを見出し支えてくれた。そのセレクトショップもそれに応えるべく考え続けた。そしてさらに進んだ。

かくして、その環境の独自生態系によるプロダクトは国内最高レベルの存在に伝わり、「日本製の美意識」としてのお墨付きを頂戴するところまで上り詰めた。その事実はいちセレクトショップのオリジナルとしては例を見ない快挙であり、それは取り巻く皆さまの審美眼が確かであった事が証明された瞬間でもあった。

この幾重にも及ぶタイミングの偶然により「Garage.U.W」はGarageのみに存在し、唯一無二の存在に形作られてきている。もちろん全て順当に進む訳では無いが、運命に翻弄されながらも生き抜く事を諦めず、真実に向かい続ける事で幾重にも及ぶ偶然が味方する。壁は乗り越え時に打ち破り一歩でも前に進む。そしてGarageは「集める事」と「作り出す事」を合わせた独自の進化により昨今の生態系の影響を受けないところにたどり着いたのである。


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過程(プロセス)こそが人生そのもの

転がる石のように運命に流されていたとしても、真実に向かって行く事を諦めなければ少なくとも近づく事は出来る。過程に全力を注げば結果など後から付いてくるおまけに過ぎないのである。

過程(プロセス)こそがものの価値を決定付ける事柄であり、人が生きるすべての理由であり、人生そのものである。もしかすると人生にゴールなど存在せず全ては過程なのかもしれない。

だから、我々中小零細企業はリスクヘッジなどに捉われて足踏みすることがリスクそのものになり得る立場だぞ、という事を忘れず、細かい事は忘れて、この瞬間瞬間を悔いの無いように前を向き歩みを止めないのである。


運命に抗ったり流されるのでもなく、運命を尻目に自分の道を信じて歩んで行くことで後悔の無い人生を送ることが出来る。

これがSTANCE - 「ライク ア ローリングストーン (Like a Rolling Stone)」が意味する事である。


※ ウイットです!



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