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『スティーブ・ジョブズ(I・II)』読後感想|げー読

スティーブ・ジョブズ(I・II)を購入し読了したので感想を上げる。

※本記事は2012年2月21日に筆者のWordPressサイトに投稿した記事をnoteに移行した内容となります。なお一部を加筆修正しています。

Apple、iPhoneについての見方

自分はMacは使いこなせないし、Apple信奉者でもないが、iPhoneだけは革命的に凄いデバイスだと思っている。
iPodでは予めPCに入れた音楽や動画しか再生できないが、iPhoneは歩きながらYoutubeから音楽や動画を取り出せる。ソースは無数にあり、端末に入れる必要は全くない。
勿論、CDを購入してiTunesからPCでデバイスに同期させることもできる。

ソフトキーボードも常人に考え付かないような入力になっている。
パーソナル・アシスト機能、携帯、動画、音楽、メール、ブラウザWEB、ショートメールが普通に使える。更にアプリを追加することで機能が無限に増やせる。
テザリングでPCにネット機能も不要になる。

もうPCに残されたのはキーボードによる入力とグラフィックなどの高速処理などリッチな機能のみで、持ち運びと大きさからすると圧倒的な機能差がPCとスマートフォンの間に付いてしまった。

2011年を境に、ネットブックや小型PCは市場縮小し、ここからハードとしてスマートフォンをどの程度強化するか、アプリやソフトとしてどの程度のものが作れるかという時代に入っていくのは間違いない。

本を読んで、ジョブズは自分の生涯からは考えられないような経験をしている。
人間は内なる世界と外(リアルの)世界とをいかに折り合いをつけて生きていくかということ。「普通の人にとってのリアル」は逆に自分にとっては希薄なもので、PCの画面に何十時間向かっていても苦痛ではないのだと感じた。

ジョブズは捨てられた子供という苦痛から逃れるために禅や自分探しを行った。それと同時に薬でトリップしたり修行で解脱することで悟りに達しようとしている。

自分は宗教は金儲けの一つの手段と思っていて特に信じてはいないものの、
か、そういう「解脱の瞬間」があるのは知っている。
丁度音楽を聴いていて一瞬、聴覚が物凄く冴えて音がクリアになる瞬間があるようなものだ。自分が解脱の方法としてありそうだと思うのは、音楽やゲームだろうか。
Pendulumの音楽をずっと聴いていると間違いなくハイにはなれる。
問題はここから更に、超越した意識に入っていけるかどうかだ。
ただ没入というのと、超越的な意識に入るというのはイコールではないのだろうけど。

スティーブ・ジョブズ I

2012/2/1 スティーブ・ジョブズ1読了。約10日かけて読み終えた。しかしもう1巻ある。

内容はジョブズの生い立ち、捨てられて養子に出された先での幸せな子供時代から、クレイジーな大学時代、中退後天才の友人ウォズ(スティーブ・ウォズニアック)とアップルを設立し、社内での小競り合いからマックチームを率いてマックを売り出し、ジョン・スカリーとの対立に破れアップルを去りネクスト設立、NeXT失敗しピクサーでCGアニメーションに関わり、トイ・ストーリーで大成功するところまでが描かれている。

人物については妥協なきデザイン先導師という言葉が当てはまる。
自身が納得できなければ、例え人の目に触れないプリント基板だろうが、製品に全く関係のない工場の壁の配色だろうが容赦なく変えさせる。
利益が出なかろうが、関係なく直させる。
これが当たると思えば、製品をパッケージ化して売る才能は物凄い。

ただ、デザインや製品に関する情熱、ビジョナリーとしての才能は凄まじいが、経営者としては全く不適格で、頭が悪いと思った相手にはまともに相手をせず、最初は情熱的に接してもやがて関係に亀裂が入り、最後は互いに暗闘したり罵倒して別れたりといったこともしょっ中起こる。

クレイジーで情熱的なデザインと製品の先導師の一生、という感じで駆け足だが楽しめて読めた。
ただレビューにもあるように、人物が多すぎて誰が誰なのか文では分からなくなってくるところ、エピソードが破天荒なものばかりで書きようによってもっと面白くなったであろうことは、残念な点だ。

スティーブ・ジョブズ II

続いて、スティーブ・ジョブズ IIを購入し読了。ジョブズの後半生は怒涛の勢いで事業や製品を世界的に推し進めていく。
一例としては以下のような事だ。

■ピクサーへの投資/ディズニー合併
■アップル復帰/Think Different
■imac/ibook/Powerbook
■iPod/iTunes
■アップルストア
■iPhone/APPストア
■iPad/iPad2

特にiPodやiPhoneについての経緯が知りたかったのだが、音楽業界でどのようにジョブズが切り込んだかが知れて良かった。
ただ、読んでいると自分は経緯がより知りたいのであって、ジョブズの全体像についてさほど興味はないということが分かってきた。
余りにも生涯の内容が膨大なので、本当に表面をざっくりという読み方しか出来ないからだ。

しかし、iPodとiTunesというハード・ソフト・コンテンツ統合は30年かそれ以上も先取りしたジョブズ以外に出来るとは思えない偉業だし、電話とWEBと音楽を1台の携帯にまとめようというiPhoneは各社が慌てて追随せざるを得ないほど天啓のようなデバイスだ。
アプリで機能拡張を出来るのが最大の特徴で従来の携帯やPDAには全くなかった発想。
あらゆる意味で先駆的で発想が飛びぬけている。

Webマネーの企業は98年か99年で、オンラインのコンテンツが溢れ、容易くコンテンツを買えるようにという、数年先取りした発想だと思う。
確かにインフラやそれによるユーザーニーズを先取りし、そこに欲しいものを売り出す会社を起業する、そういう動きをして初めてユーザーからお金が流れてくる。
ネットワークのインフラの成長もあるが、ジョブズはそういう土台すら作ってしまう。
やはり、アプリ作って売れれば儲かるという市場を作り出したのが一番凄い。
現にこれを生業とする人や会社もいるだろう。

限りある人的、資源的リソース、それらは全て幾つかの有効な局面のみに集中しそれ以外は全て破棄する。
そういう絶対的な集中の眼力があるからこそ成立する。
世が検索やSNS、検索連動広告といったWEBの中の話にのみ話題を集めていたその時期にすら、ハードからコンテンツまでの一体型ビジネスを頑として貫いたことだ。2000年初頭から2007年くらいまでの身近な状況を思えば分かる。

読んでいて感じたのは創意工夫を是とする会社でクオリティの高い仕事に携わることこそが重要だ。ビジョンを実現するために何が必要かを考え、行動する。
本(伝記)としては刺激を受けたし面白かったが、よりiPhone等の製品に傾注した本も読んでみたいと思う。

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