第六の小話「郷愁」

朝散歩して、カントリーロード聞いてたら浮かんできた✨
久々にお話書いてみたので、載せてみます✨


登場人物
ゆか…15歳
父…中年。
母…父より少し年下。

夜。夕飯時。古い2階建ての日本家屋。
1階に居間、台所、ダイニング。
2階にゆかの部屋、両親の寝室。

母「ゆかー、ゆかちゃんー。」
ゆか「はーい。」
母「早くしなさいー。」
ゆか「は~~い。」

ゆか、トタトタと階段を降りてくる。
食卓に着く。
ゆか、食べながら台所にいる母に話しかける。

ゆか「お母さ~ん。」
母「何~。」
ゆか「あのさ~。」
母「ん~。」
ゆか「あのさ~。」
母「何よ~。」
ゆか「…うち、いつ引っ越すの?」
母「…何よ急に。」
ゆか「……」
母「言ったでしょ。お父さんとの離婚が正式に
決まるまでよ。」
ゆか「……」
母「あんたも早く支度しなさいね。恐らく来週
には決まると思うから。」
ゆか「…うん。」
母「ほら、早くご飯食べちゃいなさい。」
ゆか「うん。」

ゆか、夕飯を食べる。

夕食後、ゆかの部屋
ゆか、一人で寝転がっている
窓の側に机がある。本などの物が大量にある。和室。窓辺には風鈴が吊るしてある。

ゆか「色々あったな~。
この部屋とももうすぐお別れか…」

ふと、部屋に置いてあったおもちゃに目が入る。目線の先にはぬいぐるみとプラスチック製のおもちゃが置いてある。

ゆか「あっ、これ3歳の時にお父さんが買ってくれ
たやつ。…このぬいぐるみ、随分ボロボロに
なったなぁ…。
こっちは5歳の時の誕生日プレゼント。
何度も何度もお母さんにねだって、やっと
買ってもらったんだっけ…」

ゆか、ぬいぐるみを眺めながら明かりを消す

ゆか「離婚か…。
なんで、離婚しちゃうんだろ。
お父さん、お母さん、あたしわかんない
よ。」

ゆか、一人膝を抱えて泣く。
窓からは隣家の明かりが入る。

2週間後
ゆか、母、2階から降りてくる。

母「ゆか、準備できたら行くわよ。」

ゆか、とぼとぼと廊下を歩く。
ゆかの部屋はもの1つなくがらんとしている。
居間には父がおり、たばこを吸いながら新聞を読んでいる。二人には背を向けている。

母「じゃ、私達行くから。」
父「…」
母「何よ、最後の別れだっていうのにだんま
り?見送りもなしなわけ。」
父「そんなもの必要ない。お前とは終わったん
だ。黙って出て行け。」
母「ふん、あなたなんかと結婚した私が馬鹿
だったわ。ゆか行くわよ。」

母、スタスタと去っていってしまう。
ゆかと父の二人だけが残される。
父、相変わらず背を向けている。

ゆか「お父さん」
父「…」
ゆか「お母さんはああ言ってるけど、私はお父
さんのこと、いつまでもお父さんだと思
ってるから。
私のお父さんはお父さんだけだよ。」
父「……」
ゆか「手紙出すね。」
父「…」
ゆか「体に気をつけて。」
父「……」
ゆか「じゃあ、行くね。」
父「……」

ゆか、去ろうとする。

ゆか「ねえ。」

ゆか、鞄からぬいぐるみとおもちゃを取り出す。

ゆか「これ、覚えてる?お父さんに買っても
らったおもちゃ。」
父「……」
ゆか「私、これ好きだったよ。」
父「……覚えとらんな。」
ゆか「…そう。 私行くね。」

ゆか、ぬいぐるみとおもちゃを抱き締めて去る。

父、しばらくして振り替える。
ちゃぶ台には置き手紙がある。
「お父さん 元気でね。 ゆか」

父、じっと手紙を眺める。

車のエンジン音

Fin