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習慣性流産や不育症の方のストレスの高さ、妊娠への影響

デンマークでの論文で、3回以上の流産を体験した方301名と自然妊娠した1813名の方をMDIとPSSという指標を活用して、ストレスレベルについてチェックしたところ、

習慣性流産が認められた方で高ストレスレベルにある方は、

習慣性流産:124人(41.2%)
自然妊娠:420人(23.2%)

という結果が出ました。

ここから言えることは、心理的ストレスや抑うつ病になるリスクは圧倒的に習慣性流産の方のほうが高いということです。

習慣性流産や不育症は確率論的には誰にでも起こりうる可能性があります。
もちろん明確な原因があって起こる場合もあるし、そうでない場合もあります。
習慣性流産の場合には、流産絨毛染色体検査を検討することをおすすめします。

一方で、ストレスや抑うつ状態であることが、妊娠に影響するかということについては賛否両論あります。

「Emotional distress in infertile women and failure of assisted reproductive technologies: meta-analysis of prospective psychosocial studies」

J Boivin et al.,BMJ 2011;342:d223

この論文では、妊娠に対して精神的なストレスは影響がないということを報告していますし、

「Stress, distress and outcome of assisted reproductive technology (ART): a meta-analysis.」

S M S Matthiesen et al.,Hum Reprod. 2011 Oct;26(10):2763-76. 

この論文では、ストレスによって妊娠機会が減少していることを指摘しています。

現時点では、完全にどちらかという証明は難しいと思います。

また、実際に完全にストレスがない状態を理想とする方もおられますが、
現実的にそのような状態になることは困難です。

ですから、ある意味ではこの議論を突き詰めることに意味はないのかもしれません。

ここでは、特に精神的負荷が強くかかってくる女性に対しては、ついついうまくいかない原因を自分自身やストレス状態に向けてしまいがちだと思いますが、妊娠はもっと身体的なところで起こっているということ、を頭の片隅でもいいので入れておいてほしいと思います。

また、パートナーの方には、女性のストレスが過剰になることで、女性が参ってしまい、治療継続が難しくなる場合もある。それだけのストレスがかかっているということを理解していただきながら、お互いにリスペクト&サポートして、治療に臨むのがよいのかもしれません。

特に長期で治療をすることになれば、不妊治療を一人で乗り切るのは無理があります。
パートナーや医師、看護師などの医療スタッフやカウンセラーと手を取り合いながら、進めていくことをオススメしてます。

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