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勝利への要素たち 2節 アトレティコvsジローナ(H) 2024.8.25

2節。先季の3位と4位の対戦。アトレティコはホーム開幕戦となる。
開幕戦はアトレティコはビジャレアルと2-2ドロー、ジローナはベティスと1-1ドロー。こう考えるとどちらも開幕からなかなか大変なカレンダーである。互いに初勝利を目指す試合。

前回対戦は先季の31節

前半はリケルメを右に置く4-4-2で戦いトランジションを突っ走られ続けて5-3-2に戻して平常化し、逆転勝利。反省点は大いに活かしていきたい相手。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ル・ノルマン / ヒメネス / アスピリクエタ
ジョレンテ / デ・パウル / バリオス / リーノ / リケルメ
グリーズマン / アルバレス

アルバレスが初スタメン。リケルメとリーノを併用し、コケではなくデ・パウルがスタメンになった。

・ジローナ
ガッサニガ
アルナウ・マルティネス / ダビド・ロペス / ブリント / ミゲル・グティエレス
ロメウ / イバン・マルティン / ヤンヘル・エレーラ
ツィガンコフ / アベル・ルイス / ブライアン・ヒル

ツィガンコフがスタメンに入り、あとは開幕戦と同じメンバー。ブライアン・ヒルは左。




●前半

ツィガンコフがスタメンに入った事で、ジローナの狙いが非常にわかりやすかったのでアトレティコは明確に対策して試合に入る事が出来た。

5バック。ジローナはいつも通り後ろ3枚を作る。ジローナは配置上どこに現れるかわからないミゲル・グティエレスの対応がキーとなるが、アトレティコはデ・パウルが積極的にマンツーマンでついていく事でチーム全体の思考ストレスを減らした。リーノは右SBのアルナウ・マルティネスのところまで出ていき、バリオスのカバーエリアが広くなりすぎた場合は後方からアスピリクエタが出てきた。WB(主にジョレンテ)が前に出ていく約束だったビジャレアル戦と異なり、WBは相手WGのマークを担当する事が優先された。
アスピリクエタがイバン・マルティンのところまで出ていっている時にアベル・ルイスがボールを引き取りに落ちてきたらどうするのか、などの微細な設計は曖昧だったが許容範囲でしょう。アベル・ルイスのポストプレーは上手そうだったが、そういえばドフビク時代にやっていた印象もないのでジローナ側も狙って設計している様子はなかった。8分のプレス回避でリケルメ→グリーズマンのパスを攫われた場面はブリントをフリーにして一点物だったがパスが出てこなくて助かった。

アトレティコは攻撃に出る機会は多くなかったが、この日は左CBに入ったアスピリクエタがリケルメ&リーノのコンビを前に押し出して攻撃をリード。この2人だけで侵入していける。バリオスは中央でピッチ全体をコントロールし、デ・パウルとグリーズマンを近い位置でプレーさせる事ができた。
特にジローナは非保持のブロックを慎重に作るチームでもないので、リケルメorリーノがドリブルで一人外せばフリーでクロスを上げられる状況にはなっていた。18分にグリーズマンが空振りしたシーンなどは一点物で、リーノは度々PA内まで侵入して自分でシュートまでいけている。
シュートで終わってさえいれば、ジローナのビルドアップへの対応は手慣れたものだった。ル・ノルマンも前に出て捕まえる感覚が良く、ブライアン・ヒルに数回ぶちかましをキメてライン間を封鎖した。"自分が前に出ているならファールでプレーを切る"を意図的に行える選手。ル・ノルマン単体でこの日あった唯一のミスは36分にデ・パウルとジョレンテで右から上げたクロスを跳ね返された時、サポートポジションに出てきておらずトランジションを攫われそうになった場面。バリオスがケツを拭いて事なきを得たがデ・パウルがその後コミュニケーションを取っていた。人のミスには不寛容。

プレス回避はバリオスとデ・パウルで前向きを作ってデ・パウルからのロングボールをチラつかせれば効果的なプレスを受ける事もなく攻守ともにジローナにペースを渡す事は決してなかった。アトレティコの攻撃が機能的であったかはさておき。さてあとは得点。
37分にビルドアップをミスってル・ノルマンが狙いなく蹴っ飛ばしたらGKガッサニガがPAの外で手使っちゃう珍しいミス。イエロー。アルバレスが突っ込んできていたがDFも2人間に合っていたのでレッドカードではないという事で良いですか?びっくりしたプレーだった。このFKをグリーズマンが直接決める。凄いコースに飛んだ。このレベルの試合ではあまり見たくないようなチョンボだったがシュートが凄かったので良しとしよう。ちなみにエスパニョールvsソシエダではエスパニョールのGKジョアン・ガルシアが身体がPA外に出ながら手だけ残す凄いキャッチをしていました。



●前半終了

1点リードして前半終了。お互いリスタートが早くプレーが連続する面白い前半戦。ジローナは得意のビルドアップで敵陣まで進むがラストサードの打開策が不透明。アトレティコはゴール前に迫力は出せるが連続性がなくピッチを支配できない。という前半。リケルメ&リーノがたまに突破していくがそれに任せていては3試合で1点くらいしか取れなそうな印象。そういう試合を決めるのはグリーズマンの一芸であるべきで、願ってもいない45分を過ごした。



●後半

選手交代なしで後半。48分にアトレティコのプレス回避をジローナがハメに来たが全くハマらず、グリーズマンがボレーキックでジョレンテに渡すと50〜60m突っ走って強烈なミドルシュートが決まる。2戦連発。スペースを得てスピードに乗ったジョレンテだったがジローナのDF3人は全員アルバレスに引っ張られる意味不明な対応。ジョレンテは6回のボールタッチが全てゴール方向に向かっておりノーストレスで振り抜いた。一番近くにいたミゲル・グティエレスは後方にサポートもいたので抜かれてもいいからアルバレスを離してボールホルダーをPA幅よりも外側へ誘導するべきで0点の守備対応。コース関係なく決まったがシュートコースが切れていたかも怪しい。

このゴールで2点差あれば逃げ切れる雰囲気が出始めたアトレティコ。能動的に得点を取りに行く時間を見たかった気持ちは大いにあるが、その必要はなくなった。選手交代はミッドウィークの試合も想定したものになっていく。

まず58分に中盤を2枚交代。リケルメとデ・パウルを下げてコケ、ギャラガーが出てきた。ギャラガーは待ち侘びたアトレティコデビュー。30分強の出場時間が与えられた。同時に早々に1点返したいジローナは3枚替え。

この交代でリーノがWBに移動。2試合連続。ギャラガーは左IH。前3枚でプレスに行く形が控えめになったが、これは2-0になった時点でリーノもあまり行かなくなっていたのでギャラガー投入による差分かスコアによる差分かは何とも言えない。一応両方作用している気はする。
この交代で、アトレティコはデ・パウルがやっていたミゲル・グティエレス番をバリオスが引き継いだが、ボールサイドに寄ってミゲルのマークをグリーズマンに渡そうとしたら丁重にお断りされていたのが可愛かったです。どっちがベンチのオーダーだったんだろうか(59:00頃の場面)

ジローナはポルトゥをトップの横に置く定番の形。1点返せればポルトゥをWGに動かしてストゥアニを入れるんだろうな、まで一気に頭を過ぎるのが相手チームにプレッシャーを掛ける。

アトレティコは「守りますよ」と言う状態になってからより一層フィルターとして機能していたのはフリアン・アルバレス。3人の中盤の前で前後左右に圧力をかけ続けた。ちなみにおれは彼をこの仕事をしながら一人で突っ走って1点取ってきてくれる選手だと思っている。
2-0になってから良かったカウンターは66分。右サイドでジョレンテとバリオスがプレスを食い付かせてコケからリーノへパーフェクトなサイドチェンジ。正対したリーノが相手SBをPA内まで押し込む得意の侵入を見せた。これがリーノをWBで使うべき理由ですね(myQA:1-5より)

68分、ここでリーノがお役御免。ヘイニウドを入れて守備シフト。ジローナはツィガンコフから開幕戦で突破からミズーイのゴールをアシストしたアルメナに交代。この交代が見えていてのヘイニウドだったのでしょうか。どうなんでしょ。

1点返せればポルトゥが左に回ってブライアン・ヒル→ストゥアニだったんだろうな。81分には最前線で仕事していたアルバレスとグリーズマンを下げてコレアとスルロット。スルロットはホームデビューとなった。

さて、アルメナの対応をするために出てきたヘイニウドだが、いざドリブルを仕掛けられた時に誰もサポートに入らず広いエリアの1vs1をみんなで見守っていると流石に笑いそうになる。誘い込んで完璧に止めていた。対人のバケモノ。最終盤にジローナはブリントも高い位置でプレーするようになるが、トランジションでコレアを捕まえられず、案外元気の残っていたバリオスがこちらも案外元気だったブライアン・ヒルと駆けっこして最後はジョレンテ→コケでダメ押し。ここに走ってこれるジョレンテは本当に凄い。ミッドウィークは休んでください。

コケのゴールは2022年3月20日のラージョ戦以来。メトロポリターノでのゴールは2020年7月20日のソシエダ戦以来。凡そ200試合ぶり(ホーム100試合ぶり)くらい?でしょうか。ちなみに恐ろしい事にその日のスタメンはもうオブラク以外誰もいません。

もはや懐かしくもない


●試合結果

3-0で今季初勝利。年始の劇的敗戦が記憶に強すぎるが前回対戦を見てもアトレティコにとってそんなに苦手な相手ではない様子。それとやはりシンプルに突拍子もないところからゴールを生めるサヴィオ、ドフビクがいない事はシンプルに勝ち点の積み上げに大きく影響する事を再確認。アトレティコに上手く守られた事はイバン・マルティンがほぼ登場しなかった事からも明らかだが、前半のなんでもないチャンスやセットプレー、変なボールロストが一発で失点に繋がる怖さを感じる事が全くなかった。その分ビルドアップにより執着していた印象があるが、さてミチェルのチームってそういうのだったっけ、となる。WGの組み合わせが最大のポイントになってくると思われるが面白いものを見せてほしい。

アトレティコはラストサードの攻略に新しいものを出せたかと言うと全く出せなかった試合。攻撃って何してたっけの印象のまま3点取った。繰り返しになるがこういう試合で3ポイントを取るためにグリーズマンが存在する。
新加入のコナー・ギャラガーは上々のデビュー。特に守備面で良い点が目立った。これは後ほど。
選手交代は主にミッドウィークに試合がある事と早めに2点のリードになった事に理由があり、手堅くそして確実な選択になった。5人交代ってすごいなという話だがこれでトップチーム登録の選手は怪我のルマル、移籍するフェルメーレンを除けばハビ・ガランとジュリアーノ以外全員出場している。代表ウィークまであと2試合。良いスタートを切りたい。


8/25
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 3-0 ジローナ
得点者
【アトレティコ】’39 グリーズマン ’48 ジョレンテ ’90+4 コケ



●ピックアップ選手

バリオス
前半はビルドアップとプレス回避をリードし、後半はミゲル・グティエレスのマークを担当しながら前線まで飛び出した。ベスト。

ジョレンテ
2試合続けてチームを勝たせる働きをした。一番走っているのに最後まで全速力。

グリーズマン
守備に気を配る時間が長かったがFKで先制ゴールとジョレンテの2点目に繋がる配球。決定的だった。

ギャラガー
アトレティコデビュー。ボールに強く人に強い。守備面で充実していた。


●myQA

2節の分。
2-1 ル・ノルマンのタスク(1-2関連)
良かったね。2試合続けて素晴らしいパフォーマンス。
この日ル・ノルマンの良かった点はコミュニケーションにある。前半はデ・パウル、後半はバリオスにミゲル・グティエレスのマークを任せていたが、位置の把握と受け渡しが丁寧。

ミゲルのマークをバリオスに任せてボールサイドに集中。ゴール前の守備に影響力を最大化する。

目の前の横パスに反応してバリオスがミゲルを捨てて飛び出す。ル・ノルマンは元々右サイドは2vs2が確定していたので自分がミゲルの位置までスライドすればボールサイドの数的同数を再形成できる。シンプル。
指示通りに動けば良いバリオスはいつになく自信を持って守備に参加できていた。ル・ノルマンは相手チームの配置と止めるべき選手を把握していてタスクに忠実。DFリーダーに相応しい存在感。

2-2 リケルメ&リーノの併用(1-5関連)
今季も来ました。そして今季もリケルメがWB、リーノがIHと言うかWGというか前の方。
この試合も、守備目線で言えばリーノが前で守備をする事にメリットはありそうだった。ただし攻撃面ではレビュー内でも触れた通り、リーノが大外で相手SBと正対する事のメリットが大きく、WBに移動した後の方が期待役割をこなしていた印象。リケルメはそこまで良さが出ない試合だった。はっきり言ってWBリーノ、IHギャラガーの方が見てみたい。

2-3 コナー・ギャラガーの32分
デビュー。左IHに入り、スコア的にも役割的にもビルドアップ担当のアルナウを捕まえに行く事よりも中盤3枚のフィルターを作り突破を狙う大外のサポートに出る事が要求された。
終始首を振り、正しいポジションを取り続け、ボールを狩れると判断する円が大きく、強く飛び出していける選手。良かったのは相手が大外を使う際の対応で、ドリブルで侵入された場合とクロスがニアに入ってくるパターンを一人で対応していた。プレミアのMFってみんなこんな事できるんですか?そんなわけないですよね?
攻撃面の特徴を見るのは次の機会。ここまでは「最高の守備者」である。

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