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宙と占星術と天文学

朝の情報番組の星座占いや月間誌の星座占いをチェックされていますか?習慣でチェックしていなくても、一度は星座占いを見たことがある人は多いのではないでしょうか。今日はその星座占いに出てくる十二星座に関するお話です。

一般的な星座占いに出てくる星座の数は、12。たまに13の星座占いがありますが12のほうが主流なので、今回はそちらをお話します。この星座占いに使われている12の星座のことを「黄道(こうどう)十二星座」と呼びます。黄道とは、太陽の通り道のこと。実際の宙で太陽が通る軌道を描くと一本の道ができ、それを黄道と呼んでいます。黄道は地球を中心にぐるっと一周して円を作るように宙に描かれます。
円一周分を角度で表そうとすると、360度になりますよね。これを30度ずつ12分割して作られたのが「黄道十二宮」です。そして、その黄道十二宮にはそれぞれ対応した黄道十二星座が位置し、名付けられています。例えば、ふたご座が位置する宮は双子宮」、てんびん座なら「天秤宮」などです。

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星座占いは「あなたが生まれた時に太陽が位置していた宮の星座が、あなたの誕生星座」という定義になっています。例えば、太陽が乙女宮に位置する時に生まれたら、その人の誕生星座はおとめ座になります。このようにして誕生星座は決められていて、私たちはそれをもとに星座占いをチェックしているのです。

自分の誕生日には、太陽の方向に誕生星座があるため自分の誕生星座を夜空で見ることはできません。誕生星座のところに太陽があるということは、昼間です。昼間は星座が見えないですよね。自分の誕生星座を見ようと思ったら、誕生月から前後3カ月ほどずらさないといけません。

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占星術と聞くと、なんだかインチキ臭いなと感じる人もいるかもしれませんが、占いと天文学は古代から深い結びつきがありました。今回紹介した12星座の占いだけでなく、世界中に星を用いた占い、占星術があります。古い歴史を持つ占星術の中には、国の政治、文化や宗教的な行事にも大きく関わっているものもありました。特に、天変地異を占うこと、政治や国の存続を占うことは国家規模の大事な仕事でした。それを占うときに活用されたのが天文学です。神が天にいるという思想のもと、その神がいる天(宙)にある星々は、神からのメッセージを紐解く大事な役割を持つと考えられていたそうです。天文学とはまさに、天からの文を読み解く学問なのです。

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占星術は大事な仕事だったため、より正確に天からのメッセージを読み解くための観測技術も発展しました。その時の技術は今にも伝わる技術の考え方の基礎となっている部分もあります。占いから発展した天文学の分野もあるのです。一方で、観測技術の発展からそれまで考えられていた宇宙観などが覆り、宗教の教えから背く思想だとして迫害を受けた天文学もいます。それでも諦めず、地球を取り巻く星の動きの真理を求めて研究を続けた結果、現代を生きる私たちは正しい科学を知ることができています。

天文学は遠い宇宙のことを研究している学問の印象が強いと思いますが、天文学の歴史を見れば、人類の文化や暮らしにも深く結びついていたのだと気付くことができます。それは今でも変わりません。占星術に培われてきた叡智は、人類と星との歩みの一部でもあります。インチキだと決めつけず、心の拠り所として占星術を受け止めてみるのも素敵だと思いませんか。

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