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夜行バスに乗り遅れた!さてどうする!〜「ヤマノススメ」を見て富士山を目指す大学生〜

富士山を目指すにあたり、まずは夜行バスで東京へ向かい、そこから静岡の東部、沼津を目指す。広島からだとこのルートが最安なのだ。夜行バスも含めると5日間の旅になる。それでもなるべく荷物を減らすため、荷物はバックパックひとつにおさめた。真夏でも頂上は真冬並みの気温なため、ヒートテックやらジャケットやらがどうしてもかさばってしまう。なんとか詰め込んで家を出発、午後4時に駅に集合した。

広島へは電車で35分、西条駅からJRに乗り込みうとうとしていると、途中の海田市駅で異変に気がついた。

電車が動かない。夜行バスの出発までは20分程度余裕を持ったのだが、定時運行を世界に誇る日本のJRが動かない。広島を目の前にして18分の遅れを叩き出した。
広島駅のホームを降りると、私たちはとにかく走った。こちとらこれから富士山を目指すんだ。そのために少し鍛えた脚と心肺を存分に使い、くねくねと曲がる高架橋を最速で突破する。電波式の腕時計の秒針が9の位置に来たところでバス乗り場に到着。しかしAとKはまだだ。
「あと30秒で仲間が着くから待っててくれ」
そんな交渉もむなしく、バスが出発し角を曲がったタイミングで2人がバス停にやって来た。ああ無情。なんでこんな時に限って遅れるのか、バスなんだから少しくらい遅らせても問題ないだろう、と2つの交通会社に心の中で同時に文句を言った。

私たちに残された選択肢はふたつ。ひとつは、後続の夜行バスで東京に行く(9900円)。もうひとつは、今のバスが岡山にも止まるので岡山まで新幹線で先回りする(6000円)。迷うことなくここは新幹線を選択。せめてもという思いで、同額ながら車内が豪華なさくら号で岡山へ。30秒の遅れを解消するために乗った新幹線で、2時間の先回りに成功した。岡山ではのんびりと夜飯を食べ、今度は10分前にバス停に並んだ。融通を効かせてくれなかったさっきの運転手に小言を言うのを抑え、今度こそ新宿駅を目ざした。

そして気がかりなことがもうひとつ、バスの中で発生。太平洋上で台風が発生し、登山の前後で富士山周辺に来る見込みという。場合によっては登山出来ないかもな、そんな不安をよそに、バスは定刻で東京を目指していた。

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