対談2

【対談】ゲーム/eスポーツ業界アナリストの但木一真氏と、「ゲームの地位を向上させるには?」を考える。vol.2


今回は、ゲーム/eスポーツ業界アナリストの但木一真さんと、弊社ゲムトレ代表である小幡和輝の対談をお届けします。

ものすごく濃い内容の2時間だったので、全3回に分けて掲載していきます!この記事はVol.2になりますので、Vol.1をまだご覧になってない方はコチラからご覧ください。


但木一真氏:ゲーム/eスポーツ業界アナリスト。日本最大のeスポーツ/ゲーム専用施設『REDEE』プロデューサー。
Twitter: @k_tadaki
note:https://note.com/ktadaki


eスポーツの価値をどう高めるか

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小幡和輝(以下、小幡):「今回、eスポーツの価値をどう高めるか」というのを、対談のテーマとして設定させていただいているので、その話を伺いたいです。最近になって、ようやくゲーム実況者だったり、プロゲーマーだったり、ゲームで生計を立てられる人が出てきましたよね。

もちろん、プロ野球とかほどではないと思うんですけど、歴史は繰り返すと思うんです。それでいうと、囲碁や将棋、野球も、最初から「プロ」があったわけではなくて、最初は単純に娯楽として楽しまれていたものが広がって、名人みたいな人が出てきて、さらにそこにスポンサーがついて興行になった、というのが歴史としてあると思うんです。

おそらく、ゲームも今その段階にあると思うんですよね。だから「ゲームが仕事」というのもようやく文化としてちょっとずつ浸透してきたと思ってはいるんですけど、そう感じている人と感じていない人の乖離がすごく激しいな、とは感じているんですよね。

但木一真氏(以下、但木):わかります。私の世代はまだSNSも進化していない時代だったんですよね。2010年代以降になって、TwitterやYouTubeといったコンテンツの土台ができて進化してきた。そこで、エンターテイメントの1つとして活動する人が増えてきたんです。だから、それ以前に社会に出た私の世代はそれがよくわかんないという人は多い。

つまり、私より上の世代にとっては、もう未知の世界なんですよ。「エンターテイメントをを職業としてやりながら生活している」というのが、想像できないんですよね。芸人さんでも、テレビに出ていないと売れていないと思われる。実際はテレビに出ない仕事をしていて、ものすごくお金を稼いでいても、「テレビに出る」というのが1つの指標になっているんですよね、その世代にとっては。

それが、ゲームでもそうなんです。今、世界で一番YouTubeの登録者数が多い人って、PewDiePieというゲーム実況者なんです。でも、それが全然ピンとこない人もいる。ゲーム実況者やプロゲーマー、それに派生するような職業の人は、全然理解されない。私は結構そこにモヤっとしてます。

小幡:わかります。今年(2019年)の「フォートナイト」の世界大会の賞金、3億円とか出ていたじゃないですか。その話をすると、『ゲームでそんなお金もらえるの? 羨ましい!』とか言われるんですけど、ユーザー人口で考えた時に1億人以上いる中で優勝するのが、どれだけ大変か! と思ってしまうんですよね(笑)

もちろん知らないものしょうがないんですけど、理解できないが故に偏見を持たれてしまう、というのはゲームではすごく多いと思うんですよ。

但木:そうですね。


「ゲームがお仕事」という文化を作るためには

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小幡:僕はゲームでお金を稼げるということを見せる、っていうことがすごく大事だと思っているんです。囲碁や将棋などの他のスポーツがちゃんと評価されているのは、プロという仕組みがちゃんとあって、お金を稼げるということが見せられてるからだと思うんです。

僕が作りたいのは、「ゲームを教えるインストラクター」がいる世界なんです。つまり、ゲームトレーナーという職業が作りたいんです。プロゲーマーになれたら一番いいけれど、そこに届かない人っていうのはたくさんいるんですよね。

でも、そういう人たちが教えることでお金を稼ぐというのが、他のスポーツではあるんですよね。なので、ゲームでそれが実現すると、もっと裾野が広がると思うんです。

そう思って、今ゲムトレを始めたんです。

但木:なるほど、一つの派生の職業ですよね、ゲームを使った、今まで想像できないような職業が、実はありえるっていうことですよね?

小幡:はい。すごい驚かれますけどね(笑)でも、今うちで一番稼いでいるトレーナーで、月8万円くらいはお金を支払えているんですけど。これをもっと発展させていって、ゲームトレーナーとして生計が立てられる人が増えれば、新しい文化を作れるんじゃないかと。まずは「ゲームトレーナー1本で飯を食えています!」っていう人を作りたいんですよね。

但木:いいですね。今の時代、ゲームを学びたいという人はたくさんいると思います。例えば、子どもとゲームする時に活躍できず、恥ずかしいというご両親がいるんですよね。今、親のためにやるゲーム講座とかも、実は需要あるんじゃないかと思っています(笑)

小幡:わかります!(笑)うちにもそういう生徒がいます。ゲムトレの生徒は子供だけじゃなくて社会人の方もいるんですけど、そういう動機で受講されている方もいます。

但木:それ、すごく素敵ですね。子どもの関心のあることでコミュニケーションが取れるのって、1番いいじゃないですか。おじいちゃん、おばあちゃんとかだと、更に頭の運動にもなるのでいいですね。

実は、私が記事に書いたこともあるんですけど、スウェーデンに『CS:GO』というゲームのeスポーツチームがあるんです。このチームが平均年齢が70歳くらいのおじいちゃんと、おばあちゃんで構成されていて、すごくかっこいいんですよ(笑)『Silver Snipers』というチーム名なんですけど。

小幡:それは面白いですね(笑)先日、障害を持たれている方のゲーム大会もありましたけど、ゲームって年齢や性別、身体能力とか関係ないですからね。多くの人がフラットにできるスポーツだと思っています。

※FPSとは:ファーストパーソン・シューターの略。
プレイヤーの一人称視点で操作するシューティングゲームのことを指す。
(操作しているキャラクターの体全身は見えず、腕などのみが見える。操作しているキャラクターが見ているものが見えるような構図になっています)

※編集部注釈:但木さんが執筆された『Silver Snipers』についての記事はコチラ。参考になるのでぜひお読みください。


副業としての可能性

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小幡:結局プロゲーマーになれるのはほんの一握りで厳しいと思うんですよ、特に選手生命もすごく短いですし。ただ、プロゲーマーのキャリアを終えた後でも、「教える」ということはできる。そうすると、副業としてのゲームも増えると思うんです。

特に、自分の好きなゲームでお金がもらえる。やってきたことが評価してもらえる嬉しさ、っていうのもあると思うんです。

但木:それ1本で食べていけるというのもすごくいいと思うし、それと色んな組み合わせで食べていけるのも重要だと思いますね。だからこそキャリアが柔軟になって色んなこと挑戦できるようになった時に、ゲームで実況してもいいし、ゲムトレで教えてもいいし…ゲームが上手いという特技が仕事になるという柔軟な選択肢がどんどん増えていくのは、すごくいいと思いますね。

小幡:本当にそうだと思います。

但木:大きな話をすると、そうならざるを得ない時代になってくると思うんですよ。大企業が終身雇用の終わりを宣言して、個人が柔軟になるしかなくなってきているんですよね。柔軟に職業選択をしなければならない時代が来る。

その中で、ゲームが上手いとゲームトレーナーとしてお金を稼げるんだってなると、すごく価値のある選択肢になると思います。

小幡:終身雇用が難しい、となったら、色んな生き方を生み出していかないといけないですよね。

但木:そうですね。終身雇用って、すごいシステムでしたよね、本当に。昔はここに勤めれば安心、というのがありましたけどね。でももう、そういう時代じゃないんですよね。それが無理になった時、生き方の究極にあるのが「ゲームで飯を食う」ということだと思うんですよね。

小幡:「ゲームで稼いだお金で生計を立てる」ことに対して、『そんなことで?』て言う人もいると思うんですけど、それって音楽とかも同じだと思うんです。見て楽しむ、という意味では。本当に極端なことを言うとエンターテイメントって生きてく上で最低限必要なものではないじゃないですか。でも、生きるためのことってもう整いだしてきて、そうなった時に感動とか心の豊かさとか、エンターテイメントにもっともっと価値が出てくると思うんですよね。

但木:たしかにそうですね。


次回に続く。次回は、最終回。「eスポーツの価値を高めるための現状の課題とは?」というところに切り込んでいきます。

続きはこちらからら↓

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但木さんが執筆された著書『1億3000万人のためのeスポーツ入門

Twitter: @k_tadaki
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