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分詞なのか、分詞構文なのか

質問

Anita Burton first visited Thailand in 2001, when she was a university student studying international relations.
『世界一わかりやすい TOEIC®テストの英文法』より
studying international relations.の箇所について
これは関係詞のまとめの問題なのでその部分は直接問題に関係ないのですが、上記の部分を分詞と解釈するのか分詞構文と解釈するのかアドバイスをいただけますでしょうか。

最初私がこの文章を読んだときは、解説の和訳もそのようになっていますが、分詞構文のように読んだかと思います⬇️
アニタバートンは2001年に初めてタイを訪れた、その時彼女は大学生で、そして国際関係を学んでいた。

ですが、国際関係を学ぶ大学生と分詞で解釈もできると思い、どちらで解釈したら良いのか疑問に思っております。
この場合は私の解釈が間違っているかもしれませんが、
この英文に限らず、分詞or分詞構文どちらで解釈したら良いか曖昧な英文と言うのは多々あるのでしょうか。
宜しくお願い致します。

ガリレオ流・回答

ご質問の英文中の studyingは a university studentを修飾する現在分詞と解釈した方が自然であり、問題集の日本語訳の方が不正確であると言えます。

名詞修飾の分詞の場合、関係代名詞を補って【先行詞+関係節】の関係で解釈することが可能です。

... when she was a university student who was studying international relations

また、同様の “student(s) studying ~”の形の例文は辞書でもヒットし、日本語訳のある英和辞典の例を拾ってくると、やはり分詞の解釈がなされています:

(1) You won’t find many students studying Latin now.
「いまどきラテン語を勉強している学生はあまりいないだろう」
— ジーニアス英和大辞典

(2) a student studying math
「数学を学ぶ学生」
— 新編英和活用大辞典

(3) a Chinese student studying in Japan
「在日中国留学生」
— 研究社 新和英辞典 第5版

文法問題の英文ひとつでも、ここまで深く読み解ける

また、もし分詞構文だとすると、studying以下は “she was a university student”という節と切り離されて「おまけ」に過ぎない情報しか伝えていないことになりますが、実際に文全体の意味を考えてみると、「2001年に Anita Burtonがタイを初めて訪れた」という行為には、彼女が「国際関係学を学んでいる学生」であったという背景情報が深く関わっているように解釈できます。

つまり、学業の一環としてのタイ訪問か、個人的な旅行か…までは不明ですが、単に「大学生の頃にタイを初めて訪れた」ということではなく、“studying international relations”という分詞修飾部が studentと密接に結びついて情報を伝えていると読めるのです。

単文なので実際なんとも言えませんが、最大限文脈豊かに読み解こうとするならば、この Anitaさんは現在もタイに関わる仕事 or 生活をしており、実際にタイを初めて訪れたのは、国際関係学を学ぶ学生であったときのことであった…というように、現在まで続くタイとの関連性の原点を伝えたい文であるように思えます。

このような理由から、名詞 studentと分詞 studyingの間には密接な繋がりが読み解け、よって名詞を修飾する現在分詞の解釈が自然と判断できるのです。

曖昧な例ってあるの?

分詞 or 分詞構文で解釈が曖昧な英文は、①分詞構文が文中 or 文末位置に来る場合で、②カンマで区切られておらず、③直前の名詞と分詞の意味的関係性が成り立ちうる…という条件が揃えば、全くあり得ないものではないと思います。(ただし逆に言えば、あるにしても頻度は低いと言えるでしょう)

解釈の区別をつける方針としては、上で述べたように分詞修飾であれば関係詞を用いた形に書き換えが成り立つのに対し、分詞構文は接続詞を用いた言い方に書き換えられます。

分詞構文の場合:
Joe hurt his knee playing football.
→ Joe hurt his knee while he was playing football
— cf. English Grammar in Use 4th ed. (Murphy, 2012: 136)

曖昧と考えられうるのは、以下のような例が一応挙げられるかもしれません:

The spectators excited at the game shouted loudly.

→ 分詞解釈:
The spectators who were excited at the game shouted loudly.
→ 分詞構文解釈:
The spectators, as they were excited at the game, shouted loudly.

この例文は『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』からの引用で、本の中では分詞としての解釈で説明されています。実際、分詞構文で解釈させたければカンマで前後を区切るでしょうから、その解釈が妥当であると思います。

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以上より、「曖昧な英文は多々あるのでしょうか?」という部分のご質問に対しての答えは、そんなことはないのでご安心ください、と言えます。

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