【がん治療記x受験奮闘記】治療の説明(2)

 脳神経外科の医師からの説明として別日に放射線科の医師からも説明があった。その時は主に放射線治療についての説明だった。まず医師はこの腫瘍は手術で治るものではないという。そのうえで放射線治療の重要性を伝えられた。抗がん剤治療のみでは再発の危険性が高くなってしまうらしい。
 治療の具体的な内容は8月31日から3週間、週5回脳全体に放射線を照射するというものだ。副作用は照射している部分の脱毛と皮膚炎、嘔気であるが、嘔気はほとんど出ないと言われた。照射している部分は頭のため、結局抜けるのは最も抜けてほしくない毛である髪の毛なのだ。もうここは覚悟をしなければならないのだと思った。
 また、僕は放射線と聞くとα線、β線、γ線を思い出す。α線はヘリウム原子核、β線は電子、γ線は電磁波だということを頭の中で確認する。CT検査で使われるX線はγ線と同じ電磁波であるためこの治療で使われるのも電磁波なのだろうと予想する。高校物理の内容が医療の技術に少し掠めているというだけで興奮した。ただ、この時の僕は放射線の正体を聞くことをためらった。気になったのだから聞けばよかったのに、なぜか僕は遠慮した。このことは今でも後悔している。

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