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『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』

この感想文の前提

2月1日水曜日、仕事の後に時間を作るちょっとした事情がありどうしようかなぁと考えていた時に、今日は1日で安い日だから映画でも見るかと近所の映画館を検索した中で「まぁ、時間的にもちょうど良いしこれかなー…」くらいの感じで『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』を見に行きました。そういう決して積極的な理由ではなかったうえでの感想文です。ご了承ください。ちなみに今回もこれから見ようという人の事は考慮しないで内容をがっつり書きますのでそちらもご了承を。

内容

タイトルから想起されるような1966年のビートルズ来日公演をメインにしたわけじゃなく、公式サイトや予告編をよく見ればわかるのですが、日本でビートルズがどう受け入れられ広まったのかをじっくり見せて、来日に向けた動きもたっぷり見せて、実際の来日に関する話は結構あっさりしてます。各関係者のインタビューを中心にして、現在活躍中のミュージシャンなどの談話も挟んだ形ですかね。ちなみに、実際のビートルズの曲は基本的に流れません。本人映像もニュース映像的なものが殆どです。使用映像に関しては後述。その辺は予想した通りというか「まぁ、そうだろうな」って感じ。

全体的に

面白かったです。マニアックな部分は極力抑えて、誰が見ても面白く感じるんじゃないかなぁ。これは嘘でもお世辞でもなく事実なんですが。でも見ている時に「これこんな立派な映画館(TOHOシネマズ)で見るものかな~…?」と思ってしまったのも率直な感想。一言で書いてしまえば「すごくテレビ的」。映画として上映するにしても例えばミニシアターみたいな場所で見たら感想も違った気がします。気軽に見るほうが合ってると思います。ビートルズなら何でもってレベルの人ならともかく、それなりなファンにはかなり物足りない部分はあると思います。

どこがテレビ的に感じたか

例えば制服姿の若い女の子の映像をブリッジ的に使うとか、評判が良いらしいエンドロールの「老若男女の男女がビートルズの好きな曲を答える」ってのもテレビっぽい。一通りの説明はするけど、一つ一つの話題に深くは入らず概要だけをさらって次の話題に移るのもテレビ的。ビートルズが大ブレイクした前後の日本の音楽の話が一番謎だった。その話題からのビートルズとの繋がりが薄すぎて、正直「このパート必要?」とは思ったし、逆にあそこをもっと膨らましたらもうちょっと音楽的なドキュメンタリーになった気はする。この辺の匙加減次第で鼻につくマニアックな出来になるとは思うので、今回はそっちの方面には舵を取らなかった作品であるんだろうなとは思います。さらに作品の最後は結局「新しい時代を作るのは、若者なんだ!」って結論で締めたのが一番テレビ的。と言うか、エンドロールに流れる数冊の参考文献の「美味しい部分」だけを繋げて一本の作品に仕上げた感じがテレビ的に感じました。

良かった点

ここまで書いておいて、良かった所なんてあるの?となってしまうかもしれませんが、幾つかあります。これまで活字で読んでいた談話が実際に動いてる姿で語られる様は説得力が増すのは確かです。まぁ、多くの時間が流れているので語り手が多少盛っている部分があるように思われるのは否定できませんが。一番良いインタビューだったのは当時のファンクラブ会員だった女性の談話ですかね。一番リアルに感じられました。あと上で書いたのと矛盾すると思われるかもしれませんが、変に深く突っ込まずにスルスルと進んでいくのもこの作品の良い点だと思います。

使用映像について

今回のはストレートに書いてしまえば「公式」作品ではないので、実際に出てくるビートルズの姿は主にニュース映像が多いことは先に書きました。その中で数少ないビートルズの演奏シーンは
・1963年10月スウェーデンでのテレビ出演
・1964年2月ワシントンDC でのライブ
・1964年10月テレビ番組「Shindig!」収録映像
・1966年6月ドイツ公演
だったかな。この辺の映像の権利関係ってのはどうなってるんでしょうかね。64年2月ワシントン公演とか公式での配信リリースもされてましたが、今回のはかなりぼんやりした映像が使われてました。で、「あれ?来日公演の映像は?」とお思いになる方もいらっしゃるでしょうが、今回来日に関する映像としては多くの部分を近年警視庁が公開した警備体制を主題とした当時の記録フィルムで賄っていたのが新鮮でした。あれこういう使い方もして良いんだと思いました。なので「武道館での動くビートルズ」はその警視庁フィルムにある数秒の演奏シーンと退場シーンのみです。確かに使える映像がこれだけでは作品の中心にするのは厳しいのかなと思わせました。ちなみに、「公式」ではないので英国側の証言者として出てくる人選も結構微妙なラインです。いやちゃんとした関係者ではあるけど。でも所謂「ビートルズ正史」ではそんなに大きく扱われない人達かな、とは思います。

結論

色々書きましたが、ちゃんと良い作品ではありますし見てみようかなという人に止める理由もないです。なので興味のある方は是非。強くお勧めもしないですが。


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