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富士フィルム X-E4について 余談

前回まで富士フィルムX-E4について良い点、いまいちな点などを書いてきましたが、その他に気付いた点などを記します。

フィルムメーカーのこだわり

X-E4の購入を検討していた際、富士フィルムのXマウントのカメララインナップを眺めていて驚いたことがあります。

高級機から入門機まで、どのカメラも積んでいる画像センサーと画像処理エンジンは同一、という点です。

他のメーカーでは、高級機と入門機では画素数やエンジン、裏面照射型か否かなど差をつけることが当然です。

一方、富士フィルムは例えば高級機のX-Pro3も入門機のX-S10も、2610万画素のX-Trans CMOS4にX-Processor4の組み合わせは全く同じです。
(富士フィルムも一昔前まではXマウントの廉価機種で画像センサーの異なる機種を売っていたようですが、今は廃版となっています。)

つまり、画質の差はレンズとカメラ本体の機能のみに起因することになります。

ただ、思い返してみれば、フィルムカメラ時代はこれが当たり前でした。

画像センサーにあたるフィルムはカメラメーカーではなくフィルムメーカーが製造。
プロ用一眼レフから初心者用コンパクトカメラまで、同じフィルムを使って撮影可能でした。
同じフィルムを使う以上、画質の差はレンズの設計やボディの露出、AF精度等の機能に依存します。

それと同じことをデジタルカメラでも行っているにすぎません。
高級機から入門機まで平等に最高のものをあてがう姿勢には、フィルムメーカらしいポリシーを感じます。

高級機の高価格である所以が一見しただけではわかりにくくなるのではないか、とか、Xマウントのラインナップ内で大きな価格差がつけにくいのではないか、など、外部の者としてはいろいろ心配してしまいますが、同時に、ユーザーとしては非常に好ましく思います。

Provia 富士フィルム XF 23mm R WR f2


EVファインダーのありがたみ

X-E4を購入するまで、EVFにはあまり良い印象を持っていませんでした。
EVFでピント合わせ出来るのか、とか、覗いているだけで酔いそうとか、あれこれ心配していましたし、何度も店頭で覗いてみたりもしたのですが、まぁ結局は使ってみないことにはわからないな、と踏ん切りをつけX-E4を購入しました。

結果としては杞憂であり、満足しています。

オールドレンズを使う身としては特にピントエリアの拡大機能と、フォーカスピーキングには感動しました。
例えば、オリンパスのZuiko 55mm f1.2を絞り開放で近距離での撮影に使おうとすると、一眼レフの光学ファインダーでもピントリングを行ったり来たりしながら紙のように薄いピントを探り探り合わせます。
EVFではこの苦労が大幅に軽減されました。

前回の記事でいまいちな点として書いたとおり、倍率が低いことやアイレリーフが短いことには不満もあります。

それでもなお、ファインダーを覗いて撮影できる楽しさと液晶モニターの便利さを同時に味わえるメリットは大きなものがあります。

EVFのおかげで、ピントリングと絞りリングを操作して撮影する楽しさが増したように感じます。

Provia Olympus Auto-S 55mm f1.2

シャッター音

X-E4はフォーカルプレーンシャッター搭載です。
画像センサーの前でシャッター幕が動作する、一眼レフやミラーレス機に標準的に搭載されているシャッターです。

一方、X-E4購入前に使っていたRICOHのGR IIIはレンズシャッター搭載です。
レンズの鏡胴内にシャッター機構が内蔵されている、コンパクトカメラによくみられるシャッターです。

どちらのシャッターにも一長一短があり、どちらが優れている、劣っているというものではありません。

しかしながら、今回、久しぶりにフォーカルプレーンシャッター搭載のカメラを使用して、その良さを実感しています。
レリーズボタンを押した時の手に伝わるシャッターの動作感、ボディから聞こえてくるシャッター音は、撮る喜びを増幅してくれます。

レンズシャッターはレンズ鏡胴内にあり各パーツも小さいため、動作感やシャッター音は微々たるものであり、ほとんど感じることが出来ません。
GR IIIを使用している際にはそのことを不満に感じたことは無かったのですが、やや物足りなさを感じていたことも事実です。

X-E4はその物足りなさを解消してくれました。
ミラーレス機は一眼レフとは違いミラーの上下動がないため、動作感もシャッター音も控えめで、でもしっかりその動作を実感できる。
撮影の邪魔をしない、スナップ撮りには丁度良いバランスに感じます。
振動や音は本来撮影には不要な存在でしょうが、それを感じることでより撮影へのモチベーションが高まります。

ところで、昨年に発売されたニコンのフラッグシップ機Z9は、ついにフォーカルプレーンシャッターもレンズシャッターも非搭載となり、電子シャッターのみとなりました。
レリーズボタンを押しても機械的に動くパーツは無いので、動作感もシャッター音も皆無ですし、機械的な故障のリスクも大幅に下がります。
カメラの効率、信頼性を考えると当然の進化であり、他社も追随していくのでしょう。

機械的にミラーを上下動させる一眼レフが、その名の通りミラー不要となったミラーレス機に置き換わったように、シャッターについても機械的な動作が不要となる電子シャッターへ置き換わっていくことは確実な未来であるように思われます。
一眼レフからミラーレスへと移行したことにより、ファインダーからの視界は液晶による電子表示に置き換わりました。
シャッター音も、スピーカーの電子音、あるいは無音へと置き換わっていくのでしょう。

上でEVFを歓迎しておきながら矛盾するようですが、それでも、スピーカーからの再生音ではなく、機械の動作で「カシャッ」と鳴るカメラは残し続けてほしい。
古いカメラユーザーとしては心からそう思います。

Acros Nikon Nikkor h-c 55mm f2

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