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2021年 おやじが撮影した 桜10選

いくつになっても桜を見ると感傷的になる。
在宅引きこもりの僕も、人生の峠を過ぎ、あと何回見られるのか?考えながら今年の桜を眺めた。

昨年の桜は、コロナを騒ぎ始めばかりの頃で、人気の無い緊張感の漂う中であったが、今年の桜は緊急宣言も過ぎ、心静かに味わえる桜となっている。

それでは近所の桜を紹介させて頂きたい。

1.桜のつぼみが膨らみ始める頃 
  この1年暗い生活を送ってきた僕の眼に飛び込んできた桜のつぼみ。世の中はどうであれ、冬の間、じっと咲く準備をしてきたんだ。また会える、ということに感謝したくなる瞬間だった。

①20210401 No10桜

2.開き始めた桜

  ふと知らぬ間に咲く桜。初恋の人に出会えたような気がした。
ちなみに僕の初恋の相手は 小学校3年生の時で、えっちゃん、と言う。背が低くて、真面目で、黒くて澄んだ瞳をしていた。雰囲気は、NHKアナウンサー 池田伸子さんに似ている感じ。
髪が黒くて、おしとやかで、芯がしっかりしていて、落着きがある。あの頃は全てが切なく思える。 

② 20210401 NO11桜

3.しだれ桜と錦鯉。

 ソメイヨシノより早く開花したしだれ桜を近所の寺で撮影する。
 桜のピンクと錦鯉のカラフルな色が妙にマッチしていて、思わずモネだったらどう描くかなあ?なんて考えながら見とれていた。
 ちなみにこれは会社の昼休みに抜け出して撮影したものだ。仕事より利益目標より、桜を今見ておかなければならない、と心に念じて、職場から走っていって昼休みに撮影した、渾身の1枚だ。  

③  20210401 NO5 桜DSC_1139


4.埴輪と桜

  桜には埴輪が合う。いやそんなことはないでしょう。
  もともと、埴輪は葬送儀礼を表現したものといわれ、を感じさせるものであるが、咲き誇る桜も やがて散りゆき、埴輪の待つ死の世界に行きつくか、と考えると、思わぬ諸行無常を感じてしまう。
  桜と埴輪、生と死、マッチしていないが、それは避けられないものだ。

④ 20210401 NO9桜


5.池に咲く満開の桜

  早朝の散歩で満開の桜を楽しむ。思わず唄を読みたくなる程美しい。
  池に映った桜を見ながら、僕は池の底に沈みそうになった。
  美というものを感じられる僕の心が残っていたことに、思わぬ感謝する。心が荒んでいれば、美など感じる余裕は無い。今は、美しいものを美しい、と言える。それだけで何だかうれしいのだ。

⑤ 20210401 NO2 落合桜.


6.1本の桜 
 1本の桜。
 この桜とは直接関係ないのあが、僕は、陸前高田で震災後に残った、奇跡の一本松を思い出した。
 震災後10年。あの時も桜は綺麗だったはずだ。でも、その時の桜を覚えていない。国中が桜どころではなかったのかもしれない。今、こうして桜を味わえる喜び。
 震災の時に生まれた子が、今年は小学校4年生になる。10歳だった子が20歳になる。40歳だった僕は50歳のポンコツおやじになってしまった。

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7.並ぶ桜木たち

 遠近感のある桜。立ち並ぶピンクの花を見て思い出したのは、ゴッホの絵だ。
 オランダのゴッホ美術館で見た、その絵は、鮮やかな桜の絵と思ったが、実は<花咲く桃ノ木>という絵だった。オランダで桜に出会えた、という嬉しい勘違いをしたことを覚えている。でも実物の絵は、本当に桜に見える。一度見てほしい。

 ゴッホは生前、絵が売れず、報われないまま死んでいったとされているが、僕は最近、ゴッホをとてもうらやましく感じる。
 絵が売れようが売れまいが、お金になろうがなるまいが、すべてを忘れて絵に夢中になれることがいかに幸せか、と思う。
 そういうゴッホに私もなりたい。

⑦ 20210401 No3 落合桜DSC_1162


8.コロナ禍での花見

  天気のよい平日。在宅勤務を抜け出して公園に行くと、お母さんと子供たちが弁当を食べながら、楽しそうに花見をしていた。

⑦-220210401 NO7桜 

  僕は会社に入ってからずっと、会社で一生懸命働けば幸せになれる、と信じてきた。娘たちの出産にも立ち会っていないし、娘たちが小さい頃、一緒に花見に行った記憶もほとんどない(2人とも今は大学生だ)。

  でも、お日さまの下で子供と笑顔で花見をしているお母さんたちを見て、猛烈な嫉妬感情が沸いた。

 「俺も会社になんて夢中になっていないでもっと子供と花見がしたかった。」と激しく後悔した。

  家に帰って、大学生の娘たちに「花見に行こうよ。」と言ってみたが、「なんで?花なんてもう見たからいいよ。なんでパパと見なくちゃいけないの?」と言われて凹んだ。 


9.夕暮れの桜

 日が沈む頃、池の前の桜とともに人生の切なさを想う。

 今日も仕事は冴えなかった。昨日と同じだ。
 でも、そんなことは どうでもいいのだ。と桜が僕につぶやく。

 夕暮れ時のロマンチックな桜を前に、LAWSONで購入した缶ビールを飲みながら、自分で自分を慰めていた。ビールと桜が絶妙にマッチする。そして、僕は詩人になり、酔っ払いになり、言いようのないストレスを心の奥に葬り、一瞬の癒しを得ていた。

⑧ 20210401落合桜DSC_1171


10.夜の桜 <ラスト>

  日が沈む頃、ライトアップされた桜を見る。

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今から30年程前、社会人になりたての頃、会社の先輩たちと見に行った桜が本当に懐かしい。

 あの頃、仕事が終わった後、上司先輩と一緒に桜を見にいくことが普通だった。もちろん、ビールと焼き鳥がセット。
 今では会社の同僚とみるようなことは考えられないし、部下を誘ってもついてこない。仕事に花見では、パワハラだといわれかねない。
 仕事の評価に関係ないことに付き合って意味はない、という感覚は中年の僕でもそう思う。

 それなのに、何故あの頃、先輩と一緒に見た桜はあんなに楽しかったのだろう? 今ではパワハラ呼ばわりされる花見も、あの時は心の底から楽しかった。桜を楽しむ心の余裕が、サラリーマンに残っていたのだろうか。
 あの頃を思い出して、幸せな気分になった。 



以上、2021年の桜、いかがだったでしょうか?

皆さんもご自宅近くの桜を楽しんでくださいね。決して派手な花見でなくても、ひとりでしっとりと、親しい方と静かに味わう桜もなかなかのものです。
桜には心を癒す効果があるように思えます。今年は開花が早く、残り僅かとなってきていると思いますが、皆さまも桜を楽しんでくださいね。





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