【ラリーガ23-24全マッチレビュー】第2節〜後編〜
2節全部見た。後半5試合
⑥ジローナ 3-0 ヘタフェ
●遂行する事前設定
8/20
エスタディ・モンティリビ
ジローナ 3-0 ヘタフェ
【ジローナ】’12 ヤンヘル・エレーラ ’55 ’65 ストゥアニ
ジローナはイバン・マルティンがスタメンに入った以外は開幕戦と同じ。引き続きボールを持つ。
ヘタフェもほぼ同じ。退場したハイメ・マタのところにマジョラルを起用。ようやく気づいたがラタサがエネス・ウナル役なのかもしれない。
ジローナの攻撃は開幕戦に続き、左SBのミゲルを前線にポジションさせて後ろは3枚。アレイシ・ガルシアを含めた4人で縦パスを入れていく。ヤンヘル・エレーラが隙間でボールを引き出すパターンが上手くいった前半。ヘタフェも開幕戦同様、イグレシアスが最終ラインに入りながら守る。ロングボールで打開を狙うが、ラタサの空中戦でファールを取られることも多く思うような陣地回復ができない。
ジローナは早めに左サイドのサビオの裏を狙う。ヘタフェの最終ラインのメンバーがイグレシアスが落ちてくることを期待しているがまだ落ちきれていないタイミングで一発で裏を取り、クロスにヤンヘル・エレーラが合わせて12分に先制に成功する。クロスはいいボールだった。
後半も同じくボールを握るジローナが要所で背後を取り、55分にミゲル→ストゥアニで2点目。二段階構えの裏抜けで、狙った形だったように見える。ストゥアニのPA内の存在感はさすが。65分にもまたサビオが裏を取って速いクロス。これをダビド・ソリアがファンブルして再びストゥアニが決めて3-0となり勝負あり。
ヘタフェはハイボールの競り合いを望んでいたがジローナは両CB中心によく耐えてチャンスメイク自体を限定していった。後半にはチョコ・ロサーノとポルトゥを入れて走力で穴埋めを目指したがこれも効果は薄め。ボルダラスに取っては悩ましい試合となった。
ジローナは開幕戦同様にボール保持形にこだわったが、狙っていた左サイドの裏取りに何度も成功しラストサードの決定力で楽な試合になった。ホームで快勝できたのは大きい。後方3枚保持も開幕戦は忙しそうだったがこの日は安定感があり支配力を高めた。
●ピックアップ選手
クリスティアン・ストゥアニ(ジローナ)
PA内の仕事に集中し2得点。このチームのストライカーに求められるのは基本的にこれだけなので、カステジャノスが抜けたシーズンに結果を残すベテランの存在価値は高い。
⑦バルサ 2-0 カディス
●こじ開ける
8/20
モンジュイック
バルサ 2-0 カディス
【バルサ】’82 ペドリ ’90+4 フェラン・トーレス
今季はカンプノウが使えないバルサのホーム開幕戦。そういえばチャビは開幕戦で退場しました。ハフィーニャが出場停止の右はヤマルがスタメン。
カディスは前線を一枚減らしてアレックス・フェルナンデスを中盤に入れて何となく守備比重。
29分にヤマルが抜け出して決定機。レデスマのパラドンで16歳には決めさせない。34分にはクンデがチャンスを迎えるがこれもレデスマが止めた。直後、ロジェール・マルティがバルデからボールを攫って決定機を作るが全然入る気がしなかったのは何故だろう
バルサは左サイドから大外を引っ張って一つ戻して大外へアーリークロスを連発。カディスはアレホがバルデにランデヴーして対応するがバルサの質が高い。
右はヤマルにスペースを準備して仕掛けて左足を振った。
後半になるとガビとペドリがさらにPA内へ。圧力を強める。カディスはロングカウンターでいくつか可能性を見せるがクリス・ラモスなどが順調に外していった。
カディスが完全に自陣から出られなくなったところにアブデとアンス・ファティを入れて打開を狙うバルサ。
カディスもPA内で相手をぶん殴りながらよく守り、またもバルサは無得点かと思われたが内側へ進んだペドリにギュンドアンがパーフェクトなワンツーを合わせてゴール。ギュンドアンはやはり一段上の選手。ロスタイムにフェラン・トーレスがもう一点加えて無事初勝利。
カディスは普段通りよく守り、カウンターも繰り出せていた。納得感のある90分。
●ピックアップ選手
コナン・レデスマ(カディス)
バルサキラーはこの日もよく止めていたが及ばず。可能性は示した。
⑧ベティス0-0 アトレティコ
●課題解決は途上
8/20
ベニート・ビジャマリン
ベティス 0-0 アトレティコ
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●ピックアップ選手
マルク・ロカ(ベティス)
攻守に精力的に動いて気が利いていた。ベティスの中盤に合っている。
⑨アラベス 4-3 セビージャ
●よく走りよく戦うホームチーム
8/21
エスタディオ・デ・メンディソローサ
アラベス 4-3 セビージャ
【アラベス】'7 リオハ '44 ドゥアルテ '54 '59 キケ・ガルシア
【セビージャ】'15 OG(アブカル) '41 ラメラ '90+7 ラファ・ミル
開幕戦を落とした両チーム。ホームのアラベスはオサスナから獲得したキケ・ガルシアをスタメン起用。ベナビデスとゲバラを中盤に並べる。トップ下に入るグリディは可動域に期待されている様子。
セビージャは引き続きスソへの信頼は厚いようで、退場したロイク・バデがいない最終ラインは心配。ボノがいなくなったGKはドミトロビッチが。ドミトロビッチとキケ・ガルシアのエイバル組が頑張っているのは感慨深い。
両サイドバックの背後に長いランニングを使うアラベスが7分に先制。再奪回してグリディを経由してなんとルイス・リオハのミドルシュート。外側を回るサポートも十分で突破をチラつかせてフリーで左足を振り抜いた見事な一撃。リオハが決めると嬉しい。
なかなかボールを持って前進できないセビージャだが15分にCKから同点。さすがの飛び道具。ラメラのシュートは余裕で枠の外だったがアブカルにぶち当ててゴールに戻ってきた。不運。
セビージャのビルドアップはスソが積極的に中盤に顔を出すことを基本とする。これはプレシーズン、開幕戦よりもこの試合は特徴的に出ていたが、序盤からアラベスは人を捕まえるのが上手く、前進を許さない。サイドの突破はPA内でどうにかするぜという思い切りも見える守り方で、持たざる者らしい戦い方はおれの好みでもある。
ただ、35分にはサイドを深くえぐってスソがニアポケットを取るセビージャらしい攻撃が出ていた。ラメラのシュートはポストに。アラベスは我慢。そういえばオカンポスとラメラは途中で左右を入れ替えていた。
案外キケ・ガルシアのポストプレーやグリディの裏ランでどうにかなりそうなのはアラベスが良いというよりもセビージャ最終ラインの不安なポイント。
41分セビージャは逆転に成功。得意のサイドチェンジでぐりぐりに押し込んで最後はクロスのセカンドボールにラメラ。今度は決めた。押し込むとスソが左右(特に右)の外側で仕事をして3トップ全員PA内、の物量アタックは下位のクラブには理不尽である。
しかし試合は落ち着かない。44分最終ラインからのFKでキケ・ガルシアがポストプレー。味方に繋いで左SBのルベン・ドゥアルテが左足を振り抜いた。ノッてるホームチーム。
2CBと2CHでなんとか前向きを作って大外へロングボールを送るセビージャと、前からボールを奪いに駆け回るアラベスの構図だった前半。アラベスはボールを奪うと相手SBの裏へボールを送り込むので両チームともにピッチを端から端まで走り回る疲れる試合に。それでもお互いにプランを遂行しようとする姿勢が良かった。
後半セビージャはラキティッチ→フェルナンド、そしてアクーニャ→ペドロサを交代。
勝ち越したのはアラベスで54分。左サイドの一番深いところからリオハが右足で折り返し、グリディがフリックしたところにキケ・ガルシアが飛び込んだ。ストライカー。
59分にもう一発。難しい縦パスをキケ・ガルシアが胸で落として打開。リオハから相手CBの背後に一発で通した。キケ・ガルシアの2点目。ダイレクトに最短距離でゴールへ向かうアタックを準備し、遂行する見事な攻撃。
最後まで愚直にゴールを目指すセビージャだが、アラベスも粘り強く守り、根気強くスペースにボールを送り、そしてよく走った。セビージャに攻撃機会を増やさせず、反撃をロスタイムの一点でしのいだ。ラファ・ミルのすごい一発。
疲れる試合だったがホームの観客の後押しを受けてミッションを完遂。セビージャは4点取られてしまったことが全てで開幕連敗スタート。再建へ茨の道は続く。
●ピックアップ選手
キケ・ガルシア(アラベス)
まさに点が取れる電柱を体現するパフォーマンス。ロングボール一発で局面打開できるのは手数の少ない昇格チームとしても非常に助かる。
⑩グラナダ 0-2 ラージョ
●流れが変わるのをじっと待つ
8/21
ロス・カルメネス
グラナダ 0-2 ラージョ
【ラージョ】’75 アルバロ・ガルシア ’79 パテ・シス
グラナダは表記上は4バック。メレンドはSHのようでもあり右のIHのようでもある。カジェホンはFWのようでありトップ下のようでもあった。4-2-3-1の香り。左はサラゴサが大外にいたり後ろを3枚にしてネバが大外にいたりと捕まえにくそう。カジェホン、サラゴサ、ウズニが走るカウンターは結構怖い。サラゴサはとんでもないドリブルのキレを見せていたがこれは典型的なシュート入らない系ですね。頑張ってほしいです。
一方、エンテカのポストプレー&単発裏抜けにCB陣がなかなか対応できず、ラージョはここだけで陣地回復できてしまう。エンテカのワンタッチはこんなに上手いイメージが全然なかったが今季は開幕戦から良い。崩しきれない程度のビルドアップ地上戦も装備するラージョとしては失点さえしなければどうにかなる感があり、割り切り方もわきまえている感じがする。ボールを握れないなりにCHが球際ファイトをサボらないのも特徴的。ルジュンの無回転FKはもはやラリーガ名物に。
61分にまたもサラゴサのドリブル特攻からポストにぶち当てたところでカジェホン→プエルタスを交代。
65分にラージョはラウル・デ・トーマスと、ついにレバンテからの移籍を決めたデフルートスを入れる。FWはエンテカを下げたがもう一人の交代はトレホ。イシを真ん中にしてデフルートスが右。この2チームの比較だと強度を上げる選手交代ができた。グラナダは背後への放り込みが増えてくる。
75分、ラージョの先制点が不意に決まった。中央をショートパスで通過してスピードアップし、PA内で最後はアルバロ・ガルシア。ちょっとグラナダのバランスがめちゃくちゃになっていた瞬間だった。体力か、集中力か。もったいないなという感想。アルバロはよく決めました。ラージョはすかさずパテ・シスを入れてクローズへ。直後、アルバロが一発で裏を取って最後はパテ・シス。グラナダは終盤に多少脆さを出し、逆にラージョの試合巧者ぶりが形になった。クローザーがトドメの一撃を決めるのは爽快でしょう。アバウトなロングボールを味方に繋いだイシの粘りもこのチームの強みの一つ。終盤にはプエルタスがオスカル・バレンティンを踏ん付けて一発退場。
ラージョは自分達の展開に持ち込めなくても我慢強く機会を待ち、R.D.Tとデフルートスの投入をきっかけに縦のスピードを活かして試合をモノにした。2戦連続クリーンシートも立派。まだ良化途上であることを考えても大きい6ポイントになった。グラナダは開幕のアトレティコ戦とはまた違う顔を見せ、機能性を見てもたぶんこっちが先季のメインだった、のか?終盤にロングボールに頼ろうとしたところとラージョの突進に甘さを見せたところは反省点で、残留へのポイントとなる。カジェホンはWBだった開幕戦よりもゴールに直結する動きを狙い、味方もカジェホンを探していた。広範囲に動くウズニを放置しづらい関係から見てもなかなか良いコンビ。
●ピックアップ選手
アルバロ・ガルシア(ラージョ)
プレー機会が少なめの試合だったが最後までチャンスを見逃さない。1ゴール1アシストで試合を決めた。
2節が終了。連勝スタートはマドリー以外にラージョ、バレンシアという意外なチームが。逆にセビージャ、グラナダ、アルメリアは連敗スタートだが3チームとも印象は悪くない。
個人的にあまりよくないなと思っているのがヘタフェ、ラス・パルマス、セルタ辺り。開幕戦で夢は見れなそうと思ったアラベスは2節が良かった。走力と個に依存するサッカーでシーズンを走り抜けることができるかは不安がある。降格とは無関係だろうがそれ以上に良くない試合を繰り返すのはソシエダ。ボールを握れず交代策もハマらない。改善はあるのか。
3節はさすがに全部は見ないと思います。では次はラージョvsアトレティコで