aim, purpose, objectiveの「目的」意識|【ガリレオ流】違いのわかる英語の授業
学術的な英文を書くときには、冒頭に「本論/この章の『目的』は…」という趣旨の文を明記することが多い。またビジネス英語の文脈でも、「当プロジェクト/タスクの『目的』は…」とか、「この役職における仕事の『目的』は…」などといった文脈で、やはり目的について述べる機会は多いことと思います。
しかしそこで厄介になるのは、日本語で「目的」に相当する語が、英語だと少なくとも aim, purpose, objectiveという3単語を挙げることができ、それぞれどのようなニュアンスの違いを持ち、どう使い分けると良いのか?ということ。
英英辞典を引いてみても、例えば OALD (10th ed.)の aim [noun]の項には:
…といったように、説明に用いられている語が循環してしまっている場合が少なからずあります。[注1]
そこで本記事の目的は、読者のみなさんに aim, purpose, objectiveという語のニュアンスの違いを明確に解説し、自信を持って使い分けられるようになっていただく、ということです!
aim
ここがポイント:aimは「的🎯に向かう方向性」のイメージ!
aimは動詞用法として「〜をねらう」という意味を持つことからも、まさに「的を定めて進んでいく方向性: direction」に重きが置かれた語です。
したがって、aimが表す「目的」のニュアンスには:
「的🎯」に相当する、達成したい目標や望んだ状態は何であるのか?
それに至るための道すじは、どのようなものであるのか?
という内容が含まれることになります。以上を踏まえて具体例を検討してみましょう:
(1), (2)では ‘by ~ing’句・(3)では ‘using the result of the previous section’によって、「的に向かう方向性」が示されていることに注目してください。
もちろん、aimが用いられる際に常にそのような内容が明記されるというわけではありませんが、aimが表す「目的」のニュアンスとして、【的+方向性】のイメージを押さえておくと良いでしょう。
purpose
ここがポイント:purposeは「理由💘」が大事!
purposeは、語源的には proposeと関連があり、‘pur-(前に)+ pose(置く)’という成り立ちを持つ語です。
つまり、目的として何かを提案する・持ち出すことに重点があり、その背景には理由: reasonや動機: motivationが存在します。よって、‘the purpose of (doing) A’「Aの目的」という表現は、‘the reason for (doing/the existence of) A’「Aをする/が存在する理由」のように読み換えて考えることができるのです:
(4)では charity organizationの存在/活動理由、(5)ではデータを含めた動機・理由、(6)ではシステムのより良い理解という purpose: 理由のために、続けて aim: 的と方向性が示されていることに注目してください。
objective
ここがポイント:objectiveは「特定の達成すべきゴール🥅」
objectiveという語に含まれている ‘object’は、文法用語の「目的語」の意味でも用いられるように、「客体・対象」の意味を表します。このことから、objectiveは「達成すべき対象(=目的)」のように考えるとわかりやすいでしょう。
本記事を書くにあたり参考にした Paquette (2004)においては、
という点が強調されています。
以上のことからも、objectiveは goalよりも特定的であり、数値などで達成が測定可能なものというニュアンスを伴った「目的」を表すと言えます:
(7)であれば、会議終了時に計画に対する情報が今まで以上に提供されている状態が達成されていれば成功であり、(8)では「3ヶ月以内にウェブサイトのトラフィック20%増」という明確な達成目標がうたわれてることに注目してください。
まとめ
この記事の purposeは、日本語ではすべて「目的」と訳されてしまう aim, purpose, objectiveという単語のニュアンスの違いを明確にすることであり、
この記事の aimは、それぞれの単語の基本イメージをまず明示し、わかりやすい具体例を示すことによって用法の違いの理解を深めてもらうことであり、
この記事の objectiveは、読み終えた読者が自信を持って文脈に応じて適切な語を使い分けられるようになることにあります。
参考文献
Paquette, G. (2004) English Composition for Scholarly Works (Volume 1: Commonly Misused Words and Expressions), Kyoto University Press.
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注1
OALDの名誉のために付記しておきますと、aimの項には、同義語の使い分けのコラムとして、以下のような解説が掲載されています:
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