見出し画像

中国を想う

うっかり気付かずに過ぎたが、1月23日は私が中国武漢から帰国してちょうど2年という日だった。2年前2020年1月23日武漢は突然都市封鎖された。私は封鎖前最後の国際線で日本に帰った(春節の連休で帰国するのに、偶然その成田便を予約していた)。

その後私は中国には戻らず、職を辞することにした。齢相応の持病も有り、齢相応に体力の衰えを自覚する身には、病禍収まらぬ異国での単身生活に自信が持てなかった。結局私の中国勤務は10ヶ月だった。

武漢在留邦人の多くは、日本政府のチャーター便(全5便)で帰国したが、彼らは封鎖が解かれると武漢に戻り、それぞれの職場で業務を再開した。その後今に至る2年余り、帰国できていない方々が多数いるという。駐在員の皆様には本当に頭が下がる。普通に行き来できる日に戻ることを心から願う。
※現状の入国時に必要な手続きと待機ルールでは、海外駐在員の一時帰国は難しい。もちろんそれは中国に限ったことではない。

私は2019年3月に武漢に赴任した。3年の労働許可を得ていたが思いもよらぬコロナ禍により滞在は1年足らずだった。仕事は全て中途半端で、何の成果も残すことはできなかった。延長戦のマウンドに上がるような気持ちの中国勤務だったが、突然の豪雨(コロナ)で試合は終了となった。

中国史好きの日本人は多いが、私は "始皇帝" も "項羽と劉邦"も "三国志" も全てに疎く何の知識もなかった。中国行きを決めてから、どうせ行くなら「中国史をかじってみよう」「史跡を巡ってみよう」と考えた。特に兵馬俑と万里の長城は絶対行こうと誓ったが、叶わなかった。

兵馬俑(へいばよう)
万里の長城

やりたかった仕事が中途に終わったことは残念であり、こんな老兵を呼んでくれた中国の会社の皆様には申し訳なく思う。仕事のやり直しはもうできないが、いずれまた中国には行ってみたい。そして古(いにしえ)の英傑たちの足あとを巡ってみたいと思っている。そんな日に備えて司馬遼太郎の「項羽と劉邦」と、コミック「キングダム」で学ぶこの頃である。

< 了 >

P.S. タイトル画像と下の画像は、武漢の西北250kmに位置する襄陽市にある諸葛孔明の像です。彼は若き日にこの地に居を構えていました。劉備玄徳が諸葛孔明を迎える際の "三顧の礼" は、この辺りを舞台にした故事です。映画になった "赤壁の戦い" (Red Cliff) の古戦場は襄陽市郊外にあり、観光スポットになっています。襄陽市にはちょっと難しいお客様との商談で、何度か訪れました。その度にホテルの隣に建つこの像には励まされたものです。

諸葛孔明像
隣接するホテルから見える像


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?