記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

笑って笑って考えて「バービー」

日本で公開されるまでに色々言われてましたが、いやこれは良い映画でしたよ。

2001年宇宙の旅パロディに始まり、バービー人形が当時の社会に与えた影響、勿論フェミニズムの意義も論じつつ、男女の問題、何者かにならないといけないプレッシャーからの解放など、様々な要素を取り込んでいるもの、語り口はあくまでコメディ。時折お下品な要素もあるのに最後まで品が良く。このあたりマーゴット・ロビーの醸し出す雰囲気も、作品の品質に強く影響を与えていたと思います。

個人的に好きだったのが、ヘレン・ミランによるナレーション。物語の背景を語りつつ、バービーが「私不細工になっちゃった……」と嘆くと、「マーゴット・ロビーが言うと説得力が無い」とメタに突っ込むなど、ちびまる子ちゃんのキートン山田を彷彿とさせるノリの良さで楽しませてくれました。

あと、ラストを安易にカップルが抱き合って終わらせるのを、マーゴットバービーが断固として拒否するのが面白くも素敵でした。そのハッピーエンド、男は満足かも知れないけど果たして女性にとってはハッピー?と最後まで問題提起を忘れず、それでいてケンと抱き合って終わるバービーもいて、勿論完璧では無いけれど、各々にとっての幸せとは何かを問い続ける作品でした。本作主人公のバービーは、キャラクターではなく一人の人間として生きることを選びました。それは皆がそうすべきでは無く、彼女がそうしたいと願ったからそうなった。人形バービーとして生き続けることも否定せず、本当によく出来た幕切れでした。

その他にも、自虐的なマテル社の役員たち(本当はもっと女性役員いるよね?)や、ケンに乗っ取られたバービーランドの奪還法など、男性あるある的な描写の可笑しさなど、笑える要素は数え上げるとキリが無いほど。
また、ライアン・ゴズリングは肉体のみならず、歌唱力も素晴らしく、あ、そういえばララランドの人だったわと改めてその才覚に恐れ入ったり。いい曲盛りだくさんなので、ミュージカル映画的な文脈で宣伝したら日本でももっとヒットしたのでは?と思ってしまったりもしました。

世界中のピンクの塗料が無くなるほど使ったと言われるセットなど、お金はめちゃくちゃかかっていましたが、テーマ的には日本でもやれそう、と思ってしまう面もあり。タカラトミーさん、二番煎じでいいので、リカちゃんで映画やりません?あそこまで自虐的に扱われる覚悟で……。

まあとにかく、そろそろ地方では吹き替え版限定で一日一回上映の所も増えてきていますので、未見の人は映画館に足を運んで損は無いと思いますよ〜。

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,918件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?