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前置詞の使い分けについて|「〜のための、〜に関して」と訳せる ofと for

質問

以前前置詞の使い分けについてご質問をさせていただきましたが、追加でご質問をさせていただけますでしょうか。

※以前の質疑応答記事はこちら↓

ofは特に [関連・内容] 、そして for [〜のための、〜に関して]と訳せるものは [関連・内容] の ofでもいいのでは?(逆もしかり)といった感じでよくこんがらがってしまっていることに気が付きました。
あとは about や onも〜に関して、といった意味もあるので、今はなんとなく認識してしまっているといった感じです😥
TOEICではそこまで細かい前置詞の違いを多く問われる事は無いかと思うのですが、今後英作文なども書けるようになりたいと思っておりまして、使い分けについて学んでいきたいと思っております。
※正確には自分が迷っているのが[関連・内容] の of?にあてはまるのかという正しい分類は不明なのですが...
いくつか画像をお送りさせていただきましたが、そちらの英文で使い分けに疑問を生じており、アドバイスをいただけますと幸いです💦

※ご質問の続きは引用しながら回答していきます。

ガリレオ流・回答

大前提として、日本語訳として同じようになったり、日本語での説明上の分類で似たようなラベルを付けられているからと言って、だから英語表現でも〇〇を××に変えても良いなどということは決してありません。このような考え方が、例えば「『旅行・に・行く』だから “go to travel キャンペーン”」のような、英語として崩壊したアルファベットの羅列を垂れ流すことにつながってしまうのです。

確かに英作文において、言い換え・パラフレーズの力が重要となる場面はありますが、それは元の英文の内容を十二分に理解した上で伝えられている内容を別の英語表現で伝え直すことであり、表面的な言い回しだけ類義語や類似表現に置き換えてごまかそうとしても、おぞましい文章にしかならぬものです。

ご質問の中の「about や onも〜に関して、といった意味もある」ひとつ取ってみても、

a book about physics → 物理学の一般書
a book on physics → 物理学の専門書

のように、前置詞ひとつの違いで相手に与える印象は大きく異なり、究極的なことを言えば「一語でも変えたら同じ意味にはならない」と肝に銘じてください。

「〜のための・〜に関して」と訳せる ofと forの使い分け

🔷この ofは forでも良いのでは?と思ってしまいます。
103 the wedding of the mayor’s daughter
110 A special exhibit of porcelain sculptures
115 Patient reviews of Dunleavy Dental’s staff

結論:全て forではダメです。以前の「for: A → B / of: A ← B」の回答の考え方で解決できます。

混乱の原因となっている、「〜のための・〜に関して」と訳せる forの例というのは、以下のようなものかと思います:

an operation for cancer:「がんの(ための)手術」
feel sorry for 人:「<人>について気の毒に思う」
Visit our website for further details:「詳細に関してはウェブをご参照ください」

これらも、前の回答と同様「A → B」の関係性が読み取れます。すなわち forに続く名詞句の指示対象は、何らかの意味で【求め向かっていく先】と解釈されうるものとなります。よって、もし例えば 103で無理やり “the wedding for the mayor’s daughter”と表現し、それを強引に解釈しようとしたら、「市長の娘をこれから求めるための結婚式」のように、花嫁(市長の娘)争奪戦でも繰り広げられそうな修羅場のような結婚式が想像されます(もちろん、ありえない表現を強引に解釈した結果なので、これが唯一的なものではないですし、想像上の可能性は他にもあり得るわけですが…)

つまり、forの A → Bの図式における Bは、意識上の「here: ここ」の領域外におり、求め向かっていく対象となるわけなのです。対して ofの A ← Bの図式においては、以前の回答の通り「【全体】を表す Bの要素が前提にあって、そこから分離されるAを捉え、両者の関係性に注目する」ということになります。

具体的にみていくと、103の weddingは当事者(の一人)である mayor’s daughterの存在が先立って成り立つものですし、110の exhibitも意識上「ここ」に既に存在する porcelain sculpturesを展示するものであり、115の reviewも Dunleavy Dental’s staffの対応があって初めて成り立つものであり、AとBの要素にそれぞれ密接な関係性が成り立っています。

🔷また、この ofも forまたは onでも良いのでは?と思ってしまいます。
120 Knowledge of finance or customer service

forは上で説明した「求め向かっていく対象」の意味合いが「〜(について)の知識」と矛盾するので不適です。

コロケーションとしては “knowledge + on / about 〜”は成立し、onと aboutのニュアンスの違いは上の “a book {on / about} physics”の例と同様です。

120の名詞句は、“know finance or customer service”という「他動詞+目的語」の関係が名詞化されたと捉えられ、ofは名詞化にあたって(名詞 knowledgeは直接目的語を取れないので)目的格の関係性を取り持つ役割を果たしています。

Oxford Dictionary of Englishで ofの項を見ると、ほとんどの語義が “expressing the relationship between A and B”の形で定義されており、「二者間の関係性を取り持つ」というのも ofの重要な側面です。

knowledge of finance or customer service [V-Oの関係]
the decision of the County Council [V-Sの関係]
the sleeve of his coat [全体-部分の関係]
the son of a friend [所有格の関係]

knowledgeのような動詞派生名詞において、ofを介してV-Oの関係が表される例としては、他にも “a student of physics”「物理学の学生:study physicsの関係が成立」など多々あります。

養うべきは〜英作文に向けて〜

また、前置詞の感覚を養うためにお勧めの書籍等がもしありましたらご紹介いただけますと幸いです。宜しくお願い致します。

『表現英文法』(田中茂範, 2013)や、『ハートで感じる英文法』(大西泰斗&ポール・マクベイ, 2006)など大西先生の文法書には、主要前置詞のイメージがイラストと共にまとめられており、前置詞は専門的には「閉鎖類」と言って数が限られており新語の登場もしにくい品詞なので、類書でも基本的にそれほど大差ないという印象です。

しかし質問内容から伺える思考の前提として、“前置詞の感覚”たるものを養うことができれば、演繹的に前置詞の使い方・使い分けが身につけられるのでは…という幻想を抱いている感があり、その意味ではいくら買い揃えたところで、結局は同水準での質問を繰り返す結果になってしまうと予想します。

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