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流産絨毛染色体検査(POC)とは

ヒトは大変流産しやすい生き物です。
実際に若年であっても、妊娠した方のうち15−20%程度が流産されるといいます。5-6人に1人という割合なので、かなり高いです。

流産の原因で最も多いのは「偶発的」な染色体の数的異常と考えられており、これはなにかご病気があるとか、遺伝的疾患があるとかということではありません。どなたにでも起こりうるエラーのようなものです。

しかし、反復して流産をしてしまう場合には、もしかすると偶発的ではない原因がある可能性があります。

その原因検索として行うのが、流産絨毛染色体検査です。

流産絨毛染色体検査とは

胎児に染色体異常がなかったかどうかは、流産絨毛染色体検査(POC)でわかります。POCとは、流産した時に、手術で絨毛(赤ちゃんになる細胞)を取り出し、培養して、その染色体の数と形態を詳細に調べる検査です。
POCによって、流産の原因が胎児の染色体異常によるものか、母体側の原因によるものかを明確にすることができます。

検査でわかることとその先の治療

POCを行うことでわかるパターンは大きく3つあります。
A:胎児に染色体の数的異常がない
B:胎児に染色体の数的異常がある
C:胎児に染色体の数的異常がないが、構造的に異常がある(転座)

それぞれ簡単に紹介していきます。

A:胎児に染色体の数的異常がない

この場合、今回の流産は母体側に影響があると考えられますので、母体側の検査をしていくこととなります。

様々に検査がありますが、不育症の原因となるような状態にはないかどうかを調べていきます。

子宮側にも原因がある場合もあります。
ERA(子宮内膜需要能力検査)や子宮内フローラなどの検査が代表例としてあります。

B:胎児に染色体の数的異常がある

この場合は、特に検査は必要ありません。
次の治療に進んで問題ないということになります。

C:染色体の構造的な異常がある

このような場合には、ご夫婦ともに染色体検査を受けていただきます。
その結果、どちらかにでも染色体の構造異常があることがわかった場合、
そのまま体外受精を続けていても、流産を繰り返してしまう可能性があります。(通常に出産できる可能性ももちろんあります)

染色体の構造異常がある場合には、PGT(着床前診断)ーSRの適応となります。
ご希望があれば、PGTを行うことによって、受精卵の中から、染色体構造異常のある胚、つまり流産する可能性が高い胚を除き、正常な胚を移植することにより、妊娠する確率は高まります。

POCは保険適用に

POCは22年4月から保険適用になりました。
はじめの流産からでは適応にならないなど条件があります。
施設によっては申請しているかどうかもわかりませんので、
事前におかかりの医療機関に実施可能かどうかをご確認ください。


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