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バタつきも楽しんで 6節 アトレティコvsラージョ(A) 2024.9.22

連戦連戦。ラージョとのアウェーゲーム。前回対戦。

国王杯も重なった忙しい時期で結構なターンオーバーをして2-1勝利。
今季はラージョにしては点が取れているシーズン。とはいえ前節の3点はムミンの超絶スーパーゴールにラティウのミドルシュート、ダメ押しはウナイ・ロペスのカウンター完結と、なかなか再現性は怪しいものばかり。得点力不足の解決に紐づけるのは時期尚早と見る。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
アスピリクエタ / ヴィツェル / ヘイニウド
モリーナ / ジョレンテ / コケ / ギャラガー / リーノ
スルロット / アルバレス

ライプツィヒ戦からは6人変更。デ・パウルはベンチからも外れて完全休養。
グリーズマンはベンチ。ル・ノルマンも初めてスタメンから外した。
ヴィツェルは3節エスパニョール戦以来久しぶりのスタメン。

・ラージョ
バタージャ
ラティウ / ルジュン / ムミン / チャバリア
ウナイ・ロペス / シス / デフルートス / イシ / エンバルバ
エンテカ

中盤はパテ・シスとウナイ・ロペスのコンビ。トップはエンテカ。



●前半

・ラージョの強気な設定
・デ・パウルとグリーズマンの不在
・ボールを持たれる試合

お品書き

ミッドウィークのライプツィヒ戦とは良い対比で、"アトレティコと戦い慣れているチームとの試合だな"という印象。

アトレティコのビルドアップに対して3枚+イシで牽制。人数関係はライプツィヒと変わらないが、ラージョの設定はSBがアトレティコのWBに前を向かせず中央の人数をCHで担保する点。ラティウ、チャバリアが自信を持って前進してきた。開始早々ジョレンテにカウンターで抜け出される場面があったが、これを許容して設定できるのはラージョの強みでしょう。そのためのパテ・シスのスタメン起用でもある。

ビルドアップにおいてアトレティコ側はデ・パウルとグリーズマンの不在に尽きる。それでもどうにかなってほしいと思いつつ担当者不在で苦戦した。ギャラガーはデ・パウルと同じ仕事をやってやれない事はないだろうが上下の立ち位置の設定とジョレンテとの左右差が不明瞭でもう少し慣れが必要な様子。2トップではアルバレスの役割が定まらず、仕事がわかりやすかったライプツィヒ戦とは一変して難しそうにプレーした。とはいえ22分のアルバレスのミドルシュートが前半最大の決定機で、こういう展開で脈絡なく点を取るタイプの選手だと思っているので前半のアルバレスには満足している。

アトレティコは3CHが前に出ていけないので相手CBにプレスが掛からず、かなり長い時間ボールを持たれた。

特にアトレティコの配置を難しくしたのは右SBのラティウで、狙ってか狙わずか中途半端な位置に立ち続けるのでギャラガーがずっと対応。ギャラガーは激しいボールコンタクトが特徴だがラティウの位置を気にして他の仕事があまり出来なかった。それを狙っていたのかはわからないが。
リーノがSHに出てきて4-4-2になればバランスを維持できた気もするが、見ているおれとしても「CHを2枚にしてイシが浮く方が嫌か?」という感覚の中、シメオネも変更せず様子見を選択。5-3-2のままであればコケがイシについていける。一方で4-4-2への変更を想定していないのならばスタメンはヘイニウドではなくラングレでも良かったはずで、もしかするとラングレは必要条件を全く満たしておらず今後も出番がないのか?という仮説は成り立つ。

とはいえラティウを起点にした右からの攻撃は完璧に止めており、変化点は前半終了まではないかなという展開。そんな事より見るに耐えないビルドアップをどうにかする必要があったが、モリーナのところで突っかかって進めないシーンが散見されるとデ・パウルorバリオスの助けが必要だなという感じで、ターンオーバーの中の無いものねだりはもどかしかった。

この日のラージョが良かったのはウナイ・ロペスの左サリーでもう一つの侵入ルートを用意した事。ジョレンテを釣り出す事をかなり意識してボールに関与した。ルジュンが位置を高くしすぎると逆にギャラガーが前に出てきてしまうのでシスよりは低い位置に留まるのがポイント。

35分に失点。ゴールキックが跳ね返ってきたところで誰もボールに出ないでズルズル下がってPA侵入を許した。

ボールに出なさい

3CBでやりがちなラインステイだがヴィツェルが背中を任せて出ていくべきだったかなと。ボールを持ったのはデフルートスだったが1stタッチで内に進んだのでサポートポジションを取ったヘイニウドの判断は間違っているとは言いにくい。隙と言えば隙だが、対応できる範囲だったので残念。


●前半終了

0-1で折り返し。今季一番ボールを持たれた45分間だったのではないか。それ自体が問題ではないが、いざビルドアップ局面になっても効果的に前進できなかった事はターンオーバーを抜きにしても厳しい評価。さらに前半終了直前にアスピリクエタが怪我をして結局ヒメネスを使う事になったのも大きなマイナス要素になった。失点は事故的だったがル・ノルマンとヒメネスがいれば起こり得なかった気もするので、セカンドユニットの試合の方がこういうバランスになる事は多そうなのでCB勢が休みにくくなりそうな不安がある。



●後半

・選手交代とスクランブル配置
・アルバレス活用法
・ペースを取り戻せないラージョ

お品書き

コレアとグリーズマンを投入。
高い位置で守備に関わる機会もなく、相手を押し込む時間もなかったのでジョレンテはほぼ仕事なし。リーノは5バックのままだとデフルートスを見張っているだけで、カウンターを打てる機会もなかったのでこちらも仕事なしのまま交代となった。疲労感はないでしょう。

これでアトレティコは非保持後ろ4枚。保持局面では4-4-2でも4-2-3-1でも4-2-4でもない"4バックの何か"を作り出した。ライン間でコレアとグリーズマンが仕事すれば何でもよく、結果アルバレスが左大外に置かれたのはなんだか不思議だったが切り込んで良いミドルシュートを打っていた。物は試し。

配置が意味不明なアトレティコに対してラージョは多少混乱しており、前半同様CBまでプレスに行くべきか決めかねたままヴィツェルから良い縦パスがライン間に入り、その流れた先でスルロットが華麗な個人技でギャラガーのミドルシュートを呼び込んだ。いきなり同点。ギャラガーのシュートはプレミアリーグのハイライトでよく見る感じの軌道でアトレティコの新しい武器。ヴィツェルからの縦パスは、ボール自体も良かったがコレアとグリーズマンの投入で明確にここを狙う意図をチームが持った事が得点に繋がった。お見事。

ここから試合終了まで一切ペースを握り直せなかったのが逆にラージョらしいが、上手くいかない時は上手くいかないなりの時間の進め方ができるのはイラオラ監督時代の遺産でありラージョらしさの正体と言える。アトレティコからすると再度ボールを持とうと画策してくれた方がやりやすかったが、そういう展開にはならなかった。それと前線の選手交代手順が全体的に意味がわからず、敢えてペースを握らなかったのかと思うほどチグハグな時間を過ごすラージョであった。ビルドアップの中心だったウナイ・ロペスに代わって本職のオスカル・バレンティンが出てきても状況は変わらなかった。

アトレティコは後ろをヴィツェルとヒメネスの2人にして配球はコケがサポート。中盤中央はギャラガーが一人で担当するプチスクランブル体制に入っていくが、守れば良い環境ならばラージョは相当堅く守れる。
特に要所では今季調子が良いムミンが対応して上手く守った。最終盤は右にバリウを追加して引き分けを受け入れていったが、左はチャバリアが一人で完遂。コレアに股抜きされてもついていったりかなり働いた。ジョレンテがWBで出ていたらどうなったかはわからないが、純粋にラージョの守備を褒めていい試合だった。


●試合結果

アウェーで1-1のドロー。どうにもターンオーバーが上手くいかない事の多いクラブだが、もう少し上手くやりたかった試合。ラージョを褒めようと思えばいくらでも分析する箇所はある試合だったが、アトレティコ自身に目を向けたい。

ヒメネス不在時にライン位置の固定と3CBの前にあるボールへのアタックが弱まったのは開幕戦と同様。追加してこの日はル・ノルマンもいない事で曖昧になった。今となっては先季はずっとこんな感じだった。ヴィツェルとアスピリクエタに頼る限界はこの辺りにあると思う。前に進む時が来た。
ビルドアップはデ・パウルとグリーズマンがいないと上手くいかない。ついでにバリオス。ボールが動くルートより人の移動で位置優位を作っている最近からすれば起こり得る事態だったので驚きはない。不満はビルドアップが上手くいかないと攻撃が成り立たない点。そんな繊細なチームでしたっけね。

選手交代や優先順位はターンオーバーの範疇。アルバレスも試行錯誤しているのは良いでしょう。決まった使い方がある選手ではないだろう、元々。

さて3勝3分。マドリーとは2ポイント差。このままダービーまでいきたいところ。次はミッドウィークのセルタ戦。


9/22
カンポ・デ・フトボル・デ・バジェカス
ラージョ 1-1 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】’50 ギャラガー
【ラージョ】’35 イシ


●ピックアップ選手

ギャラガー
また決めた。アトレティコの中盤は伝統的にゴール正面のミドルシュートを決められないので貴重な存在。ビルドアップ関与はタスクを整理したい。

アルバレス
前半は手数が少ない中で単品でゴールを狙い、後半は左大外に動いた。色々試しながら。

ヴィツェル
前半の失点に絡む判断ミスと後半の同点ゴールに繋がる積極的な縦パス配球。不可欠な存在だからこその用法用量を再チェックしたい。

コケ
補強をしても形を動かしても、結局コケがいないとチームが回らないのは流石だなと思いつつ、危機感もややある。


●myQA

6-1 (1-4関連)フリアン・アルバレス活用法
さてアルバレス。個人的に悪くない感覚を持っているんだがどうなんでしょう。というかここはアトレティコであって全幅のサポートを受けてアルバレスはシュートを打つだけ、なんて環境は本人も想像していなかっただろう。ここは自給自足の町である。
まず7試合戦って見えてきたのは彼はグリーズマンの後継者ではなくシンプルにストライカーであるという事。そして過去も現在も、グリーズマンの相棒は電柱が最適である事。つまりアトレティコのスカッドにとってアルバレスの存在はあくまでも亜種である。高い買い物だからといってここを履き違えてはならない。それで左大外では使い物にならない事もわかった。さあ、次に進もう。楽しみだね。

6-2 (3-1関連)スクランブル
スクランブル。4-2-4に準じた形に変化していくのはアトレティコのあるあるであり、この日も同様。個人的には両サイドにちゃんとピンを置いた方が押し込みやすくなると思うが、先季からシメオネはスクランブルで左右非対称にしたがる。ここはあまり共感がないのと、上手くいっているのを見た事がない。
後半の戦いで言うとライプツィヒ戦との差分はジョレンテがいなかった事。リケルメを使わなかったのは出場時間の話なんだか何なんだか。あとはジュリアーノ投入後もアルバレスの方が大外にいた様子だったのはどういう事なのか、というところ。この試合で言えるのはここまで。

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