映画感想|ただひたすらに彼の為に。-文豪ストレイドッグスBEAST-
がっつりネタバレあり。
映画「文豪ストレイドッグス BEAST」
まず、今回の目当ては織田作と院長だった。
個人的に好きなキャラほど途中退場してしまい、今回もその例から漏れていないのだが、BEASTでは織田作が生きて小説を書いている。孤児たちも殺されてしまうことは無い。一見幸せそうなストーリーだと思っていた。
それは大きな勘違いだった。
織田作の生きている世界を守るために、銀ちゃんは芥川と引き離されるし、敦君は院長を殺してしまってから彼の存在の大きさに気付くし、太宰は飛び降りるし、それなのに織田作は太宰に対し銃口を突き付ける。
いや、散々すぎる、、、初見は絶望、、、、
特典の小説の為に2週にわたり観てきて本来目当てだった二人以上に心を抉られたのは中原中也だった。
この作品で一番悲しい業を背負っているのは中原中也だと思った。
どんなに心配しても、怒鳴っても、彼の、太宰の中に中也は映らない。
いつでも織田作のことを考え、織田作の小説を書いているこの世界線を守る為だけに動いている。
その上、彼は織田作の生きて小説を書いているこの世界を守るために自ら命も差し出したのだ。中也には何も告げずに。
ED曲が流れ終わるまで、私はこの物語もやはり“芥川と敦の物語”というより、“太宰と織田作の物語”という印象を受けていた。
そこにも中也は居なかった。
ラスト、中也が感情的になっている姿を見て思った。
この物語の一番の被害者であり、無念の中を彷徨う亡霊となってしまう存在だと。
龍頭抗争で中也に対し、脚を刺して信頼を得ようとしてくれたはずの太宰にとって中也はどれくらい映っていたのか。言わなくても中也なら分かってくれていると思ったのか。自分が死んだ後にこのようになってしまうことまで見えていたのか。
私にも太宰の内は測りかねるが、今回織田作と院長目当てに観ていたはずの私の心を抉ったのは中原中也だった。