ラリーガ21-22 第13節全マッチプチレビュー

13節!
個人的に面白いカードが多かった今節。
一つ一つおさらいだ!!!




①アトレティック 0-1 カディス

●勝ち点に繋がるバランスの良さとは
【カディス】’6 サルビ・サンチェス

アトレティック1

ホームのアトレティックはイニゴ・マルティネスが前節レッドの出場停止、ビビアンが怪我でCBコンビが不在。(ONTAさん情報ありがとうございます)
一方のカディスはネグレドがベンチから。

6分に早速カディスが先制。何気ないプレーだったが、サルビ・サンチェスのところでボールが収まり、5人が絡んでPAを突いた。

この日のカディスの攻撃は両SH、右のサルビ・サンチェス、左のアルベルト・ぺレアの足下でボールが収まる。そこの周辺に人数をかけて、2トップは背後を狙っている、という構造。10番のアルベルト・ぺレアという選手、正直ほぼ初めて見たけど上手いね。カディスぽくない異物感があって良い感じ。こういうチームのこういう選手の割には守備もちゃんとやる

カディスの守備は4-4-2撤退だが、思ったより人の意識が強く、そして前がかり。アトレティックからすると1対1で勝てるポイントを作れないとCBの2人のところへボールが戻ってきて、そこに強烈な前プレがかかると。ベストメンバーではないCBコンビは嫌なボールロストがいくつかあった。アトレティックの配置のバランスが良い分、数的優位やバグを起こせずカディスは守りやすそうだった。バランスが良すぎる、選手間の距離が均一すぎる、という感じ。

アトレティックでバランスを壊すといえばもちろんムニアインのタスクになる。15〜16分、自分が内側に入って大外はバレンシアガに使わせる。

アトレティック2

イニャキのポストを使って侵入した形は一つのヒント。

ただ、右SHのベレンゲルは異常ハイテンションキャラのエスピノを対人で振り切れず、超元気なサルビ・サンチェスはカウンターの単独特攻でアトレティックを困らせた。

カディスは、「ここは相手を上回れるぞ」という箇所を見つけるとどんどん元気になっていくチーム、という印象がある。自信を力に変えるというか。この日の前半はアトレティックが隙を見せすぎた。そして早い時間の先制点。得点に苦労するチームのカディスにとってはかなりやりやすい前半だった。

得点が欲しいアトレティックは後半、スピードのあるニコ・ウィリアムス、ヘディングの強いラウル・ガルシアと、解決策になり得る選手を投入。カディスのサルビ・サンチェスが前半で退いた事もあり、圧倒的にアトレティックがボールを持った。
ただ、カディスの頑張りだったりアトレティックの詰めの甘さだったりで攻め続けている割には決定機を作れない。どうにも引いた相手に弱いアトレティックは連敗。カディスは5節以来の貴重な2勝目。激しくなる下位争いで一つ前に出た。


●ピックアップ選手
アレックス・フェルナンデス(カディス)
中盤の守備で90分間異様に効いていた。
ムニアインの事も気にしなければならない忙しい仕事だったが耐え凌いだ。



②エスパニョール 2-0 グラナダ

●エスパニョールの好循環
【エスパニョール】’30 ペドロサ ’42 ラウル・デ・トーマス

エスパニョール

エスパニョールは先季までの2季グラナダに在籍したヤンヘル・エレーラが今季初スタメン
オスカル・ヒル不在でアレイシ・ビダルが右SBに入っている

ミジャもゴナロンもいないグラナダは4-4-2に回帰。
30分にエスパニョールが先制。CKからサインプレーでエリア外からペドロサのゴラッソ。乗ってるねえ。グラナダは悪くない入りだっただけに悔しい。
42分にはダルデルのピンポイントのアーリークロスにラウル・デ・トーマスが合わせて、2点目。

エスパニョールが2-0で折り返す。グラナダは別に何が悪いでもなく。エスパニョールの4-2-3-1がとても良いね。ヤンデル・エレーラが最後のピースだったのかもしれない。

後半のグラナダはワイドにポイントを作っての放り込みだのセットプレーだので決定機を作ったがこの日はディエゴ・ロペスが立ちはだかった。おれはグラナダが降格するとはこれっぽっちも思っていないので、勝手に上がってくるでしょうと思っている。

エスパニョールは、今は何もかもがうまく回っている様子。ラウル・デ・トーマスは代表にも呼ばれた。スタメンが固定できているのも良い。欠かせない選手も多く、怪我などには注意したいところだが、この勢いのままどこまでいけるか。


●ピックアップ選手
ヤンヘル・エレーラ(エスパニョール)
右に左に縦横無尽。上位相手で同じ働きができるか次第だが、チームに新しい風を吹かせた



③セルタ 3-3 バルサ

●90分間勝利を目指すという事
【セルタ】'52 '90+6 アスパス '74 ノリート
【バルサ】'5 ファティ '16 ブスケツ '34 デパイ

セルタ

クーマン監督が辞めたバルサ。アグエロは暫しお休み。是非、無事で。
ピケがいなくてラングレがスタメン。フランス代表復帰するそうで。
ここで負けると監督の首が涼しくなりそうなセルタはブライス・メンデスが出場停止、サンティ・ミナは怪我で欠場。ソラーリ、ガリャルドのベテランをスタメンに入れる。違いを作れるか

バルサは5分、早速アンス・ファティが大外裏抜けからの仕掛けで先制。いよいよ化け物じみて来た。
バルサの非保持はガビが落ちて4-4-2気味。ガビは守備でもボールの執着が強く効果的。WGって感じの選手ではないよね。他に出来る選手がいなくてやむ無く、という感じ
攻撃では左のWGになるファティの内側にデ・ヨングが入ってくる形。ジョルディ・アルバが何すんの、ってところがポイントか
18分には押し込んでマイナスを受けたブスケツの優しいミドルシュートで、2点目。楽になった
セルタはいかにもボールに緩く、そんなところで抜かれるのかってところを抜かれる。悪い意味でいつも通り
34分には中盤3枚の良い循環でジョルディ・アルバをフリーにしてクロス、デパイがフリーで流し込んで、3点目。セルタは人を捕まえようと守備してるけど取り切れないのでズルズルいく。バルサは左側一辺倒の攻撃だけど大量リードを奪った

ところがバルサはアクシデント。前半終了間際にアンス・ファティがおハムで途中退場。代表ウィークくらいで戻ってこれるレベルだといいんだけど。

後半はセルタが右サイドを2人とも替えて臨む。マージョは怪我。その後半から入ったベルトランと左のノリートが内へ内へ。デニス・スアレスも積極的に崩しに関与する。ノリートが2トップに近づいて循環が良くなり、勢いのままにアスパスが1点返す。前半からやれ。
58分にバルサはこの日よく動けていたニコ・ゴンザレスが怪我で交代。なんだかね、このチームは。
バルサは1人替わる毎に明確に弱くなっていくのが切ない。特にジョルディ・アルバ周辺の守備が何故かどんどん怪しくなっていく。セルタはPK疑惑のチャンスや、ノリートがハンドでゴール取消になりながらも良い時間が続く。74分にセルビのクロスにノリートが飛び込んで2点目。後半ずっと左からのクロス対応が怪しいバルサ。
その後も終了のホイッスルまで必死に"もう1点"を求め続けたセルタはロスタイム+6分、アスパスのスーペルゴラッソで3点目。最後はクロスではなくアスパスの足下への横パスを選んだハビ・ガラン始め、90分間戦ったみんなの気持ちをしっかり枠に収めたアスパスはまさにエース。
後半まったく改善出来なかったバルサは、終盤には遅延行為にダイブになんでもあれでとにかく逃げ切ろうと無様な姿で戦ったが通じず。何でこんな選手が試合に出れるんだ?というのも沢山あるが監督も変わるし、別に今のバルサを特別扱いして指摘する意味もないのでやめておきましょう。
セルタは悪い時間帯を少なくとも失点せずに過ごせるようになりたい。後半はオフサイドやハンドやPK疑惑含めれば5,6点分の決定機を作れているわけで、それでも前半に3失点してしまうと、良くて引き分けまでだ。


●ピックアップ選手
イアゴ・アスパス(セルタ)
前半は足にボールがつかないようなシーンもあったが徐々に改善。チームもスロースタートだが彼自身もなかなか。それでも帳尻を合わせる2発でチームを救った。粘り強く守ったCBのアイドゥ、途中出場で良い働きをしたセルビも良かった



④アラベス 2-1 レバンテ

●正直者は救われる(?)逆転劇。レバンテはいよいよ、、、
【アラベス】'77 '90 ホセル
【レバンテ】’13 デ・フルートス

アラベス


不調の2チームによる注目の一戦。勝ちたいチーム同士。
ホームのアラベスは4-1-4-1で入る。ルームがアンカー位置。モヤとペレ・ポンスの運動量で色々補いたい。ポジトラでは前残りするリオハの裏をシンプルに狙う。右SHにペリストリが使われているので注目したい。

レバンテは4-1-3-2風の配置。相変わらずメンツもシステムも固定できないチームは、デ・フルートスとバルディがタスク過多になりそうな形で入る。特にバルディは相手SBまでプレスに行っており、どこまで持つのか。
保持時はSBになるべく高い位置を取らせる。そのためにマルサがアンカーポジなのだな。先制点はそのマルサから、裏を取ったデ・フルートスの頭に合わせてレバンテがゲット。アラベスのライン設定が間違っていたとは思わないが、タイミングもボールも完璧で仕方ない失点。レバンテは理想的な早い時間の先制点で、ついに初勝利を期待できる展開に。

アラベスはただでさえルームのビルドアップに不安があるのに、モラレスに狙われていてさらに使いにくい。となるとIHが落ちてきてビルドアップするのだが、そこはかとなくネガトラに不安があってSBを思い切って押し出せない。この辺が先に失点した影響だろうね

前半は球際でバチバチやり始めて試合が頻繁に時計が止まる下位同士らしい面白くない試合に。贔屓目なしにアラベスが大袈裟に倒れてるだけに見える場面が多い。前半はそのまま終了

後半、早め早めに選手交代を使うアラベス。ドリブルで何となく侵入できるがレバンテはファールのようなファールじゃないような地味なラフプレーでどんどんアラベスをイラつかせていく。たまにロングカウンターをチラつかせながら時計を進めてゆく形。
しかし76分、デ・フルートスが振り上げた足がドゥアルテにジャストミート。いくらなんでもPK。ずっと揉め事の中心にいたデ・フルートスがやってしまったので印象的にももうこれはPKだ。先制点も決めていただけに残念。これをホセルがポストにぶち当てて決める。レバンテは痛恨の失点。
このまま終わるかと思った90分、疲れ切って間延びしたレバンテ。アラベスは放り込みにドンピシャで合わせたのはまたもホセル。なんとひっくり返した。

勝負強かったホームのアラベス。これでここ4試合で3勝と勢いが増す。ホセルしか点が取れないが、ホセルの2発で勝つんだからこの試合に関しては文句なしだろう。2点目のヘディングは見事だった。
敗れたレバンテは今季初勝利が滑り落ちた。早めに先制してゲームプランもクソもなくなんとしても勝利を、と必死に戦っていたが。ラフプレーに頼って結果PK献上→逆転では目も当てられない。このままでは降格街道まっしぐら。劇薬が必要になってきた。


●ピックアップ選手
ホセル(アラベス)
今季12試合で僅か7点しか取れていないチームでここまで5得点を奪う。アラベスはこの試合が今季やっと2度目の複数得点だったが、前回2得点を取った10節カディス戦(2-0勝利)もホセルの2ゴールだった。
正直70分過ぎまで何もしていなかったが、帳尻合わせの2発は見事。



⑤マドリー 2-1 ラージョ

●完璧なマドリーのビルドアップと、負けて尚強しのラージョ
【マドリー】'14 クロース '38 ベンゼマ
【ラージョ】'76 ファルカオ

マドリー

同じマドリードに本拠地を持つ2チームのダービーマッチ。マドリーはCLシャフタール戦から中2日。風邪を引いたモドリッチの代わりにカマヴィンガがスタメン。ラージョはいつもの4-2-3-1でスタート。この日のトップはエンテカ。

5分、早速ヴィニシウスが決めるがオフサイド。彼は本当にシュートが枠に飛ぶようになった。

マドリーはビルドアップでカマヴィンガの位置が極端に低い。カルバハルが相当高く立つ。カルバハルが大外を使って内をアセンシオが入り込む。
14分にクロースが先制点。ヴィニシウスがオフサイド疑惑だったがセーフ。マドリーは結構簡単にラージョの前プレを外す。中盤ラインの背後に人を用意してハイボールを狙う巧みな外し方。

ラージョはビルドアップもポジトラも普通に通用する。よくぞこのレベルまで。PA付近まで行けるとグッと人数をかけるスイッチが良い。
しかし38分にアラバのピンポイントクロスにベンゼマが合わせて2点目。マドリーのカウンターの精度が非常に高く、対応しきれないラージョ。

後半に入っても奪えばPAまで進めるラージョ。ただ、前から行くプレスがやや単発で、マドリーの選手には通用していない。なら別のソリューションを、というところで2点取られてしまっているのが難しいところ。逆に言えばマドリーはこういう試合の前半で2点取れる強みがある。
この日のマドリーはビルドアップが無敵モードで、後半もヴィニシウス、ベンゼマの決定機逸があったものの崩しのレベルも高かった。
68分にラージョはファルカオを投入。
10番のべべがとんでもない推進力からのシュートミスを連発し、76分にファルカオがヘディングで得点。1点差にした。ファルカオすごい。そして80分に内転筋を痛めて去って行った。なんなんだ。ファルカオすげえ。

ロスタイムにCKからゴールを割られそうになりながらクロースが決死のカバー。どこかの2チームとは違ってしっかり3ポイント。ラージョは負けてもまだ6位。


●ピックアップ選手
ラダメル・ファルカオ(ラージョ)
途中出場で1点。そして負傷交代と"ライオン劇場"を見せた。イラオラ監督もファルカオを上手く使っている印象



⑥ビジャレアル 1-0 ヘタフェ

●悪いなりに3ポイント
【ビジャレアル】'10 トリゲロス

ビジャレアル

ここ4戦で1ポイントと絶不調のビジャレアル。前節エスパニョール戦で今季初勝利をあげた最下位ヘタフェとの試合。

監督が変わってから初めて見るヘタフェは5-3-2。まずは守備から、という姿勢が見られる。このシステムにしては前からプレスがかかる。どこまで持つのか、当たって砕けろなのか。そして両SBが何やら高い位置に引っ張られがちで、ニョムの裏に入り込んだダンジュマが得意な角度から仕掛ける。それをジェネが足で止めてダンジュマはいきなり負傷。一度戻ってきたがやっぱりダメで12分に引っ込んだ。長引きそうな雰囲気

ビジャレアルは4-2-2-2配置。CBとCHで2-2ビルド。SBの位置が高いが、エストゥピニャンが中間でフリーになってダンジュマやコクランに大外を使わせたりと突然戦術を覚えたみたいになってた。
10分の先制点はそのエストゥピニャンから。ビルドにプレスが吸われてサイドチェンジでガラ空きのエリアを使った。トップの頭目掛けて放り込んでその奥に入り込んだトリゲロスの見事なフィニッシュ。ヘタフェはなんのための5バックだよ

ヘタフェはちゃんと全体で撤退すれば体を張ったりしながらまあまあ守れるが。さっさと先制されて引きこもる事もできない試合になった時点でプランと違うのだろう。攻撃はどことなく自信なさげで、この配置で点取れるかよって選手が思ってそうなのが切ない。
ビジャレアルはどの試合から4-2-2-2をやってるのか知らないけど、トリゲロスとコクランの能力を最大限いかせる形だと思う。いつの間にか加入していたオーリエは何もしていなかったがそれでいいんだろうか。カプエはアンカー起用では上手いと思わなかったが隣にパレホがいるとバフが発動するかのように安定感抜群になる。
42分にGKルジからピノを狙ったスローに何故かヘタフェの中盤が棒立ち。簡単にパコに裏抜けされて決められる。VAR取り消しになったが、なんとも集中してないというか。

後半もヘタフェは特別なソリューションは示せず。ハイメ・マタにワンチャンありそうだったが止められた。1点ビハインドの後半に、形を変えてでも取りに行く姿勢が見られなかったのは、保持されるからやむ無くなのか、無策なのか。この試合だけではなんとも言えないが、ヘタフェはいつの間にか最下位に相応しいチームになってしまった。
ビジャレアルは怪我人が多い中、この試合でダンジュマも負傷。とりあえずは勝てて最低限のノルマは果たした。


●ピックアップ選手
サムエル・チュクウェゼ(ビジャレアル)
まだスタメン出場はないが前を向いた時の突破力は相変わらず。アタッカーに怪我人が多いチームで存在感を発揮していきたい


⑦バレンシア 3-3 アトレティコ

●守れなかったリード
【バレンシア】’50 OG(サヴィッチ)  '90+2 '90+6 ウーゴ・ドゥーロ
【アトレティコ】’35 スアレス ’58 グリーズマン ’60 ヴルサリコ

スタメン


レビューはこちら!

●ピックアップ選手
ウーゴ・ドゥーロ(バレンシア)
85分からの出場でロスタイムに2発で同点劇を演出。
マドリー、セビージャからも得点した大物食いがチームを救った



⑧マジョルカ 2-2 エルチェ

●勝負強いのか、勝負弱いのか
【マジョルカ】’72 サルバ・セビージャ ‘90+5 マフェオ
【エルチェ】’68 ’75 ボイェ

マジョルカ

胸スポンサーが日本企業のマジョルカと、腕のスポンサーが日本企業のエルチェの一戦。
3-5-2をやめて一気におれの興味がなくなったエルチェはGKに今季初めてバディアを使う。
知る人ぞ知る、先季のおれの優秀選手賞に入った選手。理由は髪型がウザいから
昇格組マジョルカは前線の配置が気になるところ。そのマジョルカはかなり前がかりにボールを持つ。両SB、特に左のハウメ・コスタはPAに頻繁に入ってくるくらい中央に寄ってくる。ネガトラはイドリス・ババの対応力に全振り、という感じでCB+ババしか残さない。これならエルチェはボイェ一人でもどうにかできそうだがどうだろう。

基本的にはマジョルカがボールを持つが、たまに前線まで運べた時とカウンターの迫力はエルチェにもある。守備で後手に回って押し込まれ続けてしまうのが4-4-2の時のエルチェの苦しいところ。前4枚のクオリティは高いんだけどね。それとこの形だと、フィデルの魅力がかなり削がれるのは気になる

マジョルカの前線はイ・ガンインが巧みなターンで頻繁に前を向いてスピードアップするがパスが毎回適当。判断もあまり良くないので効果的にチャンスを作れない。上手いんだけどね

68分、先制はエルチェ。CBルッソが受けたバックパスを処理ミスしてしっかり寄せていたボイェが奪取。ニア上にぶち込んだ。ルッソは爪先にボールが当たってしまい不運。
しかし直後、ホセマとマフェオの微妙なコンタクトでマジョルカにPK。ちょっと厳しめ。これをサルバ・セビージャおじいちゃんがばっちり決める。振り出しに。
突然動き出した試合は止まらず、75分にエルチェが後方ビルドアップからルーカス・ペレスを起点に左サイドに展開。ボイェ→モヒカ→ボイェで崩して勝ち越し。
そこからはホームのマジョルカがラッシュ。エルチェはCBを追加してもいいんじゃないかってレベルで押し込まれまくるが、準備してきた108種の時間稼ぎソリューションを使い切り、遅延行為のイエローをもらいながら逃げ切りかけたがロスタイム+5分、CKにファーで待っていたSBマフェオが合わせて土壇場で同点に。90分間よく走っていたマフェオにご褒美が来た。GKバディアはパンチングしに飛び出したところで味方のモヒカとぶつかってしまうお粗末な対応。勝負強かったマジョルカはこれで4戦連続のドロー。エルチェは久しぶりの勝利を逃し、降格圏が見えてきた。


●ピックアップ選手
サルバ・セビージャ(マジョルカ)
御年37歳の大ベテランMF。中盤の保持に優位がある試合ではかなり活きる。イドリス・ババにネガトラを任せて球出しに全振りした。PKで今季初ゴールもゲット。



⑨オサスナ 0-2 ソシエダ

●冬の王者へ充実の3連勝
【ソシエダ】’72 メリーノ ’82 ヤヌザイ

ソシエダ

バスク地方同士、好調同士の対戦。オサスナは上位4連戦の真っ最中。
ソシエダはオヤルサバルが引き続き欠場
オサスナはキケ・バルハが2節以来の復帰

ソシエダの保持は中央から入れ替わり立ち替わり選手が入ってきて前進する。特にバレネチェアはかなり内へ。そしてメリーノが人のいないところを選んでキッチリ埋めてくる。大外はSBに任せつつ、ヤヌザイだけ何だかわからん。ちゃんと監督の指示通り動けているのか不安になる。

オサスナはアンカーのモンカジョラが全てのフォローを行う形で前進する。とんでもないカバー範囲。彼の可動域のみで数的優位を作りに行く。サイドはSBとSHでレーンを分け合いながら配置。素直で綺麗な配置をしている。

ソシエダは、オサスナの整備された守備に対して誰がどこで違いを作るのかがポイントになってくる。イサクがホームランバッターになっているのも気になるところ

お互い選手を入れ替え始めた72分、メリーノがPA内でターン、左足を振ったボールがDFに当たってゴールへ。彼はオサスナ出身なんだね
その後82分には左に移っていたヤヌザイが単独のドリブル突破でPKを得て、自ら決める。
ソシエダは焦ってもおかしくない時間帯でもしっかりと。すでにスタイルと心中すると言えるレベルにまで来てるんじゃないか。これで3戦連続、今季9回目のクリーンシート。その内8つ勝っている。文句なしの単独首位。敗れたオサスナは連敗、上位勢相手に3連続の無得点となったが、この試合に関して言えば特にネガティブな印象もなく。すでに残留は問題ないだろう。それ以上の目標を持てるかどうかに注目していきたい

●ピックアップ選手
ロバン・ル・ノルマン(ソシエダ)
今季13試合全てに先発。今季のラリーガのベストCBになってもおかしくないパフォーマンスを続けている。プレミアに買われていくくらいならソシエダでラリーガタイトル取ってほしいね



⑩ベティス 0-2 セビージャ

●灼熱のダービー。見たかった後半・・
【セビージャ】’55 アクーニャ ’81 OG(ベジェリン)

ベティス

13節の締め括りはダービー。
セビリアダービーは、一番スペイン的、というイメージだ。
温暖な気候、熱狂的、陽気、上裸、ヒゲ面、胸毛がもじゃもじゃ、というイメージ。

今季は共に好調。CL圏を狙える状況でこの日を迎えた。好勝負を期待。

前半、序盤ボールを持ったのはセビージャだった。ベティスはプレスがハマらず押し込まれ気味。セビージャは困ったらトップへのハイボールが納まるので保持できている。ただ中央からの攻略はなく、SBからWGにボールを入れて、突破できずにアーリークロスをラファ・ミルの頭、くらいしか選択肢がなくてチャンスメイクできない。もはや引きこもってエン=ネシリの裏一発の方がチャンスになりそう。
一方のベティスはセビージャの囲い込むプレスに四苦八苦。20分までフェキルのシュートくらいしか機会も作れていない。ラキティッチを前に出す4-4-2でSBのところに強く行くセビージャがペースを握る。
しかし36分、フェキルが落ちてボールを引き出したところからホームのベティスが先制する。が、オフサイド。惜しい。ギド・ロドリゲスからベジェリンへのスルーパス一本で裏を取った。90分間フェキルに黙っててもらうのはさすがに無理だなと。ベジェリンの抜け出し方も良かった
しかしベティスは45分にギド・ロドリゲスが2枚目の警告で退場。11人で見たい試合だったが残念。

これで後半頭からベティスは45分間ボール触った記憶すらないウィリアン・ジョゼを下げてウィリアム・カルバーリョin。どこまで守れるか
セビージャは相変わらず押し込んで揺さぶって放り込み。開き直って中央を固めるベティス相手にどこまで効果があるか
55分セビージャが先制。マイナスに突進してきたアクーニャが正確にニアを射抜いた。さすがのキック精度。これでベティスは一気にキツくなる。62分にはファンミとおれのテージョを入れて"少人数でどうにかしてください"という感じに。
81分にはモンティエルの折り返しをベジェリンが触ったボールがゴールへ。不運だったけど、モンティエルのコース取りがとても良い。いい選手だ。これで勝負あり。90分のテージョのFKがハイライトになってしまった。

できれば11対11で後半も見たかったが。上位対決はアウェーのセビージャに軍配。ベティスは実際後半どのように戦うつもりだったのかは興味があったが、またの機会に


●ピックアップ選手
ゴンサロ・モンティエル(セビージャ)
今季リーベル・プレートから加わった右SB
ヘスス・ナバスが欠場する試合しか出番がないが、大外で幅を取って内へランニングしてくる動きは質が高い。今後に期待


●まとめ

ラリーガは13節が終了。

・上位
上位勢に未消化のあるチームは多いが、ひとまずソシエダが単独首位に。開幕で超苦手なカンプノウでのバルサに負けて以降は9勝3分。オヤルサバルがいない期間どのように点を取るのか、が課題だが今のところどうにかなっている。
むしろ盤石に見えるのかマドリー。ベンゼマとヴィニシウスのコンビがここまでかなり強力で、そう簡単には止められない。中盤も特定の組み合わせに固執しない強さがあり、取りこぼしは少なそうだ
ここで勝ち点を積みたかったバルサ、アトレティコはリードを取りながら追いつかれる試合。どちらもモヤモヤの残る試合に。

・中位
アトレティック、オサスナ、ラージョと、上位を追いたかったチームはことごとく負け。13位のマジョルカまではかなりゴチャついた格好に。勝った不調のビジャレアルは、1ヶ月もあればごぼう抜きにできそうなポイント差に

・下位
アラベス、カディスは勝って一歩前進。
負けたグラナダ、レバンテ、ヘタフェが厳しくなる。ただグラナダはここのところポイントを積めており、まだどうにかなりそう。


年内の試合は残り5試合。
欧州戦のある上位勢はキツい時期になるが、果たして。
では、また来週、アトレティコvsオサスナのレビューでお会いしましょう。

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