ケチャップが出ないなら 3節 アトレティコvsエスパニョール(H) 2024.8.28

もうミッドウィーク。ラリーガは意地でも9月の代表ウィークの前に4試合終わらせたいようです。ギリギリを攻めている。

2節でジローナに勝ったアトレティコは引き続きホームゲーム。新加入選手達には助かる日程。この中2日の間にクレマン・ラングレ(←バルサ)、フアン・ムッソ(←アタランタ)を加えている。

先季はセグンダで戦いプレーオフを抜けてきたエスパニョール。前回対戦は22-23シーズンの36節

何も参考にならないので特に言う事なし。
かなり人も変わっており、ここまでの2試合は非常に厳しい印象。ここまで唯一の無得点でバジャドリード、ソシエダに連敗。

●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ル・ノルマン / ヴィツェル / アスピリクエタ
モリーナ / デ・パウル / コケ / リーノ / リケルメ
アルバレス / スルロット

モリーナが初スタメン。グリーズマンを外してアルバレスとスルロットのコンビになった。リケルメ&リーノは引き続き併用。

・エスパニョール
ジョアン・ガルシア
テヘロ / エルヒラリ / カレロ / クンブラ / カルロス・ロメロ
クラール / グラゲラ / アグアド
ベリス / プアド

この日は5バックで。プアドとベリスの不動の2トップ。中盤はアグアドが初スタメンに。

●前半

エスパニョールは5-3-2を確定させて試合に入る。

大外のWBを止める形で、アトレティコはIHとHVで差分を生む。特に目立ってボールを動かしたのはデ・パウルだった。エスパニョールの左WBカルロス・ロメロがモリーナのマークを担当するのを確認し、大外でボールを引き出す。エスパニョールはここに左MFのアグアドが出てくるが広いスペースがあり、デ・パウルは自由にプレーを選択できた。
ボールを引き出すまでは上手く、ここからのアイディアに課題のあるデ・パウルだがこの日は相手の守備陣を引き寄せて逆側のアスピリクエタをフリーにする動きと、自らドリブルでアグアドの向こう側へ進んでいくプレーだけで十分に得点を匂いをさせた。デ・パウルが良かったか、エスパニョールが悪かったかは諸説ある。
6分にリケルメ→アルバレスの決定機、13分にはデ・パウルがスルロットにピンポイントのアーリークロスを届けて決定機を作っている。アトレティコは直後の15分にCKからアルバレスに再度決定機。一方的にタコ殴りにしたがゴールだけがなかった。
デ・パウル周辺はモリーナ、コケの助けを借りながら再奪回の質も高く、エスパニョールに逃げ道を与えない事ができており、さらにこの日はアルバレスがどんなパスを欲しがっているのかを頻りに試していた。こういう優しさはデ・パウルっぽい。
エスパニョールはラインコントロールも上手くいかず、25分には蹴っ飛ばしただけで簡単にMF陣を置き去りにしてリケルメ→スルロットの決定機。これが外れて何やら苦労しそうな雰囲気が漂い始める。デ・パウルは45分にもスルロットにピンポイントで合わせたが"これでも入らんか"という感じ。前半ロスタイムにはリーノがフリーでシュートを打てたがGKの守備範囲。

守備はカウンターを待ち受けるだけの疲れる対応が多かったが、この日も28:30頃アスピリクエタが相手GKのボールにギャンブルチャレンジして中央を突っ切られる場面を作っている。どこまで放置するんだろうなこれは。

●前半終了

入らない日は何をしても入らない。前半だけで5,6度はチャンスを迎えたがなかなか決まらず、ジローナ戦とは随分と印象が変わった。シュートも枠に飛んでたけどね。

エスパニョールは我慢しながら徐々に陣地を回復してカウンターも打ち始めた。33分にプアドがトランジションで入れ替わってカウンター発動。リケルメのまずい対応もありピンチになったがプアドのシュートは枠を外れた。プアドは割とこういう印象で、やはり最後の点を取る仕事は別の選手にやってほしいのが本音でしょう。先季はブライスワイトがいた。

●後半

アトレティコは早速グリーズマン、ジョレンテ、バリオスのここまでの2試合で得点に絡んでいるトリオを投入。1点取らなきゃ許さないメンツに。

アルバレスは前半のみの出場。彼の話になると多少腫れ物を触るような言い方になってしまって恐縮ですがフル出場したくて移籍してきたんですよね。大丈夫なんですよね。

アトレティコは右IHに入ったバリオスが前半のデ・パウル同様、アグアドの外側でボールを引き出す。ここにグリーズマンが降りてきて関与する事でバリオスに1つ、ジョレンテに1つ裏抜けを準備した。

ここで取りきれなかった時点でもう泥沼化するのは目に見えていた。それにしてもジョレンテがやると本当に簡単そうに裏抜けを決めてしまう。

54分にも同じ流れでジョレンテ、バリオス、グリーズマンが関与する右サイドにデ・パウルとコケが関与して狭いところを打開。ゴール前で待っていたリケルメが押し込んでようやく先制したかと思われたがオフサイドでした。残念。

この時間帯は左IHのデ・パウルも頻繁に右に移動してきていて、打開にはもう一人欲しい環境でコレア投入に繋がっていく。「だったらアルバレスを残せば良かったのに」はシンプルな総意だと思うが45分で替えなければならないほどプレータイムを制限すべき状態という事なのだろうか。アルバレスのコンディションが今どの程度のレベルにあるのかと言われても比較対象がないのであまりわからない。

この日厳しかったのはジローナ戦に続きグリーズマンがあまりボールが足に付かず影響力が限定的だった点。そしてグリーズマン&コレアが前線で動き始めるとスルロットの関与が減ってしまった事。左サイドの打開にもう一人欲しかった事、ジョレンテを高い位置に置きたかった事などが重なりヘイニウド投入、アスピリクエタを右SBに動かして4バックに変更してスクランブルに入る。

スクランブル

サイドを攻略するつもりなのにスルロットを下げたのは先季のモラタでもたまにあった方法で、スルロットの信頼感がまだそんなもんなんだなという感想。「だったらアルバレスを残せば良かったのに」の回答はこの試合では得られなかった。

アトレティコが4バックになった時点でエスパニョールはしっかり2トップで2CBに圧力を掛ける形に変更し、ヘイニウドのところまでテヘロが出てきて簡単に自陣に閉じこもる事を受け入れなかったのは良い対応だった。ちなみにそれならヘイニウド投入はクーリングブレイク後の方が良かったのではないか。ヘイニウドは守備でも2,3度は1vs1に晒されたがフォースの力で止めていた。スクランブルに強すぎる。

攻撃では88分にはトランジションでグリーズマン→リケルメで決定機、90+8分にもバリオス→リケルメでネットを揺らすがこれもオフサイド。最後まで1点が遠かった。

●試合結果

えー、得点というのはケチャップのようなものなので(釈迦に説法)

チームの狙い・構築とスコア・結果は似て非なるものであるべきで、分けて考えるべきだ。例えば"チャンスクリエイトの数"のようなわかりやすい数で比較すればこの試合はジローナ戦より圧倒的に良い数字が出る。どう見ても。でも実はサッカーには相手チームがいて、それだけでは結果が決まらない。不思議ですね。引き分けは引き分け。勝ち点は1。

この試合で言えばスタメンも選手交代も割とその場凌ぎになっていったのが厳しかったのは事実だが、20分までに1点取っていればそんなものは瑣末な問題だったわけで、単純に決めるべき得点が取れなかっただけの事。次はちゃんと決めましょう。マドリーがここで簡単にポイントを落としてくれるとは思えないが8節の直接対決まで3ポイント差以内で進みたい。

エスパニョールは過去2試合と比べるとタスクがはっきりしていた分精度は良かった。プアドは相変わらずシュートが枠に飛ばないが90分間疲れる仕事を完遂したのは責任感を感じた。相棒が欲しいところ。

8/28
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 0-0 エスパニョール

●ピックアップ選手

デ・パウル
前半の展開を産んだが、結局得点に繋がらなかった代償を払った。及第点でしょう。

リケルメ
ヒーローになれなかった。今もまだ「君のせいじゃないよ」と声をかけてほしいと言うのならそこまでの選手でしょう。ヒーローになれるはずの試合だった。

ジョレンテ
質の違うスプリントを突きつけたがこの日は最後の精度が伴わず。休みたかったね。

バリオス
最後のリケルメに渡したパスは「引いた相手に何をするか」の一つの回答。もっと良くなる。

●myQA

3-1 スクランブル
毎年試合終盤のスクランブル体制には賛否付き纏うシメオネのチーム。先季の左大外にグリーズマンを動かす形なんて最悪で二度と見たくないが、この日は最後CBを削ってヘイニウド投入で4-4-2に変化するパターンを使った。シメオネのCB削りには一定の条件があるように感じるがこの日はどうしても3ポイント欲しい気持ちで前のめりになっていた感覚。
配員については「それならアルバレスを残した方が」だの「それならモリーナを残した方が」だの「サイドから侵入するのに電柱を下げるのか」だの様々なエクスキューズが付く選手交代だった。何度も言うがゲームプランがバグったのは前半に点を取れなかったからなので、後半のピッチに誰が残っていたかなんていうのは結果論なのだがターンオーバーを抜きに考えても「とりあえずこの場は無茶振りになれていない新加入組は一度ピッチから取り除きましょう」という狙いはあったのではないか。アルバレスには無茶振りしてみて欲しいが。こういう試合展開は今後も必ず発生するのでまた注視していきたい。ちなみにコケ、バリオス、リケルメのミドルシュートに全く夢がないのはどうにかしたい。ギャラガーに期待。