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ユダヤ暦で過ごす1年〜イスラエルのお祭り①〜

シャローム♡イスラエルにてユダヤ暦で祝われる祝祭日について、2週に分けてお届けしたいと思います。
祝祭日の意味を知ることで見えてきたユダヤ人の歴史、価値観、イスラエルの魅力を綴ります。

イスラエルの基本情報は『入門編』ご覧くださいませ♡
https://note.com/ganganganchan/n/ne96a3a839618

ユダヤ暦と安息日について

【神話に基づくユダヤ暦】
世界の共通紀元は西暦(イエス・キリストの生誕から)ですね。
イスラエルでは、旧約聖書の天地創造に基づいて計算した”ユダヤ暦”を用いています。
神話に登場する、アダムとイヴの時代から〜♪数えていることになるんです。
ちなみに、2021年はユダヤ暦で5782年にあたります。ユダヤ民族の歴史は長い。

(ビーチにて.まるでタイムスリップしたかのようにワイルドな情景)

イスラエルの祝日はユダヤ暦で祝われますが、閏年の数え方が西暦とは異なるため毎年ズレが生じてしまいます。
新年当日も、前年と開催月が変わることがありますので旅行者は要チェックです!

【厳格に守られる安息日】
ユダヤ暦が天地創造に基づいていることからも「神が天地を6日で創造して7日目に休んだ」という記述を元に、イスラエルでは毎週”安息日=シャバット”(金曜日の日没から土曜日の日没まで)が設けられています。

タルムード(ユダヤ教徒の聖典)の安息日の禁止事項に従うと、一切の労働が許されないため敬虔なユダヤ教徒はエレベーターのボタンを押すこと、お湯を沸かすことさえできないんだとか。

知人で、超正統派の方に道で声をかけられ「冷蔵庫の扉を開けてドーナツを出してくれないか。」と家に招き入れられた方がいました。笑
不便を感じながらも戒律を遵守した生活を送っているのです。

また、安息日は世俗派〜超正統派に至るまで、親族や知人と集まり語らい合う文化があります。
子供の時から、毎週大人に囲まれて意見を交わすことになるのです。
これも”討論好きのユダヤ人”が育つ背景のひとつなのかもしれません。

金曜日の日没前は、閉店前に駆け込む地元の人々で混みうスーパーや飲食店。
街では「シャバット・シャローム(平和な安息日を)」との挨拶が飛び交い、毎週お祭りの前のようなムードが漂っています。

(ビーチ沿いの遊歩道にて.安息日は日没と共に始まる)

安息日の意義は”日常生活から離れ、本質的なことを深く考えること”
”何もしない日”として堂々と心と体を休めたり、”家族と過ごす日”と決めて言葉を交わすことで、本当に大切なものを毎週確認できるのだそう。

ユダヤ人にとっての祝日の重要性

さて、そんなユダヤ暦で構成されたカレンダーの祝日は、旧約聖書・民族史での重要な出来事に基づいています。
繰り返されてきたユダヤ人迫害の悲しい過去を忘れないよう”若年層・子供たちに歴史を継承していく”という目的があるため、安息日と同様に親族で集まり語り合います。

⭐︎それでは、現地のレポートをSTARTします!

【ローシュ・ハシャナ】ユダヤの新年

イスラエルの1年の始まりは、強い陽射しが降り注ぐ9月。
日本の新年の”つん”と鼻先の感覚が無くなる寒さに慣れていると、ちょっと調子が狂います。

(テルアビブはハイビスカスが咲きほこっている)

アパートですれ違う人、顔馴染みのスーパーの店員さんと「シャナトバ〜(明けましておめでとう)」と挨拶を交わすことで新年を実感させられました。

(お気に入りの窓と)

『甘い1年になりますように』と願いを込めて、蜂蜜をかけた林檎を食べるシンプルでスウィートな習慣があります♡

そして、雇用主側が従業員にちょっとしたボーナスを出したり、スイーツや甘いワインを贈りあったりと、日頃の感謝を伝える時期でもあるのです。

(蜂蜜を使ったアップルパイを作ってお祝い)

【ヨム・キプール】贖罪の日

ユダヤ新年を迎えた後、10日目にくる”ヨム・キプール”は悔い改め期間の最後を締めくくるユダヤ人にとって最も聖なる日。
この日はもちろん仕事も禁止。空港も閉まり道路にはバスも車も走らず、全てのお店が1日シャッターを下げます。

(ヨム・キプール限定、歩ける高速道路)

普段から戒律を意識していない人も断食をすることが多く、贅沢品を身につけることも控え、シナゴーク(小教会)でお祈りを捧げたら家で家族と過ごすのが一般的。

(コロナ禍でシナゴークに人数制限があるため広場に男女分かれて集まる風景)

(持ち出しOKな聖典)

また、ヨム・キプールにはもうひとつ外せない裏のBIGイベントがあるんです。
それは道路の真ん中を自転車で爆走するちびっ子暴走族!

(高速道路にて)

車が激しく往来する道路ではできない、年に1度のお楽しみ。
”ここぞ!”とばかりに張り切る姿が微笑ましく、近年の風物詩になっています。笑

(ビーチ沿いの道路にて)

【スコット】仮庵祭

まだまだ半袖にサンダルで過ごせる9月後半〜10月後半。
街中にはスコット(仮庵)に飾り付けを始めるイスラエル人の姿が見られます。

(イスラエルにも咲く藤の花)

遡ること紀元前13世紀、ユダヤ人の祖先がエジプトの奴隷生活から脱出し、荒野で40年彷徨いながら仮庵に暮らした歴史を忘れないためのお祭りです。

(スコット.ここで寝るのはちょっと背中が痛そうだ)

7日間続くスコットの期間は、ここで食事をしたり寝泊まりをすることも。シトロン(レモンに似た果実)やシュロの葉を飾った様々な手作りスコットが見られて、目を楽しませてもらった1週間でした。

(ウィークエンド・シトロンケーキを作ってお祝い)

【シムハット・トーラー】律法の祝典

スコットから7日目の最終日は”シムハット・トーラー”にあたります。
ユダヤ教徒が1年かけて読み進めるトーラー(モーセ五書)を読み終える日です。全世界のユダヤ人が、毎週同じ箇所を読むように定められているのだそう。

日の入り直前に、思いついて近所の広場に行くとトーラーを中心に歓喜のダンスが繰り広げられていました。

(コロナ禍でシナゴークに人数制限があるため広場に男女分かれて集まる風景)

例年だと手を繋いでグルグルと円を描いて踊るそうなのですが、2020年はソーシャルディスタンスを徹底していたみたい。

情熱的な姿に圧倒されながらも、とても興味深く拝見させてもらったのでした。

【ハヌカ】光と油の祭り

雨季とともにやってくる肌寒さに、やっと長袖を着始める12月。

(アラビックな街並みのOld Jaffaにて)

街中ではクリスマスのイルミネーションではなく、9本の台がある”ハヌキア”と呼ばれる燭台を頻繁に見かけるようになります。

(街中に置かれるハヌキア.ハヌカの期間中毎日1箇所ずつ火が灯されていく)

"ハヌキア”を飾る由来は、イスラエルがシリアのギリシア人の支配下にあった紀元前2世紀に、反乱を起こしエルサレム神殿を奪回した時の話に遡ります。

ユダヤ人がエルサレム神殿を占領した時に、ほんの少しの油で燭台のキャンドルが8日間燃え続けた奇跡を祝って始まった、光と油のお祭りなのです。

(Mr.Donutsだけどあのミスドとは違いますよ)

"光と油のお祭り”ということでスフガニヤ(ジャム入りのドーナツ)やカラフルなドーナツが店先に並び、賑やかになるんですよ。

「ここのドーナツ美味しかったよ」なんて情報交換をしながら、楽しくハヌカのシーズンを過ごし、案の定顔が丸くなりました。笑

(可愛いドーナツについテンションが上がる)

クリスマスイベントと比べると慎ましく見えるハヌカですが、毎日1つずつ火が灯されていく様子は異国情緒に溢れていてロマンチック。
イスラエルだからこそ、の体験です。

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次週の【後編】では、『イスラエルのハロウィン』のお祭りからご紹介します♡

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☆おまけ『イスラエル人を知る近道はスーパーに』

駐在を始めてからまず億劫だったのが、スーパーへの買い出し。

(イスラエルによくあるロシア系スーパー)

お肉は量り売りだから店員さんに話しかけないといけないし。
レジのお姉さんが右から左に乱暴に流した商品を、急いでエコバックに入れながらお会計をしないといけない。
とろとろやっていると、列を抜かされるし舌打ちをされたこともあった。笑

日本のスーパーがどれだけ天国だったのか思い知らされた。

しかし、早く慣れるために毎日近所のスーパーに通っていたら変化が出てきた。

お肉屋さんのおじさんは、自分の奥さんの話を面白可笑しくしてくれるようになり、レジのお姉さんは「素敵な服ね」なんて、笑顔で声をかけてくれるように...。


余裕が出てきて気づいたのは、イスラエルのスーパーは”イスラエル人の自由さが遺憾無く発揮されている場”だということ。

ある時は、とっても邪魔な場所にスクーターが停めてあったり。

陳列場所に困ったのかレタスが冷蔵庫の間に挟まっている日も。

極めつきは、私がレジに置いた商品を覗き込んだ前に並んでたおばさまが
「今日はチョコ4つ買ったほうがお得なのよ!分かる?!」と、チョコを2つ追加で持ってきてくれたこと。笑

イスラエル人って、ちょっと強引でお節介なところがなんとも憎めない。
面白エピソードの積み重ねで、苦手なスーパーが楽しい場所に変わったのでした♡

参考:
・「DIAMOND ONLINE 2019.9.18ユダヤ人に成功者が多いのはタルムード〜」
https://diamond.jp/articles/-/212304
・「地球の歩き方 特派員ブログ」
https://tokuhain.arukikata.co.jp/telaviv/cat4104/
・「エルサレム・クロック〜イスラエルの春夏秋冬〜(著)大桑 千花」
・「JIFAユダヤのお祭り」
https://japan-israel-friendship.or.jp/category/special/festival/

おすすめ:
”出エジプト紀”の理解が深まるアニメ映画
「The Prince of Egypt」
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GS663MJ

最後までお読みいただきありがとうございました。トダラバ♡

著・写真 がんちゃん


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