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第5文型の haveと getについて

※ご質問に適宜回答を挿し挟む形で答えていきます。

1. 使役動詞の haveと利害を表す have

✏️以前使役動詞の haveは当然してもらえることをしてもらうといったニュアンスがあると教えていただきましたが、その他にも haveは利害を表す時にも使いますが、その見分け方はどうすれば良いのか悩んでいます。
✏️また、使役と利害どちらが多いのか、第5文型の haveの本質といいますか、それについても悩んでいます。
『ロイヤル英文法』に被害の時は過去分詞に強勢が置かれるとあり、書き言葉の場合は使役か被害か分からないので文脈判断とありました。
✏️割合としてはhaveは第5文型の時は主に使役で、たまに利害なのかなと認識しているのですが、どうなのでしょうか。。

用法に関わらず、haveという語が持つコアのイメージとしては、「自分の領域内にモノ・コトを『所有』・『経験』として有する」という理解で良いでしょう。

その中で第5文型の場合は、「『Oが Cになる or Oが Cする』という『コト』を経験として HAVEする」の側となるわけですが、これをガリレオ研究室の YouTubeチャンネルの以下の動画シリーズで解説している行為連鎖(行為→変化→状態)と絡めて考えると、使役動詞の haveは、最終的な “HAVE状態”に至るための働きかけ行為の部分にも焦点を当てた表現ということになります。

その「働きかけ行為への注目」があるからこそ、『ロイヤル英文法』で言及がある通り、使役動詞 haveの方に強勢が置かれることにも繋がるのです。

他方、利害を表す haveの用法の場合は、最終局面の「コトを経験として HAVEする」という部分に注目した言い方であり、そもそも当該の「コト」は主語の指示対象の意思とは無関係に生じるものです。haveではなく過去分詞の方に強勢が置かれるのも、働きかけ行為が存在せずに結果状態に注目するという意味が反映されているのが理由となるわけです。

したがって見分け方については、OC (= S' + V'の関係を表している部分)に注目し、それが主語が意図的に働きかけて生じさせたものと解釈できるかによって判断できます。

(1) I had my suitcase carried to my room by a bellboy. [使役動詞]
→ "My suitcase was carried to my room by a bellboy"は、主語 Iの働きかけによって生じたもの。

(2) I had my bicycle stolen in the park. [利害]
→ "My bicycle was stolen in the park."は、主語 Iの働きかけで生じた出来事ではない。

※例文は共に『ロイヤル英文法』より

また、Cの部分は過去分詞に限らず、原形や -ingの場合もあるので、やはり書き言葉での判断は OC部分に注目して、主語の指示対象による働きかけを通しての発生なのか、自然発生的なのかを区別するのが良いでしょう。

(3) The manager had everybody fill out the form. [使役]
「マネージャーは全員にフォームへの記入をさせた。」
(4) He had us laughing all through the meal. [使役]
「彼のおかげで私たちは食事の間じゅう笑いっぱなしだった。」

(5) I had a very strange thing happen to me when I was fourteen. [利害/経験]
「私は14歳の時にとても不思議な体験をした。」
(6) I looked up and found we had water dripping through the ceiling. [利害/経験]
「見上げてみると雨漏りしているのがわかった。」

※例文は Practical English Usageより;ガリレオ訳

次の例文も Practical English Usageで “experience”の項に紹介されていたもので、実際に普通の解釈では「税務調査が入った」ということですが、文脈次第では「課税査定官に来てもらった」という使役解釈も不可能ではないと考えられます。つまり絶対的な見分け方で考えるのではなく、あくまでも前後文脈を踏まえて判断する必要があるということですね:

(7) We had a tax inspector come to the office yesterday.

2. 使役動詞 make, let, haveのニュアンス

✏️使役動詞の認識として、このような感じで合っておりますでしょうか?makeは強制、letは許可、have当然してもらえることをしてもらうが、場合によっては利害を表すこともある

上で見た通り、使役用法は働きかけが重要なポイントになりますので、利害や経験を表す haveの用法は使役とは切り分けて考えた方が良いでしょう。

3. 受動態の用法について

✏️また、使役の makeは受動態用法があり、letの受動態用法はまれであるとありましたが、使役や利害?の haveや getの第5文型の時の受動態用法については言及されていなかったのですが、haveや getも受動態用法はあるのでしょうか?

受動態が成立するためには、対応する能動文の他動性 (transitivity)が相応に高くなければなりません。つまり、行為の受け手の視点から見た際に「〜された」と認識されるだけの働きかけ・影響があることが前提となります。

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