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【アトレティコ・マドリー選手名鑑22-23】Road to Mountain Top

22-23シーズンのアトレティコ・マドリー選手名鑑。公式戦に出場した全選手を解説。
今季は画像とか使いたいなあ。でも面倒くさいなあ。と思い、皆様に画像を送ってもらうという横着かつ最も効果的な方法を取らせていただきました。ご協力いただきましてありがとうございました。

今年のタイトルは当然ELLEGARDENの新譜の1曲目Mountain Topから。頂点を目指すアトレティコ。行きましょうか。




GK

13.ヤン・オブラク(30歳🇸🇮)

ラリーガ:28試合(スタメン28試合)20失点
国王杯:5試合(スタメン5試合)4失点
CL:5試合(スタメン5試合)6失点

ついに加入9年目となった大魔神。今年ももちろん守護神として立ちはだかったがオブラクにしては珍しく細かい負傷離脱の多いシーズンとなった。しかし過去2年に比べるとパフォーマンスも上昇。彼が改善したというよりも守備組織そのものの整備が功を奏したように見えた。特にエリア外からならどうぞ打ってくださいという待ち構え方が出来ており、ミドルシュートがそう簡単に決まるほどオブラクは甘くない。チームの守備の改善の中心役としてオブラクが存在していたという印象。

先季までこんなに良かったっけ、と思ったのはビルドアップの部分で、もちろん足下の技術は怪しいしロングキックの精度も全く良くないが、近距離のショートパスはかなり正確に通していた。特にダイレクトでエルモソ、サヴィッチに飛ばすインサイドキックの質が高く、現状これが出来れば特に問題はないというレベルを見せてくれた。
魔神もついに30歳。第2キャプテンとして最後方からチームを鼓舞しつつ、自身の能力も再評価させる充実のシーズンとなった。



1.イヴォ・グルビッチ(27歳🇭🇷)

ラリーガ:12試合(スタメン10試合)12失点
国王杯:0試合(スタメン0試合)-失点
CL:1試合(スタメン1試合)2失点

優勝した20-21シーズンからアトレティコに所属したが国王杯の1試合以外は出場なし。先季はフランスのリールへレンタル移籍し21試合に出場した。
今季はオブラクの負傷トラブルの影響で序盤戦にちょこっと出場。W杯もクロアチア代表に選出されたがこちらは出番なし。第2GKだったのか第3GKだったのか知りたいところ。
シーズン終盤にも再びオブラクが負傷し出番が回ってきた。ビルドアップは得意そうな雰囲気を出していたがWBまで飛ばすミドルキックが正直かなり残念なクオリティで別にオブラクと差別化するにも至らず、また出場試合で運の悪い失点も多くなかなか無失点の試合を作れなかったのもインパクトとしては不十分であった。特に33節カディス戦(5-1)なんてチョコ・ロサーノの人生最高のミドルシュートみたいなのが飛んできて気の毒だった。でもオブラクなら触りそうだなという気持ちになったのも事実である。気の毒とは言ってもラリーガのプレータイムはオブラク(2494分)の1/3程度(921分)にも関わらずCKからの失点がオブラク1点に対して4点あったり、失点率も悪かった。34節ではミスで決勝点を献上。オブラク不在を強く感じさせる敗戦の原因となってしまった。



31.アントニオ・ゴミス(20歳🇪🇸)

ラリーガ:1試合(スタメン0試合)1失点
国王杯:0試合(スタメン0試合)-失点
CL:0試合(スタメン0試合)-失点

最終節ビジャレアル戦でグルビッチの負傷で出番が回ってきてデビュー。おめでとう。そして失点したという。
Bチームでは一個下のイトゥルーベと半分ずつくらいの出場時間のよう。どうやら左利きらしいです。



DF

2.ホセ・マリア・ヒメネス(28歳🇺🇾)

ラリーガ:28試合(スタメン26試合)2得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)0得点
CL:5試合(スタメン5試合)0得点

君を褒めるのはCLを獲った時だと思っているが、今季は手離しにキャリアハイのパフォーマンスだったと言っていいでしょう。素晴らしい活躍を見せた。ヘイニウドがいる時期は4バックの左CBとして、5バック変更後は3CBの中央のポジションで。シーズンを通してチームに欠かせない存在であった。
そもそもヒメネスは通常40%程度の試合を欠場するが今季はチームが絶不調な時期も、そこからの復活の時期もしっかりピッチで体験した。案外そういう時いないでしょ、普段。最後に現れるラストピースみたいな雰囲気で早めに欠場するからな。
3CBの真ん中でも、しっかり得意なプレーを表現できたシーズンになった。特に隣のエルモソの背後をサポートする意識を常に持ち、シーズン終盤は逆側のサヴィッチがいなくなってヴィツェルの背中まで警戒。さらにライン間のポストプレーを潰しにいく役割を果たし、ビルドアップではヴィツェル&エルモソのやり直しルートを提供し続け、ネガトラはひとりぼっちで最後方を担当する機会も、これまでのアトレティコにはあまりなかったのではないか。たくさんの経験をした。
経験と言えばW杯ではグループステージ最終戦ガーナ戦後にジャッジにキレ狂い、全世界に向けて放送禁止用語を連発。何試合だか忘れたが国際Aマッチ出場停止となった。アーメン。footballistaさんでお前を注目選手だとか言って一本書いて赤っ恥を掻いたのはおれである

許さんからな
ちょっとアトレティコの選手って野蛮で怖いんじゃない?という印象を世界に与えたかもしれないが、話したわけではもちろんないがアトレティコの偉い人は"もっとやれ"と思ってそうな気がする。おれもそう思った。それでいいんだよお前は。
37節ソシエダ戦後に左膝を手術して一足先にシーズン終了。強くなって帰ってこい。



15.ステファン・サヴィッチ(32歳🇲🇪)

ラリーガ:22試合(スタメン22試合)0得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)0得点
CL:3試合(スタメン3試合)0得点

例年と比べると少し影の薄かったシーズン。今季は開幕直後に約1ヶ月の離脱。年明け以降はバルサ戦、国王杯マドリー戦、セルタ戦と公式戦8試合(出場5試合)で3回退場した。個人的には退場そのものを強い言葉で諌めるつもりは全くないのでアレだが。バルサ戦はロスタイムにフェラン・トーレスと取っ組み合いして両方退場、セルタ戦は味方のミスの穴埋めをするDOGSOだったので別に。サヴィッチがやると必要以上に目立つよねってだけの話と思っている。まあ3回は多いけど

今季のチームは3CBの運用が多く主に右で、時々真ん中でプレー。相変わらずの球際の強さと危機察知能力は間違いなくチームの要である一方、広い可動域を求められて長距離のランニングが必要になったり背後を使われたりという場面も目立った。試合終盤の1vs1もなかなかキツそうなことも。ビルドアップでも一発で相手最終ラインの背後を取る得意の縦パスは見せていたが、プレス回避は専門外である。得意ではないプレーが要求されるシーンは間違いなく過去一番多いシーズンであり、終盤は4月のバルサ戦で負傷してシーズン終了。ここ2年は順調だった稼働率も下がってしまった。年齢的にも次のキャリアを考え始めてもおかしくない段階に来ているが、果たして。



18.フェリペ(34歳🇧🇷)

ラリーガ:3試合(スタメン2試合)0得点
国王杯:0試合(スタメン0試合)0得点
CL:1試合(スタメン1試合)0得点

19-20シーズンから所属した長身CB。今季は出番を失い、冬にプレミアリーグのノッティンガム・フォレストへの移籍を選択した。
特に優勝した20-21シーズンはスタメンポジションを掴み、3CBの中央ポジションで強度の高さが特徴として生きた。ビルドアップが上手くない、前向きの対応がそんなに上手くない(そもそも3CBがあまり得意ではなさそう)などの課題も少しずつ改善していき、圧倒的な空中戦勝率でアトレティコらしいCBであった。チームのニーズが変わってきた中で移籍を選んだことは仕方ない部分があるが、必要とされるチームに行けばまだまだ一線級で活躍できる選手である。フォレストの試合を見たことがないのでそれに当てはまるのかはよく知らないが、イメージ的にプレミア下位は合いそうだ。移籍後はレギュラーポジションを掴んで頑張っていたようで嬉しい気持ちになった。まだまだやれるよ。だって、アトレティコのCBだもんな。
大好きな選手でした。たくさん勉強させてもらった。ありがとう。元気でね。



22.マリオ・エルモソ(27歳🇪🇸)

ラリーガ:26試合(スタメン24試合)3得点
国王杯:5試合(スタメン5試合)0得点
CL:3試合(スタメン2試合)1得点

優勝シーズンはチームのビルドアップの中心となり、翌シーズンは一転、守備能力が槍玉に挙げられる機会が増え、冬に加入したヘイニウドと比較されることで批判の対象となることも多かった。しかしCBらしからぬテクニックと異常な得点能力で結局チームを救い、迎えた今季。シーズン序盤は気合が空回りし不要な警告、さらには退場を繰り返して自ら立場を難しくしてしまった。
W杯明けの15節エルチェ戦でも元気に退場した後、突如まともな平衡感覚を取り戻し、ヘイニウドの大怪我もあってレギュラーポジションを獲得。最初からやれ。
チームの非保持が抜群に改善された流れに乗っかり、そのビルドアップ能力と攻撃参加の迫力を大いに発揮する舞台を得た。敵陣の深い位置でも正確にプレーし、最後はクロスボールのターゲットになれる彼の攻撃参加はチームの武器となり、唯一無二の魅力を見せてくれた。20-21シーズンよりもパフォーマンスは上だったと思う。非常に良かった。
何度か触れたが彼は左足はもちろん右足でも高精度のロングボールを蹴れるところもプロフェッショナル。たくさん練習したんだろうなあ。
引き続き守備対応は下手くそでアジリティも低く背後を取られるとPA内で掴んで止めがち。肘出しがち。問答無用でスタメンを外される機会も沢山あるだろう。エルモソの欠点を隠すことが彼を試合に使う絶対条件である。ヘディングはめちゃくちゃ強いけど。
3年後くらいにはレバンテ辺りでアンカーやらされてそうだけどそれもまた一興。あくまでも盾ではなく矛として、シメオネ政権唯一の変な武器は来季も躍動する。


23.ヘイニウド・マンダヴァ(29歳🇲🇿)

ラリーガ:22試合(スタメン22試合)0得点
国王杯:5試合(スタメン3試合)0得点
CL:6試合(スタメン6試合)0得点

昨年冬にフランスのリールから加入したモザンビーク人DFは圧倒的なボール奪取能力でレギュラーを掴み、今季も開幕から15節のエルチェ戦を除けばカップ戦含め全試合に出場。中央でもサイドでも他を寄せつけない圧倒的守備能力で一気にチームの中心となった。前半戦では唯一外せない選手みたいな雰囲気だった。
とにかく対人に強い。ボールを奪うということに常軌を逸した執着を持ち、スピードもボディコンタクトも全てがその守備能力のために機能した。ボールを奪うために生まれてきたような男。あまりにもアトレティコらしい特徴でファンの心も掴んだ。いい奴そうだし。
今季はわけのわからないスピードを攻撃でも生かそうと試みた。WGの外側を猛スピードで駆け上がりクロスを上げる場面が増えた。ボールを持った時の選択肢とクロスの質そのものは改善の余地がとてもある。ドリブルとか見てらんない。
23節のマドリーダービーで右膝の前十字靭帯断裂。残念ながらシーズン終了となった。来季開幕に間に合うかどうかも微妙な大怪我だが、またピッチに戻ってきてほしい。


3.セルヒオ・レギロン(26歳🇪🇸)

ラリーガ:11試合(スタメン2試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:0試合(スタメン0試合)0得点

レナン・ロディの移籍もあり手薄になった左SBとしてトッテナムから獲得。セビージャ時代のパフォーマンスが好みだったので非常に期待していたが、加入前から怪我をした状態でなかなかスカッドに参加できず。11月に入り14節マジョルカ戦でようやく初出場をすると、試合終盤にラッシュを掛ける際の選択肢としてコンスタントに出場機会を得始めたが、17節アルメリア戦で退場するとまた怪我。ヘイニウドの長期離脱でどうしても試合に出て欲しかった時期にチームにいられなかったのは痛恨であった。
カラスコを外側から追い越す仕事ができる選手は現状レギロンしかおらず、けっこう使い方によっては必殺技になれる選手だとは今でも思っている。ただ、シメオネは前方の選手を外側から追い越すSBを必要としたことはないし、今のチームにも90分間起用するニーズはない。カラスコの控えとして使うにはパンチが足りないのも間違いない。ということで使い道が"試合終盤のラッシュ"しかないのは否めない上、そこで目に見える結果を残せたわけでもなかった。レギロン自身、もっと期待してくれるチームは絶対にある(というかセビージャではいかんのか) ので、来季はチームにいない気がする。繰り返すがおれはけっこう好きでした。



12.レナン・ロディ(25歳🇧🇷)

ラリーガ:0試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:-試合(スタメン-試合)-得点
CL:-試合(スタメン-試合)-得点

開幕から2試合出番がなく、そのままノッティンガム・フォレストへ移籍。普通にレギュラーだったようです。
先季は一時良い時期があったものの4バックの左SBならヘイニウドが選ばれ、5バックの左WBならカラスコが選ばれるので移籍を選んだこと自体は妥当だと思う。ブラジル代表にも選ばれているし器用で良い選手だが、今のアトレティコで適任な仕事はないなという印象。別のところで活躍できるならそれが良いと思います。



16.ナウエル・モリーナ(25歳🇦🇷)

ラリーガ:33試合(スタメン33試合)4得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)0得点
CL:6試合(スタメン6試合)0得点

先季冬にキーラン・トリッピアがプレミアへ移籍して以降は突貫工事でジョレンテが務めていた右SBを補強。チームとして至上命題の箇所に適材を獲得してきたのは今季のファインプレーと言っていい。2節ビジャレアル戦でラリーガチンピラ界の新星、アレックス・バエナの挑発に乗って退場した時はどうなるかと思ったがしっかりレギュラーポジションを掴んだ。単独突破ができるわけではないがスピードはけっこうある。ゴール前の守備でめちゃくちゃ気を抜いてる時があり、そもそもサイドを侵入してクロスを上げられる機会が多かったシーズン序盤は割と穴だった。しかしトリッピアは背が低いのにこういう対応が上手かったよな。
とんでもない体力とボディコンタクト大好きなキャラクターはアトレティコのカラーにフィットし、走れと言えば死ぬまで走るスタイルはアトレティコだけでなく、W杯でチームメッシを支え世界王者となった。おめでとう。
ヴィニシウスと90分間タイマンを繰り返せる存在は貴重で、シーズン終盤には相手最終ラインの背後を狙うランニングにパスが出てくるようになってゴールも決め始めた。プレス回避も冷静でパスコンタクトを繰り返せる選手。シュートは上手いのかよくわからんがたまに良いコースに飛ぶ。1stタッチは上手いです。ビルドアップが手詰まりになるとモリーナのところに蹴っ飛ばしておくとまあまあの確率でマイボールにすることができるので便利だった。
単品で何かを解決してくださいと言われても無理なタイプだが、それはトリッピアも同じだったのでまあいいでしょう。今季ラリーガでベストな右SBだったと思う。



12.マット・ドハーティ(31歳🇮🇪)

ラリーガ:2試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:-試合(スタメン-試合)-得点
CL:-試合(スタメン-試合)-得点

そもそも開幕からモリーナとジョレンテしか右SBをできる選手がいなかったアトレティコ。開幕前まではダニエル・ヴァスがいたが。モリーナの過労働とジョレンテを中盤で使いたい都合とで補強必須箇所であった。
ドハーティは冬に加入。トッテナムとはここのところ取引が多いイメージだが、ペドロ・ポロを補強したトッテナムと、今季だけ1人借りたかったアトレティコと、プレータイムが欲しいドハーティ本人のニーズがジャストフィットした良いオペレーションだったのではないか。腕毛むき出しでカプチーノ飲んでそうな典型ブリテン顔である。7番ファーストって感じ。
結果的にはモリーナが絶好調、連戦も問題ないためドハーティはほとんど試合に出ることがなかったが、アトレティコ的に言えばもしものための補強としては効果的であった。でかいし。本人が望むなら来季もいて欲しかったが、退団が発表された。新天地での活躍を心から願っている。



MF

4.ジョフレイ・コンドグビア(30歳🇨🇫)

ラリーガ:20試合(スタメン10試合)0得点
国王杯:4試合(スタメン1試合)0得点
CL:3試合(スタメン2試合)0得点

シメオネに重宝されるでかい人は後半戦にポジションを失いベンチメンバーとなった。中央アフリカ代表に久しぶりに選出されていました。
先季のCLマンチェスターユナイテッド戦で明らかになったように前向きの守備対応とサイドチェンジの精度に特徴がある一方、撤退時のスライドのスピード、ポジトラの判断、CBからパスを受ける技術などは大いに課題があり、特に今季後方からのビルドアップを構築したかったチームでピボーテを務めるのは難しかった。ただ、リードした試合終盤に出てきた時の安心感は半端じゃなく、5年に一回くらいは入りそうな強烈なミドルシュートも装備している。もうちょっとフォームをコンパクトにすることはできんのか。
特定のシチュエーションではまだまだ主力級の期待ができるが、チームの方向性も彼の得意なプレーからはかけ離れ始めている。出場機会を求めるならこの辺りで移籍を選ぶことになるだろう。



5.ロドリゴ・デ・パウル(29歳🇦🇷)

ラリーガ:30試合(スタメン24試合)2得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)0得点
CL:5試合(スタメン1試合)1得点

2季目を迎えたプレーメーカー。今季はアルゼンチン代表としてW杯優勝の中心選手でもあった。おめでとう。
アトレティコではハードコンタクトと正確なボールコントロールで中盤の創造主となることを期待された。先季は期待通りとはいかなかったが能力を発揮し、今季はそれに上乗せする好パフォーマンスであった。撤退守備・前プレ・ビルドアップ・トランジションのどの局面でも特徴を出せるのはアトレティコの中盤に最適な人材と言える。ずっと喋ってるスタイルも個人的には好み。無駄なイエローをいっぱいもらうところも嫌いじゃない。空中戦も苦にせず口の悪いサウルみたいな存在感を出していった。肝心なところでリクエストと違うことをやり始めてしまう頑固さがアルゼンチンぽい。

今季は正確なスルーパスでカラスコ、グリーズマン、モリーナらのシュートチャンスを演出し、ラストサードの崩しにも関与していった。これを繰り返していけば自身にも得点チャンスが増えるのではないか。プレス回避では周囲を使うプレーをチラつかせながらドリブルで突っ込んで解決していくプレーも増えていった。スラロームドリブル上手いよね。
今季は右ではなく左で使われた時期が非常に良かった。カラスコが空ける後方のカバーとエルモソに1vs1の守備対応をやらせない行動力で守備のバランス調整に奮闘していた。タスクが多すぎるくらいの方が気分良くプレーできるのはW杯でも証明した通り。それをフルシーズン戦うコンディショニングと両立していくことが求められるが、まだ向上の余地はいくらでもある気がする。



6.コケ(31歳🇪🇸)

ラリーガ:33試合(スタメン30試合)0得点
国王杯:5試合(スタメン4試合)0得点
CL:4試合(スタメン4試合)0得点

プレス回避とグリーズマンを中心とした攻撃を再構築するにあたり、今季も重要な役割を果たした。いつも通り。毎年なんだかんだで点を取ってきたが今季はトップチームデビューとなった09-10シーズン以来の無得点に終わった。だから何ってわけではない。
前半戦はIHの起用が多く、広いプレーエリアでボールに関わることが求められた。ただし、コケがIHをやる場合に欠点となるのはラストサードでのクオリティで、敵陣PAに侵入して最後の崩しに関与してくださいと言われてもなかなか特徴が出なかった。さらにチームがボールを失ったタイミングで、可能ならコケには常にボールより後方、最低でもボールロスト付近にいてもらいたい。再奪回を個人の能力でやれちゃうのはそう簡単ではない。コケは"そのへん"にいてほしいのだ。
W杯後のシステム変更で主に5-3-2の3の真ん中に入り、中央の侵入ルートを見張りながら足りなくなったサイドをサポートする立ち位置に変化。ボール保持では3CBもコネクトしてプレス回避の中心人物となった。バルサ戦やマドリー戦、CLで何度も明らかになっている通り、プレッシャーの厳しい試合になればなるほどコケの細かいボールタッチの丁寧さが際立つ。ヘタフェの守備網に割って入ってくれと言われたら絶対にデ・パウルやバリオスだが、バルサの再奪回をかわしてくれと言われたら圧倒的にコケ。ワンタッチやツータッチで味方にボールを預けて動き直しパスコンタクト、前線や逆サイドまで目を配り、これも少ないタッチで確実にパスを届けた。
特に熟練のコンビネーションを見せたのはグリーズマンとの関係で、ボールを触りに降りてくるグリーズマン、逆サイドでフリーになっているグリーズマンを必ず見つけてパスを送った。グリーズマンも、もはやコケにボールが渡るタイミングが自分にパスが来るタイミングと思っている感があり、ボールを触りに降りてくる合図にしていたようである。

今季は7節セビージャ戦で、プレイヤーとしてアトレティコ史上最多となる通算554試合目の出場を達成。おめでとう。
結局アトレティコの強固な守備組織、高速カウンター、自陣からのビルドアップ、ピッチ幅を広く使った攻撃、気合と根性というのはコケ無しでは成り立たない仕組みをしていることを嫌というほど再確認したシーズンとなった。来季も間違いなくフル稼働。それでも重たい荷物を一緒に持ってくれるチームメイトは揃ってきたと思う。アトレティコがタイトルを取るには"試合を見ててもコケが死ぬほど走り回っていることに気づかない"集団である必要があるのかもね。一緒に馬鹿みたいに走ってくれる仲間達と、来季こそは頂点へ。ウェンブリーで一緒にぶっ倒れましょう。



11.トマ・ルマル(27歳🇫🇷)

ラリーガ:27試合(スタメン17試合)1得点
国王杯:3試合(スタメン3試合)0得点
CL:2試合(スタメン1試合)0得点

大きな期待を背負っていると永遠に物足りない選手だが、多少諦めてこんなもんかなと思っていると非常に良い選手である。上手いし速い。
エルモソ&カラスコと共に形成する左サイドのトライアングル、ライン間の攻略を狙うグリーズマンの補佐、スペースのある試合のトランジションファイター、長い距離を走る前プレ要員と、得意なプレーが今さら明らかになってきておりシメオネも適所で上手く使ったシーズンだった。
頻繁に怪我で離脱しその度に経験値がリセットされるところとミドルシュートが一生入らなそうなところがどうにかなれば、とも思うが、こんなもんかなと思っていたので致命傷にはならなかった。地味に先季よりプレータイムも伸びている。こんなもんで本人が満足できるならこれでいいのだろうが、補強があった場合は放出の有力候補になる現状、そしてバリオスがいる限りこれ以上出番が増えることもないだろう。

以下、シメオネのルマル評。
ルマル?彼は連続性が必要で、我々が望むものはまだ達成されていない。復調すれば、攻守の切り替えで彼は最高の選手の1人だ。得点やエリア内での存在感、フィールド最後部での貢献も増やす必要がある。それ以外全てを非常に上手くこなしているが、それが改善されれば成長できる。

的確。そして改善はされることはなさそうだ。



14.マルコス・ジョレンテ(28歳🇪🇸)

ラリーガ:22試合(スタメン21試合)1得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)2得点
CL:3試合(スタメン3試合)0得点

20-21シーズンは右IHで12ゴール。優勝に大きく貢献してニュースターとなった。21-22はチーム事情で右SB、WBでの起用が主になったが、そこでも超抜パフォーマンスを見せていた。しかし一転してシーズンを通して無得点に終わっている。今季はモリーナの加入もあり、IHでの起用をメインとする意思が感じられた。本人の希望は知らないけど、まあ点は取りたそう。というかそれが自分の出来るチームへの貢献だと思ってそう。不器用なのでね。
先季が悪かったわけではないので改善したような言い方をする必要は特にないが、今季は彼の特徴がよく出たシーズンだったと思う。中盤3枚でも4-4ブロックのSHでも、守備の強度は抜群に高く、どの位置に置いてもカウンターの先頭を走れるスピードと加速力、その連続性は異質。とにかく何度も何度も同じことを繰り返せる。これは才能でしょう。
コケ、デ・パウルと並んだ時の中央の守備強度は贔屓目なしに世界トップクラス。正対した相手に抜き去られる場面はほとんど見たことがなく、後ろ向きの相手を捕まえてボールを奪えば一気にカウンターに出られる。
ラストサードではスペースなど存在しなくともポケットへとにかく飛び込み、何もないところからチャンスを生み出す。何度も何度も繰り返す。
グリーズマンがトップ下のような位置で縦パスを待つ配置の際はFWポジションに立つこともあり、とにかくどこに置いても便利な性能を持っていることをあらためて見せつけた。ちなみに個人的には割とWBが好きだ
そして自軍CKの時は最後方に待機し、カウンターを狙う相手を待ち構えるシンガリを務めているが、足が速くてヘディングも強くて対人で抜かれることもないので完全に適任である。便利屋。負傷離脱もそれなりに多いシーズンだった。来季はもう一度、ベストシーズンを送りたい。



17.サウル・ニゲス(28歳🇪🇸)

ラリーガ:31試合(スタメン11試合)3得点
国王杯:2試合(スタメン0試合)0得点
CL:5試合(スタメン4試合)0得点

チェルシーへの一年のレンタルを終えて帰還。背番号は15-16シーズンまでつけていた17番を再び背負うことになった。
正直この一年で何かが成長したということもなく、普通に一歳年をとって帰ってきた。しかし今季は起用法というか、彼の能力を発揮できるポジションがチームにあったのが救いであった。
サウルの特徴は、まずは中盤、前線、最終ラインのどこにいてもプレーできるオールラウンドな能力にある。それはボールコントロールもそうだし、視野や状況判断の能力もそう、そしてボディコンタクトに強い能力がそうだ。
そしてネガトラの急先鋒として誰よりもはやく危険を察知してボールに飛び込み、イエローカードを頂戴して平然と自陣へ戻っていく。この能力もシステムの過渡期にあって不安定な戦いをしているチームにとって必要なものであった。
ただし、本人とチームにとって歯痒かったのはその能力が本格的に必要とされるタイミングが試合終盤に限定されていたこと。結果としてサウルはレギュラーポジションを掴むことはできていない。過去に名コンビであったカピタンのコケとは大きく溝を開けられてしまった。スピードもない。連続性にも乏しい。それでも今季は19節オサスナ戦終盤に試合を決める見事な決勝点を決めてチームを救い、シーズン終盤にもスタメン起用に応えて2試合連続ゴールを決めるなど彼らしさを発揮してくれた。そして今季途中、本人のインスタグラムより柴犬を飼っていることが発覚。

かわいい

なんて名前ですか
何を隠そうおれは柴犬が大好き。そしてサウル・ニゲスが大好きだ。まだこのチームに役割はある。



20.アクセル・ヴィツェル(34歳🇧🇪)

ラリーガ:33試合(スタメン25試合)0得点
国王杯:4試合(スタメン3試合)0得点
CL:6試合(スタメン5試合)0得点

ドルトムントから移籍してきたベルギーのアフロ巨人。過去にはフェライニじゃない方みたいな扱いだったような記憶がある。案外アトレティコにはいない純正CHとして、エクトル・エレーラの穴を埋める補強だった、気がする。
今季は開幕からなんと3CBの中央で使われ、後方からのボール保持を再構築するためのキーマンとなった。ビルドアップ魔神として存在感を出していったが、守備対応はまあまあ怪しかった。スピードもアジリティも怪しいがボディコンタクトはめちゃくちゃ強かったのが印象的
アトレティコのボール保持も保持率を高めるような構築よりライン間をしつこく狙う形や素早く相手最終ラインの背後を狙う形が優先され、ヴィツェルの得意なプレーとは多少ギャップがあった。あんまりスピードアップさせるようなプレーは得意ではなく、ビルドアップも前進よりペースダウンするプレーが多かった。いざ敵陣深くに侵入すると後ろで見守っているだけになってしまうこともしばしば。
結局W杯後のシステム変更で中盤での出場機会が減っていき、サヴィッチの離脱後はまた最終ラインで起用された。歴代2位の出場試合数を誇るベルギー代表には残念な結果におわったW杯以降は召集されていない。キャリアの終盤に向かっているのは間違いないが、なんだかんだで34歳で突然CBをやり始めた選手である。まだまだCLクラブでニーズがある。



21.ヤニック・フェレイラ・カラスコ(29歳🇧🇪)

ラリーガ:35試合(スタメン26試合)7得点
国王杯:3試合(スタメン2試合)2得点
CL:6試合(スタメン3試合)1得点

左サイドを切り裂く唯一無二のタレントを今季も発揮した。
見慣れすぎて"凄いドリブルを持つ左WG"くらいの感覚で見ているが毎年驚かされる。足を止めた状態から狭いエリアに割って入り左右の足からシュートを打てる能力は特異である。
そして彼の凄いところ、そしてアトレティコに最適化されているところは左WBの守備タスクをまあまあ普通にやれるところだろう。これが替えが効かない。凄い。そしてそこからカウンターの先頭まで駆け抜ける走力。凄い。今季のアトレティコのカウンターは主に"単純に足が速く何度も上下動できる"選手達の気合根性に支えられていた。カラスコはその急先鋒で、手詰まりの試合をこじ開ける飛び道具であり続けた。今季だけじゃなくこれまでもずっとそう。その能力故、常に異物であることも否定しない。コンビネーションで局面打開するようなパターンをチームにもたらすことは基本的になく、あくまでも単独突破が武器である。それが4-4-2でプレーする際のネックになることもあった。単独突破できない試合で違う役割を担えるわけでもない。そして何より、あまりにも"替えが効かなすぎる"。カラスコ不在の度にシステム変更を強いられる歪さを、いつまで受け入れていくのかも頭が痛いところである。チームも別の選択肢を考え始める時期かもしれない。



34→24.パブロ・バリオス(19歳🇪🇸)

ラリーガ:21試合(スタメン6試合)0得点
国王杯:4試合(スタメン2試合)2得点
CL:1試合(スタメン0試合)0得点

12節カディス戦でプリメーラデビューし、一気にポジションを奪取した19歳のカンテラーノ。W杯後はスタメン起用も増えてそのままトップ契約を勝ち取った。近年若手が出てこないと言われていた(ような気がする)アトレティコでは久しぶりの有望若手。しかも代表クラスが突然出てきてびっくりした。
MFとしてとにかくボールコントロールに優れ、判断が速い。適当にボールを受けても失うことはまずなく、パスも正確。レギュラー起用された16節バルサ戦では3CHのスライド守備を懸命にこなす賢さも見せた。ラストサードでの落ち着きもありファーサイドまで味方のポジションを把握できている。斜めのクロスがとんでもなく下手くそなのはカピタンに似たのか。

本当にこれまでのカテゴリーで相手のプレッシャーに困ったことがないんだろうなというプレースタイルで、変な体勢で突然ボールが来ても"1stタッチしてから考える"スタイルでけっこう驚いた。そして失わない。天才なんだろう。シーズン終盤にやっと首を振ってからパスコンタクトするようになっていたが、おれの想像だが"グリーズマンを探せ"と指示されていたのではなかろうか。

期待が大きいだけに惜しいミスだったのは23節のマドリーダービーでジョレンテに通そうとしたスルーパスで、あれが通っていればスターダムを駆け上がれたのでは、というプレーだった。
わかりやすく且つポジションを争うライバルを上回る能力を持ち合わせるが、過渡期のチームにおいては彼のゲームコンタクト能力よりも強さ・速さが優先される試合も少なくなく、現状は"ここでボールを受けてこっちに進んでね"という形が確立された試合終盤の途中出場の方が効率が良く、スタメン機会は限定されていった。
能力を発揮する確実性を高めることができれば熾烈な争いになるスペイン代表入りも見えてくる。いずれにしても面白い存在が出てきた。



29.カルロス・マルティン(21歳🇪🇸)

ラリーガ:4試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:0試合(スタメン0試合)0得点
CL:0試合(スタメン0試合)0得点

今季Bチームでは10番を背負うサイドアタッカー。トップチームにもちょこちょこ呼ばれていた。W杯明けのポンフェラディーナとの練習試合で2得点したり、ラリーガでもシーズン終盤はコンスタントに出場機会を得た。スピードもテクニックもフィジカルも、どこをとってもあまり特徴がなく、階段を順調に登っているという印象はない。プリメーラの別クラブでプレーしている同年代のレンタル勢と比べて優遇される立場でもないだろう。まずはフルシーズンレンタルでプレータイムを得てからだと思われる。



32.アルベルト・モレノ(21歳🇪🇸)

ラリーガ:0試合(スタメン0試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:0試合(スタメン0試合)0得点

国王杯2回戦のアレンテイロ戦でトップチームデビュー。スピーディかつ狭いエリアのプレーが得意なタイプ。グリーズマンくらいしかタイプの被る選手がいなそうなので、もしかするとスカッドに絡んでくるかも。



FW

7.ジョアン・フェリックス(23歳🇵🇹)

ラリーガ:14試合(スタメン7試合)4得点
国王杯:1試合(スタメン1試合)1得点
CL:5試合(スタメン3試合)0得点

冬にチェルシー移籍を決断したポルトガルの至宝。アトレティコの未来だったはずの男。
華麗な1stタッチと爆発的なスピードを持ち、鋭いシュートをゴールに突き刺す。自分がボールを触り、自分がシュートを打つことが最優先で、彼を中心にチームが回っていればきっと凄い選手なのだが、アトレティコではそうはならなかった。
その理由は単純で、フェリックスが中心では勝てないからだ。サッカーは試合に勝つためにやっている。シメオネはアトレティコを勝たせるために仕事をしている。フェリックスが中心では勝てない。だからフェリックスはピッチに立つならやりたくない仕事もする必要があった。だが、やらなかった。
彼は決して変わらなかった。グリーズマンの方が上だ。グリーズマンはチームを勝たせ始めていた。グリーズマンが中心になるならば、カラスコの個人技を生かすならば、フェリックスはノイズだった。試合に使われなければ不満を隠さずスタッフを威嚇した。チームはフェリックスを必要としなかった。
ここで別れることが双方の幸せであることは明らかだった。個人的に切ないのは、アトレティコへ移籍してきた時に支払った金額の大きさが別れを許さず、フェリックスの望む選択からも遠ざかってしまうこと。もちろん金銭的な色々な都合はわかるが、彼の行きたいクラブでやりたいようにやってほしいなと思ってしまう。それはアトレティコの今後とは無関係だし、冷たい言い方だが、勝手にしてほしい。
とりあえず、一度はアトレティコに帰ってくる。ポチェッティーノが必要としなかったので。どこかで才能を発揮して欲しいとは、真剣に祈っている。



8.アントワーヌ・グリーズマン(32歳🇫🇷)

ラリーガ:38試合(スタメン31試合)15得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)0得点
CL:6試合(スタメン4試合)1得点

先季はホームでブーイングを受けることもあった、帰ってきたエース。今季はチームの中心に据えられフル稼働した。コパデルレイの2回戦(アレンテイロ戦)以外は全ての試合に出場。開幕当初は保有元のバルサとの契約の兼ね合いで30分しかプレーできないだのという今思い出すとギャグみたいなことを真面目にやっていたが、6節のマドリーダービーでスタメン起用されて以降は問題なくフル出場し始めた。本当になんだったのか。
基本的には2トップの一角だが、攻撃でも守備でも相棒にトップポジションを任せて自由自在にポジションを変えた。どの位置に顔を出しても正しく効果的にプレーできる能力は稀有で、右サイドでも左サイドでも中央でも、ビルドアップでも、そしてゴール前でもいつも"プラス1"を生み出した。そのためには固定された立ち位置を持たないことが重要であった。ジョアン・フェリックスの移籍以降はグリーズマンをエースとする流れがさらに明確になり、そしてチームメイトも常にグリーズマンを探してプレーするようになったが、明らかにこれが好循環を生んだ。代表チームでも同様にピッチを駆け回りカタールW杯もロシア大会同様に中心選手としてプレー。連覇を狙ったが決勝で敗れ、惜しくも準優勝。それでも2大会連続で最高のプレーを見せてくれた。ラリーガでは相変わらずのとんでもないシュートミスと糸を引くような美しいフィニッシュを両立させながらチームトップの15得点に加えて17アシストも記録するというリーグMVP最有力と言える大活躍。38試合全てに出場し、22試合で得点に直接関与するという化け物のような結果を残している。
もう32歳か、という気持ちもあるがこのプレースタイルで次のW杯までやってしまいそうな恐ろしさもある。来季はエースとしてフル稼働しチームの、そして彼自身の目標達成へ突き進む。



9.マテウス・クーニャ(24歳🇧🇷)

ラリーガ:11試合(スタメン2試合)0得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:5試合(スタメン0試合)0得点

加入一年半。ブラジルのウィル・スミスはウォルバーハンプトンへ移籍していった。
ブラジル人らしい侵入能力とPA内でボールにコンタクトする力があり、右足でそれなりに良いシュートも打てるが全然ゴールに繋がらなかった。先季は6点、今季は0点。確かに出場時間はあまり多くなかったが、起用しようと思わせる何かがなかったと言ってしまうとそこまでだった。移籍後もたくさん決めてるわけでもないし(2点)
能力もあるしオリンピックでブラジル代表として金メダルを獲得していたりするがクラブレベルではたいした実績がないのが現状である。FWに目に見える結果が求められる今のアトレティコでは厳しかった。W杯メンバーからも外れたが、これは別にアトレティコは関係ない気もするが移籍を決断する一因ではあった気はする。シュートさえ入ればプレミアでも上級のストライカーになれる要素はあるので頑張っていただきたい。



10.アンヘル・コレア(28歳🇦🇷)

ラリーガ:35試合(スタメン13試合)9得点
国王杯:4試合(スタメン2試合)1得点
CL:6試合(スタメン3試合)0得点

いつも"もっと使えもっと使え"と言われているナンバー10。優勝した20-21シーズンよりもプレータイムを減らしたにも関わらずキャリアハイのラリーガ12ゴールを決めた先季。モラタの復帰、メンフィスの加入、ジョレンテの中盤起用などの影響でさらにプレータイムを減らす結果となった。それでも最終節の2ゴールで帳尻を合わせるように9ゴールは立派。
ピッチに出てくればいつでもハードに、そしてテクニカルにプレーし、チームの不足点を埋める働きをいつでも計算できた。狭いポケットに侵入してアウトサイドでボールを弾きながら前を向いてしまうターン。どうやるんだあれ。非保持でも頂点、2トップ、中盤のどこに置いても問題なく機能しチームを助けた。守備固めで使われてもおかしくない能力を持つ。そしてマルコス・ジョレンテとのホットラインはやはり替えが効かず、手詰まりな試合ではこの2人がゴールをこじ開けることを期待されていた。今季はグリーズマンとのコンビで前線からの守備を確立し、ビルドアップ局面での裏ランでも重要な役割を果たした。相手のビルドアップを掻っ攫って決める得点パターンも面白い。

本人がこのプレータイムに納得しているはずもないが、アトレティコのサッカーを考えれば劇的に待遇が改善されることもないだろう。ちなみに個人的には先季・今季くらいのプレータイムに制限した方がパフォーマンスを維持できる選手だと思っている。今季はさすがに少なすぎたかもしれないけど。コレアはどんな選択をするか。W杯の優勝メンバーにもなり、ここから先のモチベーションをどう捉えるか。どんなキャリアになっても彼を応援している。



19.アルバロ・モラタ(30歳🇪🇸)

ラリーガ:36試合(スタメン23試合)13得点
国王杯:4試合(スタメン4試合)2得点
CL:5試合(スタメン4試合)0得点

どこに行ってもそれなりに活躍するのにどこに行っても"うちの子"という扱いを受けられないモラタ。帰ってくると思ってなかった。どんなチームにベストフィットするのかと聞かれるとよくわからないがどんなチームでも15点くらいは取りそうなところが良さなんだろう。怪我も少ないし。
常に決定機を探しており、PA内でシュートチャンスを狙っている。グリーズマンが敵陣破壊をほぼやってくれるチームでは普通に必要な能力で、ちゃんと点も取ってくれたので期待された仕事はやってくれたと言っていい。現にクーニャより圧倒的に信頼されてその上で結果を残したわけで。

シンプルに身体がでかくボールコンタクトが上手い上、いつも裏抜けを巧みにチラつかせることでハイボールの受け手としてしっかり機能した。その意味では途中出場でもちゃんと役割がある選手であった。怪我明けとか代表戦明けとかでもパフォーマンスが変わらないのは良いところだろう。後ろからちょっと押されると"おれが倒れたということはファール!"という感じで倒れてもうちょい頑張れという気はした。前任者のスアレスのポストプレーが上手すぎたのもある。

便利に使える割にはあまり信用されていない印象もあり、実はフル出場は3試合しかない。まじかよ。しかもそのうち2試合で負けている。なんなんだ。
死体蹴りで得点を稼いでいた記憶もあるがまあいいだろう。あとはハマらない相手、ハマらない日は本当に何もできないのはどうにかしてほしいが、今季はコレアやメンフィスなど別の選択肢があったのでチームとしては致命傷にはならなかった。だからフル出場できないんだろうな。彼が所属クラブに何を求めているのかいまだにわからないが、この夏も移籍の可能性があるらしい。



9.メンフィス・デパイ(29歳🇳🇱)

ラリーガ:8試合(スタメン3試合)4得点
国王杯:1試合(スタメン0試合)0得点
CL:-試合(スタメン-試合)-得点

バルサで冷遇され、冬に移籍。クーニャがいなくなったアトレティコからすれば願ってもないビッグネーム。しかも価格は300万€らしい。21節セルタ戦の決勝ゴールで実質移籍金的には元が取れていたのでは。
加入後はグリーズマンとのコンビネーションが良い、というかグリーズマンの考えてることが理解できる、みたいな雰囲気がありポジションを奪取。カウンターで大事なのはスピード以上に相互理解であると教えてくれる超絶クオリティを発揮してくれた。ピタリとタイミングが合えば、というシーンで何度もピタリと合わせる能力は普通にびっくりした。
最初は試合勘からかボールの収まりが悪かったが徐々に彼の足下にボールが届き始め、PA幅を広く動き回って攻撃を活性化させた。そしてシュートがとにかく上手い。美しい。

3月の代表戦で負傷し離脱。その後も怪我が続き結局出場8試合(スタメン3試合)に終わったが4得点。ワールドクラスのタレントを十分に発揮し、来季への期待も感じさせた。反骨心を持った選手はアトレティコは大歓迎。一緒にタイトル取ろう。


以上、全29選手。今季も楽しみました。全員好き。全員大切。
ドハーティは退団が決まって、カラスコも怪しい。入れ替わりは何人かありそうだね。補強についてなどもまたお話しましょう。

次の記事は今季の総括記事。次でおしまいです。次はもっと長い。頑張ってください。
今季もメンバーでアトレティコがどんなサッカーをしていたのかを全て紐解きます。毎年だけど自信作。最後までよろしくです。

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