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やはり彼は凄いよ。AppleTV+「STILL マイケル・J・フォックスストーリー」

マイケル・J・フォックス。私のイメージではバック・トゥ・ザ・フューチャーのマーティ役で一世を風靡したが、キャリア全盛期にパーキンソン病を患っていることを公表した悲劇のスター、というものでしたが、それは一面的すぎる物の見方だったことを痛感しました。

まず、彼は一線を退いたりしたこともありますが、2020年まで俳優活動を続けていました。映画で見かけなかっただけで、スチュワート・リトルの声優もやっていたし、テレビドラマにも結構出ていた。勝手に終わったと思っていた自分を恥ずかしく思いました。

ドキュメンタリーは、そんなマイケルが小柄な身長を生かして子役という天職を見つけ出し、テレビドラマや映画で頭角を現していく様子を描いた前半と、パーキンソン病を発症しながらも、それを隠しながら撮影に挑んでいた数年間を描いた後半に分かれていました。
前半もかなり印象的で。163センチという身長は、日本ではそこまで小さい印象は無いのですが、ヨーロッパ系の人たちと並ぶと確かに小柄なんですよね。きっとコンプレックスもあったでしょうが、それを武器に変えていく様子が痛快で。
それでもハリウッドに来てからはギリギリの生活を送っていたことが描かれており、彼ほどの成功を収めた人でもそうなのだから、あそこは本当に屍累々の世界なんだろうなあ、と恐ろしくなったり。

後半はなかなか辛い話で。バック・トゥ・ザ・フューチャー3の撮影時にはもう症状が出ていたということで、薬やアルコールに頼りながら、マイケル・J・フォックスであることを演じ続けた話は心が苦しくなりました。

それでも彼は家族に気付かされ、病気をカミングアウトすることで、その逆境に向き合おう決意を固めました。
その後の話はドキュメンタリーではほとんど語られませんでしたが、随所にインサートされる妻(トレイシー・ポラン)や子どもたちとの関係性から、決して楽ではない道を、彼らとともに明るく進んできたのだろう、と思わされました。

マイケル・J・フォックスはBTTF上映時から日本でも高い人気を誇った俳優でしたので、本作は彼のファン、ファンだった人には深く刺さるドキュメンタリー映画になっていたと思います。


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