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崩壊した走力 36節 アトレティコvsエスパニョール(A) 2023.5.24

前節の勝利で4位以内確定。そして2位浮上。
3試合残して先季の勝ち点を上回りあとは上積み。ちなみにあと2得点で先季の総得点(65得点)を超える。
さて36節。前回対戦。

W杯前の今季最大級に悩んでいた時期。
だいぶ状況は変わったが、さて。

19位と苦しむエスパニョールは前節ラージョにアウェーで気合いで競り勝ち、残留への最後の挑戦権を得た。ここ5試合で9得点はマドリーやソシエダを上回る数字。このまま突き抜けたいところ。最後の2試合はバレンシア、アルメリアとの直接対決なのでここでアトレティコからポイントが取れると非常に大きい。


●スタメン
・アトレティコ
グルビッチ
モリーナ / ヒメネス / ヴィツェル / エルモソ
コケ / デ・パウル / サウル / カラスコ
グリーズマン / コレア

前節良いパフォーマンスだったサウルを連続起用。モラタが首を痛めてシーズン終了となり、FWはグリーズマンとコレアしかいなくなった。この2人は本当に年中健康。

・エスパニョール
パチェコ
オスカル・ヒル / カレロ / セサル・モンテス / カブレラ / オリバン
デニス・スアレス / ダルデル / ニコ・メラメド / プアド
ホセル

前節からの変更はCBのセルジ・ゴメス→セサル・モンテスのみ。この5-3-2で最後まで行く様子。


今日はみかん色。


●前半
エルチェ、オサスナに続いてアトレティコの3CBに3枚ぶつけてきたエスパニョール

配置は5-2-3風だが中盤から前、ダルデル、デニス・スアレス、ニコ・メラメド、プアド、ホセルの5人はかなり流動性を持って5-2-3にも5-3-2にも5-1-3-1にもなれる。誰がスイッチを握るでもなく無駄なくポジションチェンジ出来ていたのが印象的。ブライスワイトがベンチなのはこの辺が理由なのだろうか。
前線3枚でアトレティコの3CBからの配球を限定。ここはここ2戦と同じ。あとはボールを触りに落ちていくWBを気合の縦挙動で消しに行った。これはもうパフォーマンスとして"前から行くぞ"というアクションで、後がないチームはこれくらいの方が良いだろう。いい設定だった。

前線はタスクも綺麗に分業されており、プアドとニコ・メラメドは配置に拘らず縦横無尽に動き回った。特にプアドはHVの外側まで走ってボールを引き出してチーム全体の押し上げに寄与し、ニコ・メラメドはドリブルでの前進、特にカウンター局面で突っ走った。良い選手だよね。
トップのホセルもちゃんと真ん中に留まらずプアドがいない側へわざわざ動いてポジションしている感があり、前回対戦でヒメネスに完封されていることを考えてか彼もチームのために走っていた。
中盤はダルデルとデニス・スアレスがいればある程度はどうにかなり、この2人は走力もあるので色々解決していった。90分やれるかは怪しそう

アトレティコはオサスナ戦同様に早めにサウルがトップポジションを取りに行くとビルドアップの枚数が足りなくなる危険性があり、段々とポジションを下げていくこととなりエスパニョールの網にハマっていった。
エスパニョールはエルモソ&カラスコ周辺に密集を作ればとりあえず守れると考えていた感があり、アトレティコはここでロストを連発。速いカウンターでモリーナ側を使われてバンバンクロスを放り込まれた。オリバンはスプリントを繰り返し、モリーナを迷わせた。けっこうビルドアップが詰まるとモリーナが対人で上回ることが解決策になったりするので、それが使えなかったのは誤算だった。オリバンは明らかに90分やり切るつもりがないペース配分。ペドロサいるし。

左からのクロス(アトレティコから見て右)はホセルの頭を越えた先のプアドに飛んでくる機会が多かったが、さすがに空中戦無敵のエルモソが待っているので致命傷にはならずに済んだ。流れた先でCKになるケースも多く、これもけっこう危ない雰囲気。前半で7本。ちなみに後半は9本あった。アトレティコは耐える時間が長く、エスパニョールは再奪回もとんでもないスピードで飛んできており後手に回った。残留へ向けてのモチベーションが全面に出ていて危険だったが、アトレティコはグリーズマン&カラスコ辺りがどう考えても捕まっている状態から2人でプレスを外してしまう意味不明な理不尽を何度も発揮し、腕力で試合を破壊していく。

アトレティコの先制点は21分。この場面もエルモソの足下に入ったボールを強気に右肩上がりにプレスを掛けてくるエスパニョールだったが、5バック破壊の一つの回答はIH特攻。ルマルがいつまで経っても身を結ばなかったがサウルが一発で決める。

デ・パウルがドリブルを使ってプレス回避。エルモソにプアドが真っ直ぐハイプレス。カラスコをWBが捕まえに来ていたがサウルがHVモンテスの背後へランニング。ピンポイントで完璧なスルーパスを通したエルモソのスキルはさすがだ。2タッチでスピンをかけて完璧に通した。角度はなかったが調子の良いサウルが決め切った。先制。

アトレティコはエスパニョールの圧力を常に感じながらプレーしていたが、45分には後方からのビルドアップでようやく綺麗に抜け出し、カラスコがPA内侵入。シュートは2つ止められたが最後はグリーズマンのシュートがラインを越えて2点目。理想的な前半の締めくくりとなった。


●前半終了
2-0で折り返し。まあ最終的に追いつかれるという結果を知っているから言えることかもしれないが、あまりにもサイド(特にアトレティコから見て右)から放り込まれ続け、さらにトランジションでもニコ・メラメドを中心にど真ん中を突っ切られてシュートまでいかれる場面もあり、危険な気配は色々とあった。後がないエスパニョールの思い切ったプレスも威圧感があり、両HVヴィツェル&エルモソが自由を奪われるとアトレティコの選択肢は減っていった。
かといって修正できる人材がベンチにいるわけでもなく、なるようになっていったのだがそんな中でエルモソ&サウルの一発と、身を結んだプレス回避をどちらも得点に繋げたのは見事で、スコアを見れば100点満点の前半であった。

さて、降格が目前に迫るエスパニョールの圧力とどう戦っていくのか。ソワソワしながら後半を見ていく。


●後半
エスパニョールはカレロに替えてヴィニシウス・ソウザ。中盤を増やして4バックに変えた。

最終ラインを削って中盤のファイターを入れる。気持ちを前へ。
ところがなんと開始14秒。コレアの強烈なミドルシュートのこぼれ球をカラスコが押し込んで3-0。どう見ても勝負ありの一撃をいきなり決めてしまった。アトレティコはこの得点で明確にゲームペースを落とした。保持を優先。疲れが色濃く見える。

エスパニョールは右SBにアレイシ・ビダル、そしてデニス・スアレスに替えてエスポージトを入れて決死の攻撃態勢に。

そして64分にようやく1点返す。前半から何度も惜しかったCKにニアでセサル・モンテスが完璧に合わせた。ちょっとアトレティコは対応できていない。ちなみにこのCKに至る流れでアトレティコは2度プレス回避をミスしており、なんだかそういう綱渡りをしてるなという印象。これはオサスナ戦も含めての話。なんか必死だよな、プレス回避が。違和感はある。疲れるビルドアップをしている

74分に中盤で2つほどびっくりするほどのフリーで前を向かれ、プアドに綺麗な裏抜けを許した。久しぶりだなこんなの。初めて見たかもしれん。グルビッチが倒してPK。これをホセルが決めた。2-3。
このタイミングでエスパニョールは左SBをオリバンに替えて韋駄天ペドロサ。そしてプアドに替えて満を持してブライスワイト。もう一点狙う。
同時にアトレティコの2枚替えはコレア、デ・パウルを下げてカルロス・マルティンとバリオス。狙いは?と言われても困る。他に人がいないので。

アトレティコは引き続きライン間がガラガラで縦パスを刺されまくってヒメネスが全カバー。この時点でチームは壊れていたんだろうな、と思っていたらさっさと同点。左右に揺さぶられてからのクロスに大外でヴィニシウス・ソウザがどフリー。なんだかもう誰も責められない。壊れてしまった。



●試合結果
できれば見たくない試合だった。酷いというよりも辛そうで。見ていて可哀想だった。もう90分やり切る体力がチームに残っておらず限界だなと思ってしまう。
このプレータイムで?CLもないのに?と言われてしまうとおれも何も言えないんだが。現実的に試合がそうなんだからしょうがない。そんな中グリーズマンが一番元気なのがよくわからんが。国王杯以外は全試合出てるんだけどな。カラスコも元気。最後の交代はカラスコ→レギロンよりもモリーナ→ドハーティだったんじゃないかなとも思うが、この両WBの控えの考え方は多分色々難しいのはなんとなく感じるので理由はあるのだろう。あとヒメネスも本当によくやっている。ストレスやばいと思う。
たぶんシメオネ政権で3-0から追い付かれたのは流石に初めてだろう。調べてないけど。先季のバレンシア戦が懐かしい。ただここで根性論を言うモチベーションがおれにはないかもしれない。仕方ないさ。

エスパニョールの戦術はハマっていた。アトレティコ対策もよくできていて、その割に3点先取され、それでも愚直に繰り出した両サイドからのクロスとカウンターは見事なクオリティで、アトレティコの足取りが重かったのがさらにエスパニョールを元気にしていった感はある。とはいえそれだけで0-3から追いつけるものでもなく、交代策含めこの試合に勝つ方向にチームが向かっていたのはエスパニョールだったなと思う。しかし遅かったな、まとまるの。そしてよくこの土壇場でまとまったな。あと2試合勝てば残留できるかも。どう見ても降格する戦力ではないのでどうにかしてほしい。


5/24
RCDEスタジアム
エスパニョール 3-3 アトレティコ
得点者
【エスパニョール】’64 モンテス ’76 ホセル ’79 ヴィニシウス・ソウザ
【アトレティコ】'21 サウル '45 グリーズマン '46 カラスコ


●ピックアップ選手
カラスコ
突破でもプレス回避でもトランジションでも、理不尽を突きつけてエスパニョールを絶望させた。公式戦2戦連発は意外と久しぶりで20-21シーズン30節からの3戦連発以来。

グリーズマン
連続出場が続いても一切質が落ちないのがもはや怖い。ヒートマップが中盤に寄ってきてからの方が点が入っている気がする

サウル
2戦連発。HVの背後を取りましょうね、をちゃんと実行したゴールは価値が高かった。後半は頭上をボールが行き来するようになって試合から消えた。実はその展開こそ期待していたんだが。

ヒメネス
もの凄い過負荷の中で文句ひとつ言わず左右のサポートに飛んだ。と思ったらロスタイムに文句でイエローもらった。なんだお前は。これで9枚目。出場停止はやめてね

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