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「患者さんは動かない」未来はくるのか

先日、面白いニュースを見ました。

このニュースによる、ドローンを使って、牛の採卵した受精卵を凍結しないで、7.1キロの道のりを13分で運び、そのまま移送先で移植したとのことです。

この会社自体が、振動抑制の特殊な技術を持っているんだそうですね。

不妊治療では、医療の過疎化が今後深刻な問題になる可能性が指摘されています。

特に不妊治療の領域は、開業医の方々が多く、高齢化も進んできています。
産婦人科や産科の数さえ年々減少傾向が続いている中で、
産婦人科医の中で、不妊治療を専門に扱っているのが生殖医療専門医の方々です。

医療の格差は、患者さんの治療や医療機関選択に影響を与え、そのまま患者さんの人生の可能性に影響を与えてしまう可能性があります。
そのため、地方ではわざわざ車で何時間もかけて通院するような方も多いと聞きます。大変な負担になっています。

不妊症は今や社会的な減少であり、誰が悩んでもおかしくない疾患です。

ヒトの受精卵をドローンで運ぶなど、倫理的にどうなんだ!と僕の中でも思うところはあるけれど、それくらいドラスティックな発想の転換をしないと今の状態を変えるのはむずかしいんじゃないかと思うし、
そういうゲームチェンジャーのような存在の登場を心待ちにしている自分もいます。

ちなみに、卵巣凍結という技術が、妊孕性温存でありますが、この卵巣組織については「搬送システム」を上手に使って成功しています。
この搬送システムはドローンではなく、飛行機や通常の陸送ではありますが。

悪性腫瘍に罹患した患者さんを対象に行う手術であること、
凍結できる設備をもった施設が極端に少ないこと(緩慢凍結法)、
一方で摘出できる施設は各地方にたくさんあること、

こういった環境因子が揃っていたということが大きいとは思いますが、
患者さんを動かさずに、卵巣組織を移動させるという思想が、特にヨーロッパを中心に浸透しています。

なので、実は搬送ということが初めてということではないということですよね。
そこに最新の技術が絡み合ってイノベーションが生まれていくということなんだと思うと、ワクワクしてきますね。

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