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勝って勝って勝って勝って、また勝って 28節 アトレティコvsラージョ(A) 2023.4.9

バジェカスへ。前回対戦。

コケとオブラク不在の試合。個人的には納得感のあるサッカーができたが終盤のPKで追いつかれてドロー。思い返すと今季一番難しい時期だったような。

ラージョは何故か不調のイメージが全くないが、実は直近7試合勝ちがない。(5分2敗)
とはいえ昇格初年度だった先季以上に危なげのないシーズンを過ごしている。すでに残留は全く問題なく、来季以降の改善点を探したいチーム状況である。ところでイラオラ監督は来季もいるんでしょうか。すでにビジャレアルが狙っているとの噂も。

4連勝中、3試合連続クリーンシート中のアトレティコは良い時期を過ごしている。継続と積み重ね。


●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / サヴィッチ / ヒメネス / エルモソ
コケ / デ・パウル / ジョレンテ / カラスコ
グリーズマン / モラタ

前節からの変更点はルマル→デ・パウルのみ。
FWは代表で怪我をしたメンフィスに加え、今週母が亡くなったコレアがメンバーから外れた。

・ラージョ
ディミトリエフスキ
バリウ / ルジュン / カテナ / フラン・ガルシア
バレンティン / コメサニャ / イシ / アルバロ・ガルシア / ウナイ・ロペス
ラウル・デ・トーマス

前線はウナイ・ロペスとR.D.T.がスタメンになる珍しい組み合わせ。



コレアの母へ捧げる黙祷と喪章。ラージョ・バジェカーノとバジェカスにも最大のリスペクトを。


●前半
まずこの日の保持基本形から確認。

保持基本形

この日の特徴はグリーズマンが左にいたこと。モラタと組む時は右が多かった印象だったが。影響と効果をそれぞれまとめてみよう。

グリーズマンが左に入るので、基本形では右のジョレンテと並列のような高さになる。これは中盤がルマルではなくデ・パウルだからというのも要因となる。コケ&デ・パウルの2CH。
この形は2つの意味がある。まずは1つ目。グリーズマンの位置がエルモソ&カラスコサイドに近いこと。普段ルマルがやることの多いジョイント役をグリーズマンがやりに左サイドへ近づいてくる。この試合で特に多かったのはグリーズマンがプレス回避の縦パスの受け手として機能したこと。

ラージョは積極的に敵陣でボールを追いかけ回す守備に定評がある。そういえば最近アトレティコ相手に前からボールを奪いに行こうというチームはあまりいなかった印象。
ラージョは前2枚とWGが積極的にアトレティコの最終ラインまでプレスに来る。ここでアトレティコはデ・パウル起用の意味が出てくる。まずデ・パウルはスタートポジションを低く取り、ヒメネスとエルモソの間の位置まで落ちてきてボールに関わる。これでウナイ・ロペス、イシ辺りのプレス位置をズラした。ラージョとしては前4枚で3CB+コケにぶつかれるのが理想だったが、当てが外れた。これでエルモソがやや余裕を持ってパスコースを選択できた。多少の余力があればエルモソは正確な速いパスを出せる。
ここに顔を出すのがグリーズマンである。ラージョの前プレの関係で当然カラスコのマークをSBのバリウが担当しており、ここのフリック一発で背後を取れる可能性もあり、アトレティコの構築はここを狙いつつ、タイミングが合わなければ正確なボールをサヴィッチ、モリーナまで飛ばせるエルモソからの配球がアトレティコの攻撃を動かした。

グリーズマンが左にいる影響のその2。これはジョレンテとモリーナをジョイントするプラス1が存在しないことである。最近グリーズマンだったりコレアがこの2人の裏抜けを助ける役割を担当していたが、この日はいない。じゃあどうしたか。最近の試合でそれとなく、多分指示でもなく選手達の判断で取っていた立ち位置をこの試合でついに整理した。キーはエルモソのCH化である。

敵陣に押し込んだ時、そしてネガトラにリスクがない時にエルモソが高い位置に侵入していくのが最近のトレンドだったが、多分誰の指示でもなかった。この日は明確に、右サイドから侵入するタイミングでコケ、デ・パウル、エルモソの3CH化をしている。コケがモリーナ、ジョレンテとトライアングルを形成して後方サポートのポジション。これに反応してデ・パウルがピボーテ化する。これも明確にルマルではなくデ・パウルが起用された理由であり、デ・パウルがバリオスより優れているところだろう。そしてエルモソが自然に左CHになる。この形でラストサード破壊を狙った。


アトレティコは前半で2点。1点目は22分。ラージョのFKをニアで引っ掛けてグリーズマンとカラスコでカウンター発動。グリーズマンからど真ん中を突っ走ったモラタにとんでもないラストパスが届けられてモラタがびっくり。その向こうをしっかりサポートしていたモリーナがついにアトレティコ移籍後初ゴールを決めた。いつも最後まで走っているご褒美。同郷のコレアに捧げる先制点となった。
追加点はその直後2分後で、これもトランジション局面。またもやカラスコとグリーズマンのワンツーでCKをゲットし、エルモソが豪快に合わせた。ヒメネスと違って枠に飛ばせて偉い。

早々に2点差をつけて試合運びは楽になる。ラージョは前プレとポジショナルなボール保持を基本とするが、アトレティコがボールを奪う意志をほぼ無くしたことで侵入が難しくなっていった。

ラージョの保持は2CBからの配球とオスカル・バレンティンの中央ポジションを軸にしたポジショナルアタック。ただ、アトレティコが早々に撤退を受け入れたため、コメサニャの右サリーがあまり効果を生まず、ウナイ・ロペスが自由に動けるスペースも失っていった。この日のアトレティコの5-3-2は非常に効果的。ラージョはラウル・デ・トーマスは簡単に真ん中からいなくなってHVの背後に隠れて縦パスを待つんだがWGのランニングレーンの邪魔になる予感があった。特に左はフラン・ガルシアが無秩序にアタックしてくる形とあまりバランスを取れない雰囲気。アトレティコの守備はモリーナ周辺をガルシアコンビが突っ込んでくると怖かったがジョレンテがあらかじめ低い位置に構えてほぼ問題なく対応。あとはカラスコが内側へ入っていくイシを放置するのは良いとして、バリウのマークをかなり甘く見ていた様子がありだいぶ怪しかったが、まあ2-0だし特に問題視されることはなかった。ちょっとハーフタイムに怒られそうな気がするが。シメオネはこういうのはうるさく言わないイメージ。
ラージョは保持の安定が手に入ったのは良いんだが、保持は後ろに重くプレスで前に重くする形はちょっとどうなんでしょう。後半に修正してほしいところ。


●後半
選手交代なしで後半。ラージョは引いた相手を崩すにはやはり右のイシ、バリウ、コメサシャ側から。アトレティコは完全に撤退しているのでバグらされることもなく簡単に守れると思いきや49分にカラスコが裏を取られる。5バックでSBの裏は取られるな定期。
アトレティコは後方3-2の保持からデ・パウルが隙間を見つけて前進し、決定機を演出するなど良い動き。

ラージョは57分にカメージョとトレホ、ファルカオを入れる。スタメンがこっちの方が良かったね、結果的には。イシも交代。
アトレティコは60分にもジョレンテとグリーズマンの理解不能なカウンターを発動してルジュンがモラタを掴んでDOGSO。一発退場となって完全に厳しくなった。

アトレティコはこれでサウル、ルマル、さらにバリオスが出てきて、試合展開も超絶ワイドオープンになり決定機連発。退場者で試合が終わってしまいましたね、と思いきや山ほどあったチャンスを外し続け、85分にフラン・ガルシアのゴラッソを頂戴して1点差にされる始末。バタバタしながらもなんとか逃げ切り。


●試合結果
5連勝。12試合負けなし。2位マドリーがビジャレアルに敗れたため、遠く彼方だったはずが気づけば2ポイント差に。

矛盾なく5-3-2で守り、前半で点が取れればこうなる。という試合。前プレをひっくり返したカウンターとセットプレー。前半で点を取るならこういう形で、これはラージョが勇敢だったからこそ生まれたものとも言える。アトレティコからすると想定通りのサッカーができた。問題なしの勝利。

ラージョは、少人数で点を取りたいからラウル・デ・トーマスがスタメン。そうなるとトレホではなく機動力のあるウナイ・ロペスが衛星になる。という流れはわかるが、結局ラウル・デ・トーマスに説得力がなかった。現状はカメージョとの2トップとかじゃないと期待できなそうかな。


今日のタイトルは故ルイス・アラゴネスの言葉。勝っていきましょうよ。

4/9
カンポ・デ・フトボル・デ・バジェカス
ラージョ 1-2 アトレティコ
得点者
【ラージョ】’85 フラン・ガルシア
【アトレティコ】’22 モリーナ ’24 エルモソ


●ピックアップ選手
エルモソ
満点のハイパフォーマンス。ラージョのプレスを無力化した超絶配球とCHタスク。楽しそうでよかったね。CKからの得点もさすが。

モリーナ
ようやく移籍後初ゴール。ダイレクトで迷わず振り抜いた。よくあそこまで走っていた。フィールドプレイヤー最長のプレータイム(2835分※カップ戦込み)だがまだ走れそう

デ・パウル
ついに最適なタスクが与えられた試合だったように思う。非常によかった。後半はドリブルの持ち上がりもよかった。

コレア
リスペクトを。ゆっくり帰っておいで。

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