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within+距離/時間+of について

質問

今回は、“within+距離/時間+of”の表現中の “of”の用法について質問させていただきたいです。
『新・基本英文700選』(駿台文庫)に、“My house is only five minutes' walk from the station.”という例文がありました。
これは、“My house is within only five minutes' walk of the station.”と書き換えられると思うのですが、なぜこの表現では、“from”より “of”が好まれるのでしょうか。
『英語語法活用大辞典』 (p.312)では、“We must go back and beat the jungle within the radius 【of】 a mile 【from】 the house inch by inch.”という例文を引用し、「of には用法が多すぎるために、特殊化された前置詞によって代えられている1例であるといえる。」と解説されています。ということは、“of”ではなく、“from”を使っても意味は通じるということだと思うのですが、「“within… of…”が通例の語法とみなされる。」とも書かれてあります。
これは、前置詞 “within”を使うことと関係があるのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

ガリレオ流・回答

まず言語事実としまして:

ofが「距離」を示すのは普通は north, south, east, westのような方位を表す語,または「within+名詞」の後に続く場合である
—『ライトハウス英和辞典 第6版』 ‘of’ 前置詞 (14)
※太字はガリレオによる。以下の引用部でも同様。

というような説明があり、前置詞 withinを使う場合との相性はあるようです。

また、『英語語法活用大辞典』は所持していないのですが、「of には用法が多すぎるために、特殊化された前置詞によって代えられている」ということに関しましては、例えば現代英語の受動態では動作主が byによって導かれますが、

古英語以来、長期にわたって使用されたのは fromや ofであり、中英語では特に ofの頻度が高い。
—『ベーシック英語史』(家入, 2007: 87)

…と、現代では中学英文法でも当たり前のように教えられる ‘be + 過去分詞 + by ~’の形も、英語の歴史の中では長い間 ofが用いられていたのであり、中英語末期以降に byの使用が拡大したことで取って代わられた例として挙げることができるものです。

ですので、歴史的に見ても ofと fromが似たような形で用いられるケースというのは多々あるのです(学習者にとっては厄介な話ですが…)。ご質問の形でも、実例ベースでは以下のように前置詞に fromが用いられている場合も存在します:

The bus stop is within a 25 minute walk from the property.
— NOWコーパスより:掲載元

考察

それを踏まえて、「なぜ」‘within+距離/時間+of’では ofが好まれるのか?について考察を進めていきましょう。

参考になるのは、

(1) be made of 材料
(2) be made from 原料

の前置詞の選択になるのではないかと思います。

受験英語などでよく強調されるように、材料が原形をとどめ質が変わっていない場合には ofを、原料が完全に姿を変えてしまう場合には fromを用いるという使い分けが見られます:

(1)' This chair is made of wood.「その椅子は木製だ。」
(2)' Butter is made from milk.「バターは牛乳から作られる。」
—『ユースプログレッシブ英和辞典』

この使い分けというのは、結局のところ ofおよび fromのイメージの差異に結びつけて考えることが可能です。

ofのイメージ:アンパンマンの顔

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