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身を滅ぼす甘い誘い、あるいは 【30秒小説】



ほんとほんと、騙されたと思って一回だけやってみ!
気持ちよくてまじでびっくりするから。


まずは一日だけ、ほんとに一回だけ。
始めるなら今だよ。ね、ちょっとだけ手え出してみ!


うんうん、わかる。
やめておけ、って教わってきたよな。
やめておこう、って抑えてきたよな。
わかるよ、わかるけど!


一回自分で試してみなくちゃ。
ヒトがなんて言ってても、自分で一回やってみなきゃ、わからないこともあるんじゃね?


たしかに、最初の一回だけはちょっと怖い。


だれでも億劫だって感じると思う。
でもさ。


やめたきゃいつでもやめられるんだから。
一回くらい始めてみたってバチはあたらないんじゃない? ね?


ほら、お兄さんもお姉さんも!
若いうちは経験だよ。さ、レッツトライ!



「いえ、わたしは結構です」



彼女も彼も、学校で教わった通りにキッパリとそう断った。


彼らは、友人が無謀な夢に挑戦しようとしていたらちゃんとこう言ってあげられるだろう。


どうせ無理。ダメ、ゼッタイ。



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