AOTY2022-個人的2022年のベストアルバム18枚



はじめに

こんにちは。はじめまして。現役大学生の58と申します。早速ですが2022年はどんな音楽を聴きましたか。今年も前年に負けないたくさんの素晴らしい名盤がリリースされました。コロナ渦3年目に入り、世界情勢の変化とパンデミック生活に慣れたことによる過ごし方の変化があったのではないでしょうか。アーティストの表現や制作もそれに伴って21年よりも未来を見据えたような作品が多くなったような印象を受けました。
今年は2022年リリースの新譜アルバムをベスト18枚にまとめてみたので個人的感想コメントをつけて紹介します。皆さんが未知なる音楽に出会えることを願います。

前半


1.UlulU/UlulU

NEWFOLKからリリースしたUlulUの1stアルバム、セルフタイトルUlulU。廃盤のdemoCDに収録・公式soundcloudにアップロードされ、コーラスと胸が躍るようなドラムがドキドキを加速させる「三分間だけ愛されたい」、”誰かに心配されてから 誰かに連絡してみたい”といういじらしくもキュンとさせる「指定席」など全12曲収録。日本のインディーロックの風となる予感をさせる素晴らしいアルバム。
:高校2年のときに彼女たちを見つけて、生活のサマーランドや旅に行こうよをCDで擦り切れるまで聴きました。あのころはまだサブスク黎明期。TSUTAYAとゲオ、通販が主な入手ルートでした。今よりは不便だけどCDの貸し借りや、家に届く嬉しさもあり楽しかった記憶があります。CDの貸し借り、なかなかしなくなってしまいましたね。

2.柴田聡子/ぼちぼち銀河

札幌生まれ、藝大卒SSWの柴田聡子による2022年リリース6thアルバム。今作の「ぼちぼち銀河」はフォーク色が薄まり、ユニークなギターが特徴的なバンドサウンドが多く、思わず体を揺らしてしまうアルバム。KID FRESINORemixの7inchも先日リリースされたリードトラックである「雑感」は2022年に一番聴いた曲の1つと言える。
:このアルバムは通しで聴くのが至高です。曲間のつなぎがここまで綺麗で考えられているアルバムに久々に出会いました。個人的にはM4「旅行」が特に好きです。柴田聡子の脳内で紡がれる脈略のなさそうで脈絡のある言葉の流れの虜になるツボがつまった一曲です。”星を見上げないで コンビニの前で 暇だったって怒って こんなとこに来てまで”の一節が大好きです。二人でいるかのようで一人言葉が遊んでいるんですよね。こちらの語彙力ではうまく言語化できない絶妙な表現に鳥肌が立ちます。

3.beabadooobee/Beatopia

ビーバドゥービー(Beabadoobee、本名: Beatrice Ilejay Laus、2000年6月3日 - )は、フィリピン・イロイロ生まれロンドン出身のイギリス人で、シンガー・ソングライター、インディー・ロック・ミュージシャン
Wikipedia

Beabadoobeeはなんとミレニアムベビー。今作BeatopiaはTHE1975のマシューなども制作に携わっており、気合を入れた彼女のスタジオ制作2ndアルバムである。前作のFake It Flowersがダークな雰囲気で自省的かつネガティブな感情を表していたのに対し、こちらはそれらが晴れたような雰囲気がある。「the perfect pair」はボサノバ調でダンサブル、「Talk」は大きな野外ステージで演奏しているのを想像させるような壮大な音像とボーカルで、メロディもキャッチー。
:beaのようにヘルシーに自信満々に、それでいて賢く可愛く生きたい。beaまた来日してほしいですね。フジかサマソニに大きな期待を寄せています。

4.chelmico/gokigen

Rachelと鈴木真海子によるラップユニット、chelmicoの4thアルバム、gokigen。Rachelは昨年妊娠出産を発表した。「三億円」では”ここ数年 状況何にも変わんねー むしろ徐々に悪化”と歌い、インタビューでも

例えばオリンピックを開催する・しないとか、「FUJI ROCK」をやる・やらないとか、そういうアーティスト同士での意見の対立もSNSで顕在化したじゃないですか。実際に会ってもそういう話題になることがあって、「なんでこんなことになっているんだろう?」と考えたとき、みんなお金が欲しいんだなと思ったんです。
https://natalie.mu/music/pp/chelmico02
音楽ナタリー

と話すように、「逃げ出したい」ここ数年の状況に対して怒りを静かに表現するような曲のキレがある。そしてchelmicoの醍醐味、等身大のリリックと切ない恋愛模様、ゴキゲンなビートが存分に盛り込まれているのがこのアルバム。これがchelmicoの現在地。
:個人的にchelmicoはせつなく甘めの「ずるいね」等に代表される恋愛ソングがとても好きなのですが、今作では「December」のような人との微妙な関係性での情感を上手くアーバンかついかつい感じに歌い上げているのが最高ですね。chelmicoは夏も冬も親友のようにそばにいて気分を上げてくれます。

5.大森靖子/超天獄


大森靖子の6thアルバム「超天獄」。「来世ではちゃんとします2」の主題歌「アルティメット♡らぶ全部」、映画「ひらいて」のエンディング曲「ひらいて」、『街録ch 2周年記念ライブ』につくられた「前説ADvance」などが収録された全13曲の2年ぶりフルアルバム。2021年は提供楽曲を含め80以上の作曲、100 本以上のライブも開催している音楽プロフェッショナル・大森靖子。小室哲哉とつんく♂に憧れを持ち、精力的な制作活動をするSSWかつMAPAプロデューサーかつMETAMUSE(ZOC)メンバー、事務所レーベル株式会社TOKYOPINKの代表取締役、そして一児の母という複数の役割をしている。今作「超天獄」は「音楽は魔法ではない」のアンサーソングである「魔法使いは二度死ぬ」、夫のピエール中野との実際のエピソードから速攻で作曲したとされるポップで甘く可愛い「×〇×〇×〇ン」、タイアップ曲、大森靖子のアクと怒り、愛と憎しみ、最高と最悪が詰まった渾身の一作になっている。「×〇×〇×〇ン」のエピソードが面白いので下に引用。

『超天獄』(表題曲)を作った時、私が買ってきたメロンを夫が横で食べてたんですよ。で、曲ができた時、曲の感想じゃなくメロンの感想を言ったんです。メロン、うま!って。だから、ハ? 曲の感想は⁇と思って(笑)。そりゃ月に10曲も作る人の曲の感想をいちいち言いたくないとは思うんですけど、でも月に10曲作ろうが、年に1曲作ろうが、1曲は1曲。ま、メロンを食べてて聴いてなかったかもしれないですけど、初めて人に届いたんだから何か言ってほしいですよ! なのに、メロン、うま!って。で、何か感想ないの?ってなって、『超天獄』に〈世田谷なんか住んでたまるか〉っていう歌詞があるんですけど、世田谷の人がかわいそうって。それは感想じゃなく、こうした方がいいよ!みたいなスタッフの言う意見じゃないですか。感受性がどう動いたかの話をしてないから感想じゃないなってムカついて、メロンの曲を作ったという(笑)。じゃあ、お前が求めてるようなかわいい曲を10分で書いてやる!って書きました。クソッ、こんなのは10分でいいんだよ!って(笑)
ぴあ関西版WEB

:中学2年のころから大好きな大森靖子の新譜は聞けば聞くほど身体に馴染んで、今年の生活を豊かにしてくれました。今作もパンチラインと素晴らしい構成のオンパレード。”恋愛以外は自己肯定できるんだけどな 全然”、”魔法使いなんてならなきゃよかった 趣味がスーサイドってな毎日で 一日を生き伸ばす膨大な価値を抱きしめてるから さみしくないわ”。ありがとう靖子ちゃん。私の稚拙な語彙力で語るとチープになってしまう怖さがありますが、実際に大森靖子の曲に毎晩救われていることが自分自身に証明できる確かな証拠になるはずだと信じています。今日も独り占めさせてください。それぞれが「わたしの歌だ」とかいって独り占めしましょう。

6.STUTS/Orbit

トラックメイカー、MPCプレイヤーSTUTSの3rdアルバム。フューチャリングが豪華で、Blu,tofubeats,Awich,C.O.S.A.,Yo-Sea,Julia,Wu  5lack,Daichi Yamamoto,Campanella,Ryugo Ishida,北里彰久,SANTAWORLDVIEW,NENE,仙人掌,鎮座DOPENESS.JJJ,BIM,Storm KMCがそれぞれ楽曲に参加している。
:イベントで賽とのライブを見ました。Voyageを聞いて鳥肌が立ちました。MPCを打ち込む姿やMCの愛嬌ある感じもたくさんのファンに愛される理由の一つだと感じました。ドラマ(エルピス)の主題歌なども制作し、今後の活躍が期待されます。

7.奇妙礼太郎/たまらない予感

奇妙礼太郎の4年ぶりのフルアルバム「たまらない予感」。何年たっても伸びやかで正直な歌声と、美しく切ない気持ちにさせるメロディ。べべチオの早瀬直久監督の作品に出演して完成したアルバムだとインタビューで語り、作詞作曲とプロデュースを全曲早瀬氏が手掛けている。「ランドリーナイト」などのピコピコしいユニークな曲もはいっていて楽しめる1枚になっている。
:1stミニALとこちらの作品は作詞作曲を早瀬さんがしているみたいですね。確かに情景の描き方がYOUARESEXYとかとは違うはずだし、ライブでも即興ソングばかりやるのなんでだろうとずっと考えていました。なるほど、ようやく理解できました(笑)。2022年は4回も奇妙さんのライブに行くことができました、一番印象的なのは渋谷DUOでの踊ってばかりの国との対バンです。バンドセットの奇妙さんはアレンジを加える遊び心がありながらもかなりしっかり歌ってくれて、バックバンドも豪華でした。小さい箱でお客さんとちょけながら歌う奇妙さんも好きですよ。マイキングが一番上手いアーティストだと思います。声量もすさまじくパワーがあります。

8.RYUTist/(エン)

新潟市を表す「柳都(りゅうと)」という言葉に、「アーティスト」を加え、「新潟のアーティスト」という意味を込めて「RYUTist」。彼女たちの4人組アイドルユニットの新譜、「(エン)」。石若駿、ウ山あまね、君島大空、柴田聡子、パソコン音楽クラブ、蓮沼執太、ermhoi(Black Boboi、millennium parade)からの楽曲提供を受け、それぞれのらしさを残したまま歌い上げているエレクトリックでサイケデリックでポップなアルバム。
:石若駿提供の「うらぎりもの」を何度も聴いて、このアルバムに辿り着きました。アイドルとしてのキュートな歌声の良さも残しながら、ここまでラディカルで尖った音楽をしているアーティストはなかなかいないのではないでしょうか。adieuはソロだし。個人的にアイドル(主にハロプロ)が好きなのでこのアルバムにグッときました。オルタナティブアイドル。

9.ドレスコーズ/戀愛大全

志磨遼平バンドのドレスコーズの8thフルアルバム、「戀愛大全(れんあいたいぜん)」。夏の爽やかなコーラスの効いたギターとエレクトロ、志磨遼平の詞とボーカルによって最大限に愛おしいポップスアルバム。ジャケットは不吉霊二が担当。不幸な時代のシリアスな状況を記録する重たい音楽作風が続いていたが、今作は疫病も戦争も無視してやろうという想いが、夏の到来とラブソング、ポップな作品として素晴らしく表現されている。
:このアルバムはとてもポップ。最高のラブソング揃いです。90s洋楽を想起させる「ナイトクロールライダー」にはじまり、“ぼくはもうだめだ ここへ来てまだ君に会える 息の根さえ止めないで なんて惡い男”と最強の歌詞と爽やかなギターリフが演奏される「惡い男」。このアルバムなしに2022年は語れません。私の来年の目標は志磨遼平を目撃することです。髪型もよく志磨遼平に似てると言われるし寄せているところがあるのかもしれません。今のドレスコーズを絶対観たいです。

後半

10.ゆうらん船/MY REVOLUTION

Vo/G 内村イタル、B/本村拓磨、Key/伊藤里文、Pf/永井秀和、Dr/砂井慧によって構成される5人組インディーフォークロックバンドゆうらん船の1stフルアルバム、「MY REVOLUTION」である。ゆうらん船は内村イタルの優しい歌声とフォークの曲調に、シンセサイザーやオルガン、ピアノ、シンセベース、電子音などが絡まり合って新しいサウンドを作り出している。「Flag」「Parachute」はゆうらん船らしさ全開でポップかつビター&スイートな展開。真ん中に「at dusk」というインスト小品が挟まり、後半にはジャンルが少し変わってエレクトロな雰囲気に包まれる。「Hurry up!」ではボーカルにオートチューンが掛かるところも必聴。アルバムを通して聴くべき作品になっている。
:「Parachute」はBIOTOPE企画のライブで観てから配信されました。こんなにも心地の良い静かで大きな波のような曲が作れるのですかと感動しました。とにかく美しいアルバムです。アナログで是非作っていただきたいです。

11.Kan Sano/Tokyo State Of Mind

マルチに音楽活動をするSSWのKan Sano 6thアルバム「Tokyo State Of Mind」は日本語ポップスとチル、シティポップが存分に盛り込まれている。フィッシュマンズの「いかれたBaby」もダウナーな雰囲気にカバーし、「逃避行レコード(98bpm)」はドライブしているかのような遊ぶベースと都会的なサウンド。
:4月にリリースされているのに12月に聴き始めました。KanSanoさんすごい。アーバンでフレッシュで嫌な感じが一切ないカッコいいアルバムです。ギターもベースもキーボードも全てが心地良いです。

12.猫戦/蜜・月・紀・行

京都(立命館)結成のインディーベッドルームミュージックバンド、猫戦。今作1stAL「蜜・月・紀・行」は名曲「オー・エル」「鶴」もいれながら、ゆったりとしたテンポと軽快なクリーンギターの朝昼夜深夜何時にでもマッチする作品となった。ボーカルの飼っている猫を煌びやかにジャケットモデルとした所謂The猫盤としてリリース。
:“今日は1人でネットサーフィンをして待つの こんな乾いた体で”“こんな日照りの夜は恋愛小説を書いて”“涙味の鮭茶漬け”という歌詞がお気に入りです。猫のことを歌っているのか、はたまたある人のことを歌っているのか、心地よいサウンドと良い意味でいじらしく可愛い歌詞を是非聴いて下さい。

13.raura day romance/roman candles|憧憬蝋燭

ほぼ早稲田結成の東京インディーロックバンド、raura day romanceの2ndアルバム、「roman candles|憧憬蝋燭」はいままでの軽やかで明るい作風から一転し、落ち着いたテンポと「waltz」のような切ないメロディの作品。日本語題と英題がそれぞれついており、1つの映画のよう。
:個人的に「電話」が歌詞にある曲はだいたい名曲認定しています。「電話」が想像させる全てが好きです。raura day romanceの静かに盛り上がる曲調は日本語インディーロックが好きな人総じて好きだと思います。おすすめです。


14.坂本慎太郎/物語のように

坂本慎太郎の6年振り4thアルバム「物語のように」は、リズムマシンや揺れるようなコーラスによって構成された新曲10曲の作品。

真面目に考え込んでいるものより、〈明るい〉っていうとちょっと違うかもしれないけど、スカッとした音楽をやりたかった

と語るように、暗くて社会的というよりかは明るくポップな作風で、聴きやすく、歌っていることもなんだか抽象と具体の中間であるようでドキッとさせられる。
:LP買い損ねました。坂本慎太郎の作曲作詞の素晴らしさは言葉で表せないくらい素晴らしいです。とくに今作では「まだ平気?」が好きです。簡単な言葉で、ゆるやかなリズムで、こんなにも



15.中村佳穂/NIA

中村佳穂の新譜。ハイパーポップっぽいさよならクレール、優しい祝日、Hey日。2022年ベストにこれを入れた人も多く見かける名盤。
:多種多様で最高です

16.ピーナッツくん/Walk Through the Stars

Vtuber、ピーナッツくん

頭はピーナッツで、体は黄色、白いブリーフをはき、赤いスカーフを首に巻いている5歳の男の子である。YouTubeに投稿されている自主制作ショートアニメ『オシャレになりたい!ピーナッツくん』の主人公であり、2018年初頭からは、同アニメから派生したキャラクター甲賀流忍者!ぽんぽこ(以下、ぽんぽこ)と共に、バーチャルYouTuber(以下、VTuber)として活動している。
Spotify

の新譜。オートチューンがかかって、PetbottleRocketやWalk Through the Starsは名曲。ラッパーとしても才能を発揮するかわいいVtuber。
:個人的にブレイクしてる曲が好きです。

17.サニーデイ・サービス/DOKI DOKI

サニーデイ・サービスの14枚目のアルバム。14枚も出しているのにサニーデイ・サービスは進化し続けている。今作は90sの風を感じながらも日本語のバンドは最高だと改めて期待させる1枚。
:歳をとる度にサニーデイの曲は若返っていっているような気がします。いつでも最先端。ライブで見たセツナの10分くらいのギターソロめちゃくちゃ良かったです。


18.スカート/SONGS

最後に紹介するのは澤部渡率いるスカートの新譜、SONGS。13曲中10曲がタイアップという大躍進をしており、それぞれがポップで切ないことを上手く歌い上げている。オッドタクシーのOPも再録アレンジされ、2度美味しくなっている。
:yes,mama ok?ぽいと自身でもインタビューで語っている、少し異質な新曲、「Aを弾け」がアップテンポで好きです。悲しい言葉を綺麗にポップに歌う1番のアーティストだと思っています。

終わりに

毎年年ベスを写真のみで構成して自己満でSNSにアップしていましたが、今回は簡単に文章を初めて書いてみました。私は音楽を評価する時にその人の背景や録音、ジャンルや時代背景、オマージュを語るよりももっと単純に感情が突き動かされた部分についての感想を見るのが好きです。今回書いていく中で自分でもそうすることが一番好きだと気付きました。こういう人はライター向きでは無いのでもう書かないかもしれないですが、好きなアルバムについて沢山紹介できて皆さんが少しでも知らない音楽に興味を持って下されば幸いです。

良いお年&音楽ライフを!🐡

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