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「注文打ちを辞める」と聞いて



衝撃

短刀を作刀していただいた助光刀匠が、
注文打ちの受注を終了する、との事です。驚きました。


経営の難しさ

驚きました――とは書きましたが、
ブログをずっと追っているので経営が大変だというのは知っていました。
助光刀匠のブログではちょくちょく出てくる話題で、
刀鍛冶という職業がどれだけ大変かというのが伺いしれます。

刀を打つには玉鋼などの原料、松炭などの燃料が必要で、
長い時間をかけて鋼を鍛え、刀の姿を作っていきます。
ですが、焼入れの際に刃切れが起きれば全てが水の泡です。
鋼はある程度なら再利用できますが、炭や時間は戻ってきません。
丸損です。
刃切れが出ず、無事に焼入れを乗り切ったとしても その先で、
鍛え割れ(鍛え疵)や炭ごもりといった瑕疵が見つかることもあります。
現代の美術刀剣基準だと、鍛え割れや炭ごもりも許されません。
また、振り出しに戻ります。
この辺は、技術だけではどうにもならない所であり、
刀匠によっては、三振り打って一番良い物を出すとか、
五振り打って一番綺麗なものを注文主に渡す、とかやってます。
そうなると三振り、五振り分の玉鋼代、松炭代、人件費が価格に乗ります。
作刀依頼で100万、150万、というのはそういう事情が重なっています。

助光刀匠はその辺を踏まえて、
ある程度の瑕疵を許容できる方向けに
「1発勝負君」というカテゴリーを設定し、
その分価格を抑えて提供する、という選択肢もご用意されてました。
価格を安く抑えれば注文も数多く入る。
数多く作刀する事で技術を磨き、経験を積める。
今は修行期間と定め、利益度外視で注文打ちを受け続けておられました。
その期間が、終わったという事です。

色々見て回れば分かるのですが、
助光刀匠の価格設定は驚くくらい抑えられていました。


今後について

基本的には注文打ちを受ける事なく、
助光刀匠が自身の作品として作刀を行い、
それを販売サイトに置いて買い手を待つ、という形になるそうです。
出来が良い作品はそれに見合った価格で。
わずかな瑕疵がある作品は、それ相応の価格で。

助光刀匠は、twitterYouTube でも情報発信をされているので、
写真や動画で制作過程を見た刀が販売サイトに並ぶ事になると思います。
挑戦的な作品、野心的な作品も出てくるかもしれません。
今後も、楽しみに追いかけていきたいと思います。

#刀 #日本刀 #刀剣  #注文打ち #作刀依頼
 

ヘッダー画像:助光刀匠 作「鏡花水月」表銘


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