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「じゃあ君は何を解決できるの?」 コパデルレイ3回戦 アトレティコvsルーゴ(A) 2024.1.6

国王杯3回戦。アトレティコはようやく登場となります。
結局真偽の程は定かではありませんが、多分スーペルコパに出場するバルサ、マドリー、アトレティコ、オサスナの4クラブは2回戦までシードだったようです。多分。プラスして、多分この4チームは3回戦で優先的に下位カテゴリーのクラブと当たるように配慮されているようです。多分。
一応3部以下のクラブと当たったのが上記4クラブとソシエダ、ビジャレアル。欧州コンペティションがあるクラブが追加で優先されてるんだと思う。多分。ちなみにビジャレアルと同様ELを戦っているベティス(グループ3位になってしまったのでECLのプレーオフに回る)はくじ運が悪くプリメーラのアラベスを引いた。
そういえばオサスナもECL(プレーオフ敗退)があったので、スーペルコパは関係ないのか?いやそれだとオサスナが2回戦までシードだった理由にならないか。なので多分合ってると思います。

さてアトレティコの対戦相手はCDルーゴ。ガリシア州のクラブなので、セルタのご近所さん。あとデポルティボ・ラ・コルーニャ。アトレティコとは初対戦の様子。
先季はセグンダに所属していたが最下位の22位で降格。今季は3部相当のプリメーラ・フェデラシオンに所属する。このリーグはグループ1,2に別れているので別リーグだが、アトレティコBもこのカテゴリーにいる。ちなみに現在12位。
ルーゴは現在8位。国王杯は2回戦でセグンダのミランデスに勝っている。直近の試合はアトレティコと同じ1月3日で、セルタBにホームで0-1で負けている。
ちなみに先季前半戦までクリス・ラモス(現カディス)が所属していた。19-20シーズンから20-21シーズン途中まではアトレティコの方じゃないファンフランが監督をやっていた。今季は元マドリーのペドロ・ムニティスが監督をやっていたが、年末に変わっている。パウロ・アルベスという元ポルトガル代表の人。
名前を知っている選手を上げると19-20シーズンにグラナダにいたアントニン。あと見たことないけど一応アトレティコ出身のナチョ・キンタナ。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
アスピリクエタ / ヒメネス / ソユンジュ
モリーナ / リケルメ / ヴィツェル / サウル
コレア / メンフィス

最終ラインではエルモソ、中盤はコケ、デ・パウルにジョレンテ、そして2トップもターンオーバー。

・ルーゴ
タブアソ
ルイ・ジャン / ゴルカ・ペレス / カストリン / アルベルト・ロペス
チアゴ・オヘダ / ホサベド・サンチェス / ナチョ・キンタナ
アントニン / ビクトル・ナロ / アントネッティ

ほぼベストメンバー。トップはチーム得点王のレデスマではなく国王杯は3試合連続でレアンドロ・アントネッティがスタメン。


ピッチコンディション悪め。


●前半

アトレティコは押し込みと再奪回を画策。右偏重を作ってヒメネスも前向きの再奪回に参加。後方待機はソユンジュ。

先制点

2分に早速右から押し込んで再奪回。密集を打開したのはサウルからの裏一発。ハビ・ガランが反応した。低い折り返しにコレアが触って先制。逆サイドで浮いていたハビ・ガランの動き出しが良かったのと、リーノ&リケルメと違って左利きである事のメリットを形にした。

ここからはシンプルな能力差もあり、アトレティコはブロックを作る事よりも圧力を強めてボールを取り上げるフェーズに入っていく。

特に配球のポイントっぽかった右SBのルイ・ジャンのところまでハビ・ガランが出ていく形でビルドアップをやらせず、ルーゴの選手間の距離を引き離していく。ソユンジュが大外対応をさせられる形は特に問題ないが、ビルドアップで外側に立たされるのは好ましくない難しい環境。

上手くいかなかったのはそのビルドアップで、同数で当たられた時の突破口をどこにするのかが定まらず、ピッチコンディションの悪さもあり縦パスが引っ掛かりライン間のターンが決まらなかった。ホームがこのピッチならそりゃルーゴはカウンタースタイルだろという感じだが、前向きの走力があってアトレティコはビビり始める。
それにしても何となくアルゼンチンのストリートサッカー出身感のあるモリーナとコレアがこういう環境に全くアジャストできなかったのは現代っ子ぽい。そしてモリーナ&コレアに縦パスが入らないのにレイオフポジションを取り続けたリケルメはよくわからなかった。

アトレティコのIHってどういうタスク分けされてるんだろうね。

ルーゴはカウンターでCK獲得までいくのが上手く、まあさすがにCKではやられないだろと思いつつアトレティコはボールが前に進まなくなっていく。

ということで同数で当たられる。こういう仕事が不得意なソユンジュが鬼のように捕まり続けたが、しばらく対策をせずに放置したのは、まあそういう事でしょう。痺れを切らしてサウルが左落ちし始めたのが32分頃。

サウルはそもそもビルドアップ中のサリーが上手い選手なんだが、いきなり相手選手にプレゼントパスしたのは笑ってしまった。その尻拭いにアスピリクエタがイエローをもらう。このFKの流れで一撃喰らいかけるがヒメネスが仕事した。

同数で当たられればひっくり返す役割はこのメンツだとリケルメになるだろうが、トランジションでハードに狙われて思うように突破できず。これでリケルメが右にいる理由が普通になくなり、左ハーフスペースへ移動。

サウルがヴィツェルの並列の3-2-5に変更。ライン間の横移動だけしていれば点になりそうだがこれも上手くいかなかったのはもうどうしたもんでしょうか。
ここから非保持も5-4-1風に切り替え、もう"1-0で折り返していいよ"という雰囲気だったが、相手GKまでプレッシャーにいったアスピリクエタが接触して倒れている間に良いカウンターをもらい、ヒメネスとソユンジュがアントネッティに無様に振り回され同点ゴールを頂戴した。



●前半終了

1-1で折り返し。奇襲で先制したものの、効果的に相手ブロックを崩せずビルドアップに苦慮。ファールなんだかファールじゃないんだかわからないままカウンターから一発もらった。
まあさすがに負けるのはまずいわけで、後半は改善しないといけない箇所があり、そこは人を替えれば大丈夫そうだがターンオーバーとの兼ね合いを気にしながら後半へ。



●後半

ハーフタイムに鉄拳制裁が行われ(想像)、3枚交代。


コケ、デ・パウル、グリーズマンが出てきて交代はソユンジュ、リケルメ、コレア。ターンオーバーどころではない、という結論。3人とも割と懲罰感があって可哀想な交代になった。

アトレティコは登場した3人がセンターレーンでボールを引き取る事を徹底。

サウルを誰がマークするのかを問い続けたのが実は渋いんですよ

3CBにコケが近づき、そのコケに斜めのパスコースをデ・パウルとグリーズマンが準備。ショートパスの連続をルーゴは止める事ができず、中盤ラインを下げる事に。構築段階で関与する必要がなくなった両WB(モリーナ&ハビ・ガラン)は裏抜けをチラつかせる事で相手SBの前向きの対応を牽制する事に繋がった。
これで試合の景色が一変。前半はスペースを探して縦パスを受ける狙いを持ったが芝が悪くて打率が低く、出し手への圧力を感じて頻度も低くなる事になったが、後半はコケとデ・パウルを中心に出し手と受け手が極端に近くなり、パススピードよりもダイレクトコンタクトを要求する形に変更した。やはりビルドアップは真ん中から逃げない事が肝心。大外は裏を狙う事が役割。なんでアトレティコの守備がいつも真ん中から進む事を撤退して嫌がるのかがよくわかる事象でおれも勉強になりました。

相変わらずロングカウンターを喰らいつつ、55分にCKからバーに当たるヘディングを打たれるがこれもヒメネスが掻き出した。ルーゴも良い攻撃を持っている。

アトレティコは66分にようやく勝ち越し。敵陣でヒメネスのアンティチポで再奪回し、ややライン統率をサボったルーゴのCBカストリンがメンフィスのキックフェイントに思いっきり引っかかった。この辺は粗さ。
ここでアトレティコはサウル→ジョレンテ。強度パンチに方向転換。ルーゴはWGを入替。
そのジョレンテが74分にモリーナと2人で相手SBの背後を解決してメンフィスのこの日2点目をアシスト。試合を決めた。

モリーナにボールが入った時点で確信の決定機

メンフィスはさすがにシュートが上手い。これで業務終了しモラタと交代。モラタはバーにぶち当てて2回くらいオフサイドになりました。



●試合結果

3-1で勝利。びっくりするほどバタついた前半だが、一つ一つの現象に驚きはない。ピッチ上で解決するに越した事はなかったが、別にソユンジュが縦パスをビシバシ刺せると思っていたわけでもない。リケルメはもう少し賢くプレーして欲しかったし、トランジションを狙われても突破して欲しかったが、こんなもんかなという諦めもある。そういう意味でも彼は結局IHよりもWBでパスを待つタスクの方が貢献度は高いのだろう。

それにしても、この3人を替えれば解決だろうと思った3人をそっくりそのまま45分で替えたのは割と驚いた。今季のシメオネは諦めというか見切りが早いケースが多い。ここ数年にはなかった事だと思う。これが別の選択肢がベンチにあるからと取るのか、何らかの焦りがあるからなのかはここから数ヶ月注視していきたい箇所。

後半出てきたコケとデ・パウルは後方からのビルドアップであらためてわかりやすい強みを発揮。距離を近づけてダイレクトパスで相手のブロックを動かしながら侵入していくプレーにグリーズマンが関与し、相手に前から圧力を掛けるのは無理だなと諦めさせる事ができてからは簡単な試合になった。メンフィスは点を取る仕事に集中し、後半の30分で2点。これも想定通りのパフォーマンスである。

もちろんピッチ上で問題解決をしていく選手だけが良い選手というわけではなく、必要な場面で必要な仕事をできる選手というのも同時に必要。ただこの日は解決力が可視化された試合だったね。

「じゃあ君は何を解決できるの?」

その答えを持っている選手は強いです。


これで2024年の公式戦初勝利。国王杯はベスト16に進む。チームはサウジアラビアへ移動し、スーペルコパの準決勝をマドリーと戦う。ガラッと試合の雰囲気は変わってくるだろうが、せっかくのダービーマッチを楽しみましょう。


1/6
アンヘル・カロ
ルーゴ 1-3 アトレティコ
得点者
【ルーゴ】’39アントネッティ
【アトレティコ】’2 コレア ’66 ’74 メンフィス


●ピックアップ選手

メンフィス
後半に2発。フィニッシュワークの正確さは文句無しで、上昇気流に乗っていきたい。

デ・パウル
好調を維持。スペースがなければスペースを作る、を実践した。

ハビ・ガラン
フル出場。先制点を演出するなど上々。前半左サイドで捕まったビルドアップで"何とかしよう"と動いていたが何ともならず。

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