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【ラリーガ23-24全マッチレビュー】第1節〜後編〜

後半の5試合。

ラリーガマイスターになるんだ!と自分を励ましながら見てました。いきます。



⑥セルタ0-2 オサスナ

●現時点での仕上がり差

8/13
エスタディオ・デ・バライードス
セルタ 0-2 オサスナ
【オサスナ】’24 ルベン・ガルシア ’74 モイ・ゴメス

●スカッドの印象
・セルタ

ベニテスが来たセルタ。主力はDFのハビ・ガランとウーゴ・マージョが退団。あとデニス・スアレス。ただ、マヌ・サンチェス(←アトレティコ)が加入しリールで主力だったジョナタン・バンバを補強。中盤にはマドリーBのキャプテンだったカルロス・ドトールを加えている。選手の名前だけ見れば残留は問題なさそうだが、ベニテスが何をするか。イアゴ・アスパスの扱い含めて注目。

・オサスナ
一悶着あったがECLに挑戦するオサスナ。レンタルの身で中心選手として活躍していたマヌ・サンチェスとアブデが抜けるが、アレハンドロ・カテナ(←ラージョ)とホアン・モヒカ(←ビジャレアル)を補強。できることはやっている。若手の成長を上積みとして戦っていきたい。FWには先季アルバセテでセグンダ2位の19ゴールをあげたラウル・ガルシア(←ベティス)を補強した。

●マッチレビュー
オサスナは4-3-3。先季通り。セルタは4-4-2。セルビがSBは大丈夫なのか。30番のソテーロはプリメーラ初出場。リールから新加入のジョナタン・バンバもスタメン。

セルタはまず4-4-2の守備ブロックをしっかり準備。2トップの限定でアンカーのトロを経由をさせず、2CBからの配球を阻害。オサスナはMFの列落ちで出口探しをする。主にモンカジョラとモイ・ゴメスが落ちてくることが多い。アイマールは間受けの美学があるのかわからんがハーフスペースから出ようとしない。オサスナのビルドアップの特徴はアンカーのトロの前向きを作るため、のような構築がないことかな。別にいいけど
セルタは4-4で中央を圧縮しようとしているのにボールホルダーを空けてしまうことが時々発生し、そうすると大外を使われる。それが先制点にも繋がった。ルベン・ペーニャのアーリークロスにブディミルが合わせ、こぼれ球をルベン・ガルシアが押し込んだ。

セルタは4-4-2で前進する方法を仕込んでいる様子。2CBがGKを使いながら相手FWのプレスをかわして左右のSBを出口に前進。ベルトランとソテーロが縦挙動でボールを引き取ろうとする。両SHはタッチライン付近でボールを待ち、2トップは降りてきてボールに触る役割。最近のラリーガではあまり見ない合理的な4–4-2。どこに似ているかといえばアトレティコに似ているのかもしれない。ソテーロはPA内までランニングすることも含めてよくやれていました。セルタのカンテラの選手は賢い選手が多い。
ただ、オサスナもこういう正攻法アタックへの耐性は強く、ラーセンの裏抜けで押し込まれる以外は大体問題なく守っていた。

後半、得点が欲しいセルタが圧力を強める。ペースが上がるとSHの1vs1がベースになってしまうのは正攻法4-4-2のあるあるな気がするが、カルレス・ペレスの質を押し付けたがそこはモヒカ。新加入モヒカの得意な仕事を引き出していた。PA内の強度に強みがあるオサスナは慣れた対応。カルレス・ペレスは内側に切り込んでミドルシュートみたいな形が作れたら良かったが、それならガブリ・ベイガが欲しいなというセルタであった。ちなみにバンバは足を止めた1vs1は微妙かもしれない。パワフルではあった。
セルタの左右からのクロスは良いボールもあったがこういうのを止めることで生き残っているオサスナに跳ね返される。カテナの加入も大きい。攻撃のCKでもこの日も惜しいのが一つあった。

セルタは73分にようやくガブリ・ベイガを入れるが、直後にルベン・ペーニャに持ち込まれ、キックフェイントに振り回されながらポストに当たったシュートの跳ね返りをモイ・ゴメスに決められて勝負あり。オサスナが快勝した。このやり方で点を取れなかった時、先季と違ってアブデはいないぞというところ以外に特に課題も感じない。選手交代をしてもバランスを壊さないスカッドは良く鍛えられている。
セルタはまずは4-4-2を仕込み、ここからベニテスが色を塗っていく。ラーセンのダイレクトフリックを活用したポジトラなど、狙いを持った攻撃もいくつか見られたが、開幕時点での完成度の差は明白。なんとなく”アスパスに最適化する”という方向からの卒業を感じる試合となった。

●ピックアップ選手
ルベン・ペーニャ(オサスナ)
2得点に関与。アーリークロスが上手い選手で、フリーで前を向くと脅威になれる。対人守備もバンバ相手に90分間よく頑張った。



⑦ビジャレアル 1-2 ベティス

●ハイテンションバトル

8/13
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
ビジャレアル 1-2 ベティス
【ビジャレアル】'61 クエンカ
【ベティス】’20 アヨセ・ペレス ’90+5 ジョゼ

●スカッドの印象
・ビジャレアル

5位フィニッシュしたもののパウ・トーレス、チュクウェゼ、ニコラス・ジャクソンが買われていった。それぞれ代役はガッビア(←ミラン)、スルロット(←ライプツィヒ)を用意しつつデニス・スアレス(←セルタ)やコメサニャ(←ラージョ)を中盤に加えている。FWはイングランド2部で点を取りまくっているベン・ブレアトン(←ブラックバーン)も獲得した。正直セティエンのチームの行く末を心配しているが、どうなることやら

・ベティス
主力がなかなか健康で過ごせなかった先季。ホアキン・サンチェスの引退やセルヒオ・カナレスの移籍があり、イスコ(←未所属)やマルク・ロカ(←リーズ)を中盤に加えている。レッドカード続出でずっと不安定だった最終ラインにバルトラ(←トラブゾンスポル)を呼び戻した効果があるかどうか。まずは主力が健康で過ごすこと(フェキルは開幕間に合わず)

●マッチレビュー
開幕節一番の好カード。両チームともボールを大切にしつつ敵陣侵入。ビジャレアルは普段通り、ジェラール・モレノを狙った速い縦パスも通しながらPAを目指す。ベティスはプレシーズンと比較すると少ない人数のユニットの連携が上手く決まっている。その中心にはイスコがいた。度々相手DFの背中を取ることができており、あとは右サイドでエンヒッキの質を押し付けてイスコがそこに近づいてチャンスメイク。両SBも高い位置に出てきて圧力をかける。

ベティスが20分に先制。カウンターで3人引きつけたイスコからエンヒッキへのスルーパス。最後はアヨセ・ペレスが飛び込んできた。パーフェクトカウンター。

その後はビジャレアルはバエナが、ベティスはイスコのFKからペッセッラがネットを揺らすが共にオフサイド。流石に決定力の高い両チーム。両GKの好セーブもあった。ベティスはピッチを広く使いながら再回収も優秀でビジャレアルの反撃の機会を制限していく。他の試合と比べるとお互いトランジションの切れ味が桁違いである。ビジャレアルのクエンカとマンディのCBコンビは上手くやれているが、このレベルの相手に90分耐えられるかというと怪しい気もする。

ビジャレアルは52分にはCKからフォイスが頭で合わせるがポスト。そして61分に右サイドからのFKにクエンカが合わせてついに同点。お互いセットプレーの質が高く気が抜けない試合になっている。
カプエが入ってから中央でボールを持てるようになったビジャレアルはベティスのラインを押し下げながら大外を使ってセットプレー獲得、という流れがあった。当然ベティスはイスコを軸にカウンターを狙う展開に。終盤はグアルダードを入れてバランス調整を図るベティスと、デニス・スアレスとモラレスを入れてさらにペースを上げようとしたビジャレアルの対比が面白かった。ベティスはカードをもらったギド・ロドリゲスに替えてパウルを入れて引き分けを受け入れたように見えたが90+5分、サバリのクロスにウィリアン・ジョゼが合わせてベティスが勝ち越し。PA内のクオリティが結果を変えた。
開幕戦とはいえ6ポインター。お互い高いテンションで戦った好勝負だった。ビジャレアルは攻守とも最後の質に課題が。ベティスはプレシーズンは何だったのか、いきなり普段通りの試合を見せてくれた。

●ピックアップ選手
イスコ(ベティス)
トランジションで魔法の杖を振り、セットプレーで右足を振った。楽しそうにプレーしていた。



⑧ヘタフェ 0-0 バルサ

●喧嘩バトルはホームチームに利益あり

8/13
コリセウム・アルフォンソ・ペレス
ヘタフェ 0-0 バルサ

●スカッドの印象
・ヘタフェ

残留争いに巻き込まれて最終的にはボルダラスを呼び戻した先季。主力はだいたい残留し、さらにFWにチョコ・ロサーノ(←カディス)を補強している。キケ・サンチェス・フローレスの5-3-2からは方向性が変わるのかどうか注目。鍵を握るのは前十字靭帯断裂の大怪我を負ったエースのエネス・ウナル。万全での復帰が待たれる。

・バルサ
登録がどうだのサラリーキャップがどうだのよくわからんがとにかくブスケツ、ジョルディ・アルバ、ケシエ、デンベレなどが抜けてギュンドアン(←マンチェスターシティ)、イニゴ・マルティネス(←アトレティック)、オリオル・ロメウ(←ジローナ)を獲得。レンタルバックはデスト、ラングレ、アブデなど。どうやら開幕戦には大体の選手は登録できた模様。

●マッチレビュー
どう見てもDFが多いヘタフェ。ボルダラス節。
バルサは中盤にロメウを早速使いつつフレンキーもいてギュンドアンもいる。
ヘタフェは表記上4-4-2とするが右SHのイグレシアスはバルデについていく役割。また、2トップの左側ハイメ・マタもアラウホを追いかけて左SHのように変化するので5-4-1のように対応。
バルサはハフィーニャとバルデが大外。後ろ3枚でロメウとフレンキーが中央。真ん中から何度も侵入を繰り返したが、ヘタフェはラフプレーをベースになんとか守り切っていく。それでいいのかボルダラス。
ヘタフェの攻撃はバルデが上がっていった後方のエリアへロングボールを蹴り込み、ラタサがターゲットになる。後方をアレニャがサポート。ハイメ・マタは左ワイドに立つ。陣地奪回できればダイナミックなクロスを放り込んで可能性を感じさせる。

この日のバルサはハフィーニャが何度も背後を取って侵入。その度揉め事を起こして双方ヒートアップ。レヴァンドフスキはボールがないところで何度もひっ倒されていた。で、40分過ぎにハフィーニャがキレて(かどうか知らんが)裏抜けの際にガストン・アルバレスにジャンピング肘打ちを顔面にお見舞いして退場。「レヴァンドフスキがダミアン・スアレスに」ならギリギリで前後関係がわかったが、何故お前があいつに?という大技が飛び出した。前半は0-0で終了。ロスタイムは10分もあった。

後半はヘタフェがミトロヴィッチ→ポルトゥを交代。バルサはクリステンセンを下げてアブデを入れた。
57分にヘタフェのハイメ・マタが2枚目のイエローで退場。これはこれで安易すぎました。これで10人vs10人に。

65分にヘタフェはラタサとアレニャに替えてチョコ・ロサーノとボルハ・マジョラル。2人で点を取ってほしいチョイス。バルサは人数が減ってスペースがあるとシンプルにアブデのドリブルが生きてくるが、ゴール前の人数が足りない。そのアブデの裏抜けをジェネが止めた場面のノーファール判定に抗議したチャビも退席処分。
76分にヤマル、78分にアンス・ファティを続けて投入。80分にはそのヤマルからファティで決定機。
すでに0-0を目指しているヘタフェ(最初から目指していたかもしれない)と、スコアを動かせなかったバルサ。最後はアラウホのPKゲット疑惑があったが直前のガビのハンドを取って試合終了。遺恨を残す試合となった。

●ピックアップ選手
アブデ・エザルズリ(バルサ)
オサスナから帰ってきたドリブルスターは人数が減ってスペースのあるピッチを駆け抜けた。ヒーローになるチャンスはあったが得点には至らなかった。



⑨カディス 1-0 アラベス

●勝ちパターンを信じて

8/14
ヌエボ・ミランディージャ
カディス 1-0 アラベス
【カディス】’7 サン・エメテリオ

●スカッドの印象
・カディス

カピタンのエスピノやチョコ・ロサーノなど、いわゆる"カディスらしい選手"の放出が進んだオフ。そしてボンゴンダがロシアに買われていった。残留に大きく貢献したMFエスカランテ(←ラツィオ)をキープできたのは大きそう。先季はジローナである程度目処がたったハビ・エルナンデス(←レガネス)を最終ラインに加え、FWはダルヴィン・マチス(←バジャドリード)を獲得。誰が点を取るのか大会はまだまだ続く模様。

・アラベス
昇格プレーオフを勝ち上がり一年でプリメーラに戻ってきたアラベス。一年で戻れたので選手も割と一昨年のメンバーが残っている。補強はあまり進んでいる印象はなくアンデル・ゲバラ(←ソシエダ)とジュリアーノ・シメオネ(←アトレティコ)を補強したくらいだが、ジュリアーノは大怪我で離脱となった。降格したシーズンからホセルがいなくなっただけみたいな印象はあまりポジティブではないが、開幕直前にオサスナからキケ・ガルシアを獲得。FWの柱となれるか

●マッチレビュー
アラベスは5-4-1風の配置。序盤からカディスがボールを持つ不思議な展開に。7分に早速ゴールに近い位置のFKにフェデ・サン・エメテリオがニアで触ってカディスが先制。ホームチームは願ってもいない出だしとなった。
反撃を狙うアラベスはSBが高い位置へ出てきてSHと協力。CHも近づいてきて大外から侵入を狙う。左からの組み立てが多く、右SHのグリディが中央まで移動してくる形もデザインされている。カディスはポジトラで陣地回復する方法が手慣れており、早めに先制したこともあってカウンターの脅威をチラつかせながら守りの構え。
アラベスはCHのアントニオ・ブランコとゲバラのタスクが多すぎるようにも見えるが、この2人がどうにかする設計ではありそう。ブランコはDFからボールを引き取る役目も担当しており、前進の中心キャラになっている。いないとキツそう
アラベス的にもカディスの2トップが物理的に怖いわけではないので、3CBを残してさえいれば(カウンター以外)そんなに危険はないことは確認できている。

後半、57分にアラベスはキケ・ガルシアを使う。電柱に仕事をしてほしいシステムなので期待値は高そう
守り切りたいカディスは70分過ぎにエスカランテを入れる。アルカラス、ファリを中心に揉め事を起こしながら89分にそのエスカランテがハイキックで一発退場。何をしてるんだ君は
アラベスは放り込んでもPA内に説得力がなく、なかなかゴールが遠い。変なディフレクションがゴールに向かったのが一番惜しかった。逃げ切りに慣れているカディスが相手とはいえ、無策に終わったように見えて今後が不安な試合となった。正直伸び代もピンと来ない。

カディスは7分にセットプレーで取り切ってその後約90分間を逃げ切り。鮮やかにカディスらしさを出した。開幕戦から覚悟が決まっている感満載の割り切り方を見せていた。点が取れない展開ならネグレドなど別のソリューションもあった様子があり、今季もカディス節で残留を果たせるか。

●ピックアップ選手
クリス・ラモス(カディス)
相変わらず全く上手くないが、後半ロスタイムまで左右・前後に駆け回って時計を動かした。リードしている限りはピッチに残したい存在。



⑩アトレティコ 3-1 グラナダ

●まずは物量で押し切る

8/14
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 3-1 グラナダ
【アトレティコ】’45+4 モラタ ’67 メンフィス ’90+8 ジョレンテ
【グラナダ】’62 オモロディオン

●スカッドの印象
・アトレティコ

コンドグビア以外に直接の放出はなし。最終ラインにアスピリクエタ(←チェルシー)、ソユンジュ(←レスター)、ハビ・ガラン(←セルタ)、サンティアゴ・モウリーニョ(←ラシン・モンテビデオ)と派手な補強。攻撃陣にはレンタルバック組のサムエウ・リーノ、ロドリゴ・リケルメを加えている。20チームで一番充実したスカッドでタイトルに挑む。

・グラナダ
セグンダで優勝して一年で復帰。そういえばパコ・ロペスが監督やってるんでしたね。同じく一年で戻ってきたアラベスと違ってメンバーは様変わりしている。このオフにもホルヘ・モリーナの引退などがあった。補強はヘスス・バジェホ(←マドリー)、ジェラール・グンバウ(←エルチェ)、ゴンサロ・ビジャール(←ローマ)と現実路線。グンバウは2年くらいグラナダにいた記憶があるんだが気のせいだった。期待がかかるのは23ゴールでセグンダ得点王のミルト・ウズニ。

●マッチレビュー
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●ピックアップ選手
メンフィス・デパイ(アトレティコ)
同点に追いつかれた直後のスーパーゴールで嫌な空気を一掃。
フィジカルコンディションの高まりも感じられ、先季以上の結果が期待される。




開幕戦10試合が終了。
マドリーとアトレティコは順調な出だし。バルサはヘタフェの試合に巻き込まれてドロー発進。
上位候補で心配だったのはソシエダ。プレシーズンも全然良くなかったが、開幕戦でもジローナ相手にボールを保持できず受け身の試合に。アンドレ・シウバが起用されるまで全貌はわからないが、改善は必要な様子。ベティスとビジャレアルはCL権へのチャレンジが出来る仕上がりを見せた。セビージャは道半ばだが選手層は豊富。最適な配置を見つけたい。

昇格組の3チームはラス・パルマスがホームでマジョルカと引き分け。PA内の守備強度やトランジションに欠点が見られるが、強敵相手にどんな試合ができるか。アトレティコに3失点で敗れたグラナダはゴールへの道筋を準備できていて好印象。アラベスは得点パターンの確立が急務。


まだまだ構築がこれからのクラブも多いが、ECLにチャレンジするオサスナはバランスが取れていた印象。まずはプレーオフを勝ち切ってほしいね。

さていよいよ始まった欧州サッカー。楽しんでいきましょうね。U-NEXTしか勝たん。

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