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ラオスで異文化体験したら価値観が変わった!

ganasサポーターズクラブで開催する分科会【青空ゼミ】。8月は「JICAシニア海外協力隊~ラオスで異文化体験したら価値観が変わった!」をテーマにUさん(65)からお話を伺いました。

Uさんは大学で考古学専攻し、発掘や文化財保護活動を25年間してきたバリバリの学芸員さん。退職を機に2021年から2年あまりをJICAシニア海外協力隊(2021年度1次隊)としてラオスで活動されました。先日は、その活動から得られた体験・知見を語っていただいたのでした。

実はUさん、30年前にも青年海外協力隊としてスリランカに赴任した経験の持ち主。つまり今回のラオス派遣は2度目です。今回のラオスに赴任期間中にはganas記者としてラオスで取材し記事を執筆するという、ものすごい行動派でもあります。

プライベートではフルマラソン15回完走(ハーフマラソンは26回)、献血回数は何と145回! そんな“鉄人Uさん”にとって、ラオスの国立博物館での協力隊活動はどのようなものだったのでしょうか。

「私の見解はラオスのほんの一部ですべてではない、という前提ですよ」と語るUさんのお話から印象的だったものを3つほどあげてみます。

1)ピンチをチャンスに変えるしたたかさ

雨期の大雨で川が氾濫

雨期の大雨によってメコン川の支流が氾濫したときのこと。周囲は水浸しで床下浸水の被害があるなか、悠然と投網をするラオス人の姿が! そう、メコン川から溢れた魚を獲っていたのです。自然災害という状況下でも大自然の恵みを得て生きるライフスタイルには目から鱗、感銘をうけたそうです。実にたくましいですね。

2)身近な死を受け入れる死生観

あるラオス人職員が若くして病死することがありました。肝臓の病気で入院したのちに退院したものの亡くなったそうです。葬儀に立ち会ったUさんが目にしたのは、寺の境内でその棺を火葬する様子。日本にはない風習です。人が亡くなることが身近で「どうしようもないこと」と受け入れる諦観のようなものを感じたそうです。

身近にある死を受け入れる死生観

ラオスでは首都ビエンチャンでも、庶民が高度な医療サービスを受けられることはなく、地方へ行けば医療のレベルは貧弱と言わざるを得ないとのこと。

3)社会主義、公務員ということから(?)仕事不熱心

公務員としての収入が保障されているためか、就業時間を守らず早退してしまう職員もいるとか。博物館の資料は整理整頓がされず、倉庫に眠っていたものも多かった。ちょっとゆるい価値観をもつラオス人職員へ資料の整理やデータ管理、土日に開館、博物館の周辺の清掃、といった彼らに発想のなかった行動変容をUさんは起こすことができたそうです。

博物館の周囲の地域住民も自然発生的に道を掃除するようになったというのですから、スゴいことです。その陰にはほぼ毎日、業務外でゴミ拾いをするというUさんの地道な活動がありました。Uさんの背中を見ていたラオス人たちが心を動かされなかったはずはありません。

ラオス国立博物館の周囲を職員たちと一斉清掃する活動も始めた

南国特有の緩さというものを受け止め楽しみながら、仕事では必要なことをきっちり身をもって伝えたUさん。「魚心あれば水心」という言葉がありますが、川の氾濫が異文化の壁も打ち壊してくれたのでしょうか。

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途上国専門メディアganasのパートナー/サポーターの皆さんは色々な方がいらっしゃり、この場でしか聞けない体験・知見・エピソードを聞かせてもらえる。これもganasサポーターズクラブの醍醐味のひとつです。

*一番上の写真はUさんの活動の成果の1つ。ラオス国立博物館前に設置した館内展示室の配置図の案内板。ラオス人職員たちと一緒に撮影



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