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今年のクリスマスは何を食べる?~クリスマスの食卓登場メニュートレンド~

インテージの谷です。
2022年もいよいよ年の瀬が近づいてきましたね。ようやく気候も冬らしくなり、電気代も高騰する昨今、ぎりぎりまで粘っていた「エアコンに頼らない生活」もとうとう終焉を迎えました。
 
さて、知るギャラリーで毎年この時期になるとアクセスが増加する記事があります。
そう!今年のクリスマスは何を食べる?~クリスマスの食卓登場メニュートレンド~です!実はこれはもう5年も前の記事ですので、トレンドとは言い難い部分もありますが、やはり年に一度の特別なイベントの日、何か特別なものを食べているはず、と調べてここに流入するのかと思います。
 
我が家では、毎年、ローストチキンにカジュアルなワイン、食後にはクリスマスケーキと、THE定番のクリスマスディナーを用意します。しかし毎年この食卓を眺めていると思い出すのです…今から10年前、異国の地で味わったあの経験を…。
 
10年前、私はチェコ共和国プラハの美大に留学生として通っていました。やってきたクリスマス、12月24日。持ち前のルックスのよさで欧米の美女をはべらして…という白昼夢を見ながら、せめてクリスマス気分を味わおうと、半分白目を剝きながら、ケンタッキーを求めて街に繰り出しました。この時の私にとって、フライドチキンこそがクリスマスの食事の象徴で、それだけがこの日の私の孤独な心を救う唯一の食事だったのです。

やっと見つけたケンタッキー。カーネルの顔が近づいてきます。そのあたりで様子がおかしいことに気づきます。「ん?店内が暗い?」そう、なんと休みだったのです!

「クリスマスですよ⁉書き入れ時に何休んどんねん‼」
ヨーロッパのど真ん中で思わず関西弁で突っ込みが出るほど驚きました。ナチュラルボーン日本人の私は、あとで気付かされます。欧米はクリスマスに別にチキンを食べないということを…。

「THE 定番」は世界の定番に非ず。クリスマスにチキンを食べるのは日本独自の文化です。かつてクリスマスを取り入れようとしたとき、クリスマスに食べる七面鳥が日本では簡単に手に入らなかったことが、日本でのクリスマスチキンの神格化の始まり。そのずっと後に生まれた平成の子どもはまんまと歴史の流れに騙されて、遠く異国の凍える石畳の通りの上で、二重のハートブレイクに打ちのめされたのでした。

他にも実は、肉じゃがは、ビーフシチューを赤ワインが手に入らなかった日本で醬油を代用して再現したものだったり、そもそもインドのカレーをベースに日本仕様の全く違うカレーを開発したり…今考えるとすごいクリエイティブな国民性ですよね。
 
欧米ではチキンこそ特別ではなかったけど、その日(期間)自体は特別なものです。なんだか楽しいクリスマスを僕たち日本人も楽しみたい、自分たちのできる範囲で!その結果ガラパゴス化したクリスマスでしたが、その楽しい雰囲気は日本でも連綿と受け継がれてきました。ただ、独り身世帯が増えている中で、そういった層は、クリスマスに特別なことはしないと答えている人も増えてきているようですね。欧米で独り、なんとかクリスマスにすがった私の姿も今は昔の心理なのかもしれません。
 
また食の多様化に伴い、「特別な食事」の内容も実は徐々に変わってきているのかもしれません。別に寿司でもいいし、ピザでもいいし、楽しい雰囲気を味わう肴はなんでもいい。
 
特別なクリスマスの食卓、我が家ではこの経験談を、ローストチキンのベタベタをにこにこしながら食べる家族に向かって語り掛けます。

参考記事:今年のクリスマスは何を食べる?~クリスマスの食卓登場メニュートレンド~