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新しいマーケティングのすすめ(12)

こんにちは、笠原です。

さて、あなたの会社にも、4月に入社してきた「新入社員」がいることが多いのではないでしょうか。今回のお話は、そんな新入社員に学ぶ「新しいマーケティング」についてです。

本日は知るギャラリーの中から、元花王 本間充さんが連載されている「新しいマーケティングのすすめ」の記事の一部抜粋をご紹介します。

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「新しいマーケティング」を「新しい消費者」と考える
多くの場合、「新入社員」は皆さんより若いです。そして皆さんと異なる消費体験や、顧客体験をしてきています。実際に私が花王にいた時にも、多くの新入社員に1対1のインタビューを何種類もさせていただきました。このインタビューはとても学びが多いこと、そしてインタビューの体験もできるので、ぜひ多くの方に明日から行ってもらいたいです。

新入社員に、お小遣いを握りしめて買い物に行った行動を聞く
新入社員へのインタビューは、よりマーケティングに近い気づきも与えてくれます。例えば、こんな質問を新入社員にしてみましょう。

―自分のお小遣いを握りしめて、ワクワクしながら買いに行ったもの何?
この文章にも既に令和的ではない、「お小遣いを握りしめる」という言葉がありますが、なんとか新入社員は理解してくれるでしょう。この質問の答えは、ぜひ皆さんに体験してほしいのですが、この答えから様々な気づきが得られます。

まず、意外と「憧れの買い物」がないという事実です。つまり、憧れを抱く経験をしていない人が多いのです。もはや消費やお金を払うという行動は、夢見る行動ではなくなっている人もいます。

また、以前は「モノ」を購入することにお金を使うことが多かったのですが、今は、「モノ・サービス」に対して対価を払うことが増えています。なので、何人かはゲームの課金というかもしれませんし、音楽のダウンロードかもしれません。

この質問を同じ世代の人に何人かにしているうちに、本当に「マスマーケティング崩壊」の事実に直面します。買い物をした人のアイテムが多様なのです。

私の世代では、男の子は「ラジオ」「ラジカセ」や「野球のグローブ」「金属バット」など、代表的な憧れアイテムがありました。小学生から中学生へと1歩大人の階段を上がった際には、5段変速の自転車から10段変速の自転車へ!が1つの憧れでした。変わらないと中学生になった気がしない、恥ずかしいなど、同じ世代であれば同じ消費・所有体験があったものですが、今の若者には、それが少なくなってきているのです。

新入社員に、憧れの買い物を聞く
この消費・所有への憧れの希薄さを、さらに確信する質問を、最後に体験してみましょう。 「社会人として働いて、ボーナスなど最初に大きなお金が入った時に、欲しいもの何?」という質問です。どのような答えが出るかは、ここでは書きません。

この体験は、今の時代のマーケティングを考える大きなヒントを与えてくれています。「所有」と「利用」の違いや、「モノを使いたい」のか「サービスを求めている」のかなど、生活者の行動の背景・理由の理解のヒントに溢れています。そして、一番重要なことは、これだけ私たちの生活は変化し続けているが、仕事で行っているマーケティングは、その変化に対応しているのか?ということを考えることです。

ぜひ、あなたの会社の新入社員に生活者の変化の事実を伺いませんか。それが「新しいマーケティング」を考える、フィールドワークとなるでしょう。