チャンピオンチームとして。 8節 アトレティコvsバルサ(H) 2021.10.3

代表ウィーク前の大一番。
お互いミッドウィークにCLを戦っている。
アトレティコはアウェーでミランに2-1勝ち
バルサはアウェーでベンフィカに0-3負け

苦しみと悲しみのど真ん中を突っ走り、今にもクーマンが解任されそうなバルサ。可哀想。

まあ他所は他所。
アトレティコは悪いなりにミランに勝ってここに。グリーズマンの復帰後初ゴールも出た。勝ち点を落とす気配がないマドリーを追いかけるためにも、お互いにここは勝っておきたい一戦。


●スタメン
大一番のスタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヒメネス / エルモソ
コケ / デ・パウル / ジョレンテ / ルマル / カラスコ
フェリックス / スアレス


トリッピアがベンチ入りはしているがスタメンでは使わず。ジョレンテが右。
コンドグビアは累積でお休み。
トップはフェリックスがスタートに。クーニャは怪我

・バルサ
テアシュテーゲン
ミンゲサ / アラウホ / ピケ / デスト
ブスケツ / デヨング / ニコ
ガビ / デパイ / コウチーニョ

若いメンツで。ペドリは太ももの怪我。
アルバが間に合わずデスト左。
ちなみにクーマンがベンチ外

スタメン



●前半
・フェリックスが作る違い

アトレティコはスタートからルマルが右のトップポジション

ルマル


3-4-3風の配置。間を取ろうとして配置を変えてスタートしたのか、あるいは奇襲だったのか。結局10分過ぎには元に戻した。

左

元通り。前回対戦でも、ミンゲサではカラスコを対人で止められない事は確認済み。スアレスがピケを引っ張り、孤立してくるアラウホ周辺を破壊する方向に変えた。カラスコがミンゲサを引きつけてフェリックスとルマルでアラウホ周辺へアタック。基本はずっとこの考え方。

この日はとにかくフェリックスの状態が良かった。バルサの守備も、ボールが入ったフェリックスに対して前後から挟み込むような守備が出来ず、余裕を与え続けてしまった。

・バルサの保持は
一方、バルサのビルドアップ。

バルサ


2CBの間にブスケツ。ニコも近い位置に。よく知らないんだが、ニコはブスケツと似たようなプレーが得意なのかな?という選手。この4枚でファーストプレスはなんとなくかわせる。
というより、スアレスとフェリックスの一列目コンビは正直どこを効果的に消せていた、という事もなく。そんな守り方で良いんかい、という感じだったが特に問題なかった。言い過ぎかもしれないがブスケツ、ニコにボールを持たれるところまでは放置していても何ら問題なし、という話になる。それでいいのかバルセロナ。

バルサ2


ピケが落ちるパターン。まあ別にだから何、というわけでもない。
ただ第一ラインを越えられた時にルマルorデ・パウルが前進を止めるだけ。SBに渡ったらジョレンテとカラスコがプッシュするだけ。難しい事はない。

デパイ


それでもあまりにフリーでブスケツに持たれたりすると、デパイがライン間に顔を出す動きに合わせてコウチーニョやデヨングが良いランニングでボールを引き出していた。こういう一発で決めてしまう能力はあるので注意


あとは、撤退したアトレティコのブロックの外に出たデパイやデヨングからのアーリークロスがいくつか。

アーリー

ちょっと前が少なくないかね

終盤ニコとブスケツの位置が入れ替わっていた気もしたがその辺はバルサ側のレビューを見ていただきたい。よくわかりません
僕の目ではブスケツがやれば良い仕事をわざわざ2人でやっているようにも見えたし、ネガトラで役に立つわけでもなし、何のために使ったのかよくわからず

・アトレティコの前プレ
久しぶりにハメ込んで楽しかったので前プレの形を少々。

前プレ1

一列目、スアレスとフェリックスがペナライン上くらいでアンカーを警戒しつつ開いたCBを牽制。ブスケツに対してルマルがプッシュ

前プレ2


こうなるとバルサはSBを動かしにくいので、ニコとデヨングが近づいてくるが、デ・パウルとカラスコが”SBへのロブパスを牽制しながら”背後から寄せる。これでテアシュテーゲンの選択肢は消える

前プレ3


やむなく大きく開いたアラウホに渡すと、カラスコはSBミンゲサマークに移動。デヨングのところにルマルが近づくセカンドプレス。その間に最終ラインはジョレンテを入れて4枚でセット。というプレスで前進を阻害し続けた。足下へのボールを入れさせないコケの完璧なポジション。


ここでデヨングがさすがの状況把握で自分は縦に抜けてブスケツがボールを受けるスペースを用意する、などを見せていた。本当にさすが

前プレ4

気が利くデヨング


・左サイドの攻略
アトレティコの先制は23分。
後ろ3枚での保持から。

先制1

ミンゲサはカラスコのマンツーマン指示だったのか?訳のわからないポジショニング

先制2

なんだこの守備

この位置でフェリックスがアラウホを背負って内へ。スアレス経由でルマルが裏抜けした。簡単に先制


同様に28分にも左サイド

ミンゲサ

今度はミンゲサがマンツーしてない。デヨングの位置もよくわからず。今回はカラスコが縦に仕掛けて逆側で待っていたフェリックスを経由して今度はスアレスが裏抜け決定機。


・カウンター一発
2点目はカウンター。

カウンター

嘘みたいだろこの配置でカウンターが打てるんだぜ

バルサの失い方云々は置いておこう。
ここでデパイがロスト。ミンゲサはルマルにカウンタープレス。ちなみにコウチーニョは突っ立ってた。
フェリックスが足下で受けると、そこにアラウホがのこのこ出て来てくれて、突っ走ったルマルと待ってたスアレスの2人でカウンター完結。バルサの人員はピケ1人である
アトレティコは2トップとルマルだけが走ってあとは何もしていないが点になった。

バルサはありとあらゆる対応を全て間違えてるとも思うが、そもそも共通認識がないでしょう。チームに。
守備にせよ構築にせよ、共通認識だけで優勝して、それだけで今季も踏ん張っているアトレティコからすると、「それは甘いよ」という感覚。


●前半終了
2-0で折り返し。バルサの穴を突いて早速2発取り切る上々の内容。
キーマンとなったフェリックスとルマルの出来が共に良く、ハイテンションで良い前半を戦えた。
特に守備の工夫が要らなかったのも助かった。
フェリックスに関しては、ボールが入ると誰も囲い込みに来ないので、自由が与えられた。生き生きプレーできる環境だったね。

アトレティコは前半2ゴールも2点差も今季初。理想的な前半を終えた。バルサは改善が必要だが。


●後半
お互い一枚ずつ交代。
アトレティコはデ・パウル→トリッピア
ビルドアップはいらないので、カウンターで刺せるジョレンテを真ん中に、という感じかと。
バルサはニコに替えてセルジ・ロベルト

後半

こうなった

4-1-2-3になったバルサは普段通りブスケツがサリーして保持。ただ、特に脅威はないまま20分間、アトレティコ的には相手にボールを持ってもらって休憩。非常に楽な試合になった。
アトレティコ側にミスが出てコウチーニョに1対1が訪れるがオブラクが正面キャッチ。

64分にアンス・ファティin。少しだけ前線に脅威を作れるようになる、予定だったが特に何もないまま静かにクローズ。

カメラもワンダを煽るシメオネを映す以外する事もなく時間だけが過ぎていった。


●試合結果
ここで負けてマドリーに置いていかれるのは嫌だったが無事勝利。バルサの苦しみは見ていて辛いものがあるが。
アトレティコは90分間圧倒的だったかと言われるとそうでもないが、先に2点取って後は対応、対応。解決策を持たないバルサ相手に静かにクローズした。

前プレにせよ撤退にせよ、そして左サイドのコンビネーションにせよ、”こうやって先季優勝したんだよ”を見せた試合だったと思う。何か新たな上積を作れているわけではないが、今できる能力を発揮したのはアトレティコの方、と言っていいんじゃないかな。ピッチの11人で、今出来る最大のパフォーマンスを出す。それがチャンピオンチームのホームゲームだ。この日は非常にアトレティコらしさが見られたゲームだった。

バルサは約束事が見えて来ず、アイコンタクトも少なく。誰が責任を負うのかが見えにくい。アンス・ファティは自覚を感じる態度だったと思うけどね。それだけで勝てるのかはわからないけど。今日の構成にしても、このメンツでのベストだとは思わないし、でもペドリとジョルディ・アルバがいれば全然違ったか、と言われるとそうでもないでしょう。しばらく苦しみは続きそうだが、乗り越えてほしい。


10/3
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 2-0 バルサ
得点者
【アトレティコ】’23 ルマル ’44 スアレス


●ピックアッププレー
前半16分の左サイド攻略の場面

画像17

状況はジョレンテが相手GKまでプレスしてロングボールを蹴らせて回収したシーン。
アトレティコは回収したところから配置のバランスが良い。

ここでバルサの守備はコウチーニョがアンカー(コケ)を消しながらデヨングがボールに出てくる。
先制のシーン等で指摘の通り、ミンゲサはカラスコと1対1する仕様に。
そもそもこの守り方自体どうなの、という感じなのだが、ここはフェリックスを褒めたい。


彼は「自分にボールが出てくる前のパスの時点で、正しいポジションに動ける選手」である。この能力がとても高い。先制のシーンも同じ。

カラスコにボールが渡る前、”ミンゲサがいなくなったタイミング”で大外まで移動している。ここの移動距離をサボらない。ボールに触るためならどこへでも行く。

彼の感覚からすると、ここでボールを受ければ前後から挟み込まれる事がない。「アラウホとのタイマンならボールを失う事はない」と思ってプレーしている。先制のシーンではターンせずに内側を向いてスアレスを使った。この場面では縦で勝負してカラスコとのコンビネーションを使った。最後はルマルの落としをもらって際どいシュートを打った。

彼はライン間でのボールの引き出し方も上手いが、いかに1対1をピッチ上で作れるかが重要だと思う。この試合ではたくさんその場面が作れたのが良かった。


●ピックアップ選手
フェリックス
抜群の出来でバルサを攻略。スペースも与えてもらえて存分にスキルを発揮した

スアレス
勝負を決める2点目をゲット。
改めて、アトレティコに来てくれてありがとう。

ルマル
飛び出し2発で1ゴール1アシスト。久しぶりにベストコンディションでのプレーを見せた。

オブラク
これで21世紀初のバルサ戦3試合連続クリーンシート。この日も立ちはだかった

コケ
誰よりも走り誰よりも戦ったカピタン。
ワンダでの勝利だ

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