対人で勝つのだ CL B組3節 ポルトvsミラン 2021.10.19


3節の裏。ここで負けるともう2位抜けがなくなりそうな両チーム。3ポイントがどうしても欲しい

場合によってはリバプールにもアトレティコにも2つとも勝てそうだったミランは、このアウェーゲームで確実性が欲しい。
ポルトは攻撃の突破口を見出せなかった2試合。両翼のタレントを活かしたいが、ネガトラに甘さのあるミラン相手に隙をつけるか


●スタメン
崖っぷちのスタメン!

・ポルト
ディオゴ・コスタ
ジョアン・マリオ / エンベンバ / ぺぺ / ウェンデル
ウリベ / セルジオ・オリベイラ / オタビオ / ルイス・ディアス
タレミ / エバニウソン

ぺぺがスタメン。週末の試合から戻ってきていた様子
エバニウソンという選手がFWで先発

・ミラン
タタルシャヌ
カラブリア / ケアー / トモリ / バロ・トゥレ
ベナセル / トナーリ / サーレマーケルス / レオン
クルニッチ / ジルー


アトレティコ戦で退場したケシエが出場停止。コロナ陽性のブラヒム・ディアス、テオが不在で楽じゃない構成に。さらにGKメニャンは怪我で年内お休み。
控え選手のクオリティは悪くないんだけど、よりによってこの4人がいないのはキツい
前線は2枚並列風

スタメン



●前半
前半最初の得点機はポルト。
5分、深く攻め込まれたがアバウトなクリアでカウンター。今季絶好調のルイス・ディアスのシュートは惜しくもポスト。

やはりシンプルな攻撃にSHを絡めたいポルト。そして別に変な失い方ではないのにカウンターを完結されてしまうミラン。このネガトラの不味さはポルト相手だとクリティカルな気がするがどうだろう


・進めないミラン

ポルトが前から同数で圧力をかけると、ミランは想像以上に後手に回った。

同数プレス

同数プレス
第一ラインを全く突破できず、何度も引っかかってカウンターをもらったミラン。特にトナーリに入るボールをかなり警戒していたポルト。それでもたまにトナーリが個人でどうにかするが、なかなか厳しかった。
メニャンがおらず、GKを使った組み立てができなかったが、メニャンがいればハマらなかったのか、メニャンがいないからこそポルトがハメに来ていたのかは興味がある
同数で来られているなら、普段はトップ下のブラヒム・ディアスが降りてきて解決するが、この日代わりに出ていたクルニッチは特にそういったプレーもなく。


11分、ミランが活用したかった侵入方法。

画像5


トモリが持つとトップのエバニウトンはトナーリを背中で消すポジション。この選手、守備のポジショニングがかなり良かった。
オタビオがSBへのパスコースを消すイメージでトモリへ寄せたが、SBのバロ・トゥレは内側を取って縦パスが入った。ミランの左SBの得意プレーだね。
この場面ではレオンが大外で1対1を作ったが、ジョアン・マリオの対人の質が非常に高かった。突破できず。

これ以降、オタビオは背後を意識してCBへのプレスを控えていた印象だった。トモリはやや自由にボールを持てるようになったが、いまいち解決策に欠けた。もちろん彼だけのせいではなさそうだが。

途中からはバロ・トゥレ、サーレマーケルスに大外に立たせてどうにか守備網を広げようと試みる。

ピン


ただ2人ともボールが足下に入ってこその選手であり、本当に大外に立っているだけになってしまった感。そしてクルニッチは結局なんなんだ


・ポルト
あまり機会は無かったがポルトの構築はシンプル。

ポルト保持


後ろ3枚でGKからボールを引き出す。
左にアシメになっており、ロングボールはルイス・ディアス付近に蹴る。そもそも狙いはセカンドボールなので競り勝てなくても良い

ポルトは守備でも攻撃でも個の戦いで隙を見せず、"上手くやっていた"という感じだ。
簡単に前を向かせない。相手の体制が悪ければ強く寄せてミスを誘う。奪ったら近い位置でサポート。ダイレクトパスで的を絞らせず、最低限ボールを失わないようにする。1対1で仕掛けるのは質の優位を持っているルイス・ディアスくらいで、あとは無難かつ安全にプレーした。良いチームだなとあらためて思う。日本代表が目指すのもこういうチームがいいんじゃないの。知らんけど


●前半終了
チャンスはポルト5回、ミラン2回くらいかなと(ジルーのオフサイド含む)
パス成功数はポルト161のミラン157でほぼ互角。
ポルトは11本中枠内1本という精度がポイントになる

高い位置でボールが奪えて、ダイレクトパスのコンビネーションでPA内へ侵入するポルト。ミランは最後のところはしっかり我慢できた。

同数でプレスされて糸口が掴めなかったミラン。大外にピンを置いても対して効果的ではなく、生命線にしたいロングカウンターもポルトの走力に防がれた。サーレマーケルスとベナセルは普通に足が遅かった。走り合いだとしんどくなる


●後半
・ギアを入れたポルト

後半開始からエンジン全開で決めに行くポルト。前線から圧力をかけてミランを閉じ込めた。

58分にミランは3枚替え。ロマニョーリとカルルを入れたのはビルドアップを安定させる意図があったように見えたが、一向に流れは変わらず。この辺はリソースを感じる。というか単純にテオがいればなぁ、という部分

65分、高く上がったボールの落下点で交錯してエアポケットが出来たところをルイス・ディアスが逃さず仕留めて、ついにポルトが先制。この日のミランにはあまりに重い1点。時間はたっぷり残っていたものの、この日のミランは何をしてもポルトのPAへ侵入する事すらままならなかった。

タスクが重かったトナーリを下げて、真ん中でボールを前に進められそうなバカヨコを入れたりダニエル・マルディーニを前線に入れてみたりと、できる限りの手は尽くしたものの、どうにもこの日はミランの日にはならなかったようである。ミランらしい決定機を作る事ができないまま試合を終えた



●試合結果
ポルトがホームで貴重な3ポイント。ミランは3連敗となった。

ポルトは全体で一つの生き物のように動く4-4-2のバランス感が抜群。リバプールには通用しなかったけどアトレティコもこれはヤバいんじゃないか。ホームで勝っておきたかった
対人で振り切られたり対応を誤って前を向かれたり、という場面をほぼ作らせなかった。
攻撃は少人数での速いカウンターと前プレで奪って速攻が主。ミランが最後のところで体を張った守備でなんとか凌いではいたがスタッツでも圧倒した。

ミランはこれでかなり厳しくなった。推しているチームなので残念だが、まだ若いチームだし気落ちせずトライして欲しいね。
この試合を見て思った事は、個への依存がかなり高まっているのかなと。メニャンがいないビルドアップはかなり厳しいのは想定された事だが、そこで前から同数プレスされるとチームが何も機能しなくなったのは意外だった。とはいえ、同数でプレスされた時に逃げ道とするのはブラヒム・ディアスとテオ・エルナンデスで、この2人がいなかった事はアトレティコで言えばトリッピアとルマルがいないようなもの。代案を準備できなかった脆さはあるが、まあ仕方ない。
相手を押し込めず、全体の走行距離が伸びてしまう展開で最前線にレビッチを置けなかった事も、中盤にケシエがいない事もしんどかった。ジルーは相手を押し込んでPA内かライン間で仕事するタイプなので。ベナセルにしてもポゼッションが安定しない試合ではカバーリングに右往左往して終わった。何もかもがミランに向かない試合だったね、という結果。
ただ、代わりに出た選手含め全員が対面するポルトの選手相手に個で優位を作れなかった事は事実。


10/19
エスタディオ・ド・ドラゴン
ポルト 1-0 ミラン
得点者
【ポルト】’65 ルイス・ディアス


●ピックアップ選手

ルイス・ディアス(ポルト)
左大外を個で打開。違いを生んだ。このチームのSHは内へ入ってくる意識が強く2トップ+1のコンビネーションでシュートまでいける強みがある。チームを今大会初勝利に導くゴール。

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