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長く助走をとった方がより遠くに飛べる

先週は投稿を飛ばしてしまった。私は毎週一編の投稿を心掛けている。毎日投稿を続ける鉄人noter さんも多くいる中、何とも低い目標設定ではあるが、note を始めてからの約2年概ねそれを守っている。

この前に記事を飛ばしたのは昨年7月。安倍元総理が凶弾に倒れたその日、私はとても下らない記事を既に書き終えていた。だがそんな大揺れの時にその記事は相応しくないと考え、投稿を取りやめた。

先週投稿しなかった理由。それは書いた記事の出来が悪かったから。初め「ここらへんの史跡をゆく」シリーズ⑫「岡崎ふたたび」を書く準備をしていた。しかし私は、その週にあったWBC(ワールドベースボールクラシック) にいたく感動してしまい、急遽侍ジャパンと大谷くんを称える内容の「余韻冷めやらず」と題した記事に変更した。

ボツ記事のタイトル画像
ボツ記事中に添付していた「大谷翔平くん高校時代の目標達成ノート」 内容が素晴らしい!

1,500字あまりを一気に書き上げ、読み返してみるとこれが‥‥
実につまらん! 面白くない! ありきたりの内容ばかり。

「大谷くんのホームランが自分の広告に当たったり、決勝の最後にトラウトと対戦して三振を取ったりがまるで漫画のよう」とか「決勝前の大谷くんのスピーチの見事さ」とか「メンバーそれぞれの人格の素晴らしさ」を書いたのだが、私がそれを書く必要はない。たくさんの人が書いている。

しかもオチは「WBCで無敗の侍ジャパンに唯一勝っている中日は最強!」。こんなのは、名古屋じゃみんなが言っている。

で記事はボツ!。投稿を一週飛ばした。

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あまりのWBCの感動で、私は自分の使命を忘れていたようだ。2年間何度も考えた「私がnoteをする意義」。そもそも私には教えるべきことも、伝えたいことも無い。そんな私は、新米老人のまわりで起きる出来事諸々~その時感じるところやボヤキ ~「老人かく生くべき」の方向性 を書いていくしかない。私が凡庸な切り口でWBCを書く必要など全く無かった。

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私が最も嬉しいと思う 私のnoteの記事を読んで下さる方の反応。それは‥
「そうだよねー、そういうことってあるよねー」
「私にもそんなことあったわー」
「そうかー、そんな考え方もあるよねー」
「え、それってそういうことだったんだ ⁈」 
などなど。全部ごちゃ混ぜにして煮詰めると「なるほどねー」になる。

反対に、想像して一番冷や汗をかくのは‥
何を今さら‥  そんなことも知らなかったの?」と思われることだ。

「ほとんどの人は知っていることを、何故かこれまで自分には知る機会が無かった」ということが稀にある。

これを私は「星になれたら現象」と名付けている。

その名はミスチルの初期の曲「星になれたら」の歌詞に由来する。この曲は、故郷を離れて頑張っている若者を描いている。曲の2番の歌詞の中に、「長く助走をとった方がより遠くに飛べるって聞いた」とある。私は初めて聞いた時思わず「あんた、そんなこと人に聞くまで知らんかったんかーい!」と突っ込んでしまった。⇩が2番の歌詞全部。

何かにつまずいた時は 空に手をかざしてみよう
この風はきっと どこかで君とつながってるから
呼んでる声がする だけど帰りたくない
笑われるのにも慣れた
長く助走をとった方が より遠くに飛べるって聞いた
そのうちきっと大きな声で 笑える日が来るはず
動き出した僕の夢 深い谷越えて 虹になれたらいいな

「星になれたら」1992年リリース

星になれたら現象」は、たいていの人は知っているのに、何らかの偶然が重なって、知らずに過ごしてきた状態を表す言葉。 ※私の造語です。

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私は note をやっていて「星になれたら現象」に直面したことがある。

半年ほど前に載せた記事( ↑ )で、ソクラテスの唱えた概念「無知の知」について書いた。私はその頃初めて知った言葉だったのだが、細君と三男から「知らなかったの?」と驚いた顔で訊かれた。私は「え、みんな知ってることなの?」と焦った。でももう後の祭り。

もうひとつは、最近載せた史跡の記事( ↓ ) 。

この中で私は、尾張出身のかつて秀吉に仕えた武将が、関ケ原の戦いではことごとく東軍(徳川方)に付いたことに驚き、ちょっとした発見のように書いた。しかし投稿後に司馬遼太郎さんの「関ケ原」を読んでみると、そこに至る人間模様が克明に描かれているではないか。多くの方には既知のことだったんだと知り、今になって冷や汗をかいている。

これも「星になれたら現象」の一例として書いてみたが、ちょっと違うような気がしてきた。むしろ私の浅学菲才が原因というのが正しいだろう。

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「そんなことも知らないの?」とは思われたくないが、あまり臆病になっていては面白い記事など書けない。桜井くんだって今でも堂々と「星になれたら」を歌っている。「知らないことより知らないことを知らない方が罪深い」を胸に、私も堂々と note を続けてゆく。

< 了 >

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