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Nikon 35Tiについて Tips

前2回の記事でNikon 35Tiについて紹介してきました。

Nikon 35Tiについて(1/2)

Nikon 35Tiについて(2/2)

ニコン35Tiのレビューで良く見かけるのがフラッシュボタンの使いにくさです。

このカメラはデフォルトではフラッシュが自動発光します。
フラッシュを光らせたくない場合はボディ前面にある発光禁止のボタンを押しながらシャッターを切るのですが、このボタンがそもそも押しにくく、フラッシュがオートで発光するような暗い状況下でさらに手ブレを生じさせる原因になります。

上が強制発光、下が発光禁止ボタン

当然、ユーザーからは不評であったのか、後継機の28Tiでは自動発光か発光禁止か、スライドスイッチで選択可能になりました。

ここまで読むと、ニコンの考慮不足、設計ミス、のように思えるかもしれませんが、ニコンも当然その点は認識していたとみられ、対策がしっかりとマニュアルに記載されています。

フラッシュの自動発光を無効化し、フラッシュを発光させたい時のみ前面のフラッシュ発光ボタンを押す、というのがその改善策です。

これならば、フラッシュ発光時のみボタンを押すことになるので、手ブレのリスクは大きく下がります。
私は街角のスナップ撮影が多いのでフラッシュの自動発光は邪魔でしかなく、無効化することで快適に使用しています。

マニュアルに記載されているこの方法ですが、発売から長い年月が過ぎマニュアルがほぼ残っていないからか、あまり知られていません。
そのため、レビューなどを読むとフラッシュが自動発光することへの使いにくさに関する記述を良く目にします。

せっかく改善策が用意されているのに不便なカメラ扱いされるのももったいないので、以下にフラッシュの自動発光を無効化する設定方法を記します。

手順


1.
ファインダー横のSETボタンを押しながら電源を入れ、撮影モードを「P」にする。

2.
ボディ上面の液晶に「00 0 00」か「00 0 01」と表示される。この時、画面左端の「00」のみ点滅している。

3.
液晶に「00 0 01」と表示されている場合は、手順4へ。「00 0 00」と表示されている場合はSETボタンの左隣のMODEボタンを押し、画面右端の「00」を点滅させSETボタンを押す。すると液晶の表示が「00 0 01」へと変わる。

4.
MODEボタンを押すごとに、液晶上で点滅する数字の桁が移動し、SETボタンを押すことで点滅している桁の数字の表示が0から1へと変更される。
MODEボタンとSETボタンを押し液晶の表示を「01 1 01」とする。

5.
液晶の表示が「01 1 01」と表示されたことを確認し、シャッターボタンを半押しする。すると、液晶の表示が通常のフィルムカウンターの表示に戻る。これで設定完了。

上記の手順で液晶に表示される数字を変更することで、フラッシュの自動発光無効化の他にも、以下の様々な機能をカスタムすることができます。

00 0 00 : 初期設定画面(*)
00 0 01 : 初期設定画面
01 1 00 : フラッシュ自動発光(*)
01 1 01 : フラッシュ自動発光無効
01 2 00 : マルチパターン測光(*)
01 2 01 : 中央重点測光
01 3 00 : シャッター速度がファインダー内に表示(*)
01 3 01 : 絞り値がファインダー内に表示
01 4 00 : 全コマ日付プリント(*)
01 4 01 : 選択コマのみ日付プリント
02 0 00 : アナログメーター表示可能(*)
02 0 01 : アナログメーター表示リセット
03 0 00 : パノラマフレーム表示(*)
03 0 01 : パノラマフレーム非表示

(*)が付いているのが初期状態での設定。

小さい液晶を見ながら小さなボタンを何度も押す、なかなか面倒な作業なので、撮影のたびに設定を変えるというわけにはいきませんが、痒いところに手の届くカスタム設定が可能となっています。
一度設定すると、電源オンオフや電池交換をしても設定は保持されます。

小さい液晶画面一つでどうカスタム設定機能を搭載するのか、ニコン技術者の苦心の跡がうかがえます。

皆さまが快適に35Tiを使用する一助となれば幸いです。

Kodak 400TX
富士フィルム Velvia100
Ilford XP2 SUPER400

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