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負ける時はあっさりと 34節 アトレティコvsエルチェ(A) 2023.5.14

2戦連続5得点、ここ3試合で13得点と打線爆発のアトレティコ。今週はエルチェとのアウェーマッチ。前回対戦。

2022年最後の試合で、W杯後最初のラリーガの試合だった。当時エルチェは開幕から14試合でまだ未勝利。このアトレティコ戦に負けて年内勝ち無しとなった。その後も浮上のきっかけは全く掴めず、結局前節アルメリアに負けて早々に降格が決まった。残念。ちなみにこの試合引分以下だと最下位も決まる。

オーナーがどう、などはあまり理解が深くないので特に指摘しないが、そもそも厳しかった前半戦からまともな補強無しだった冬を越えてこの結果は避けられなかった。カルモナとエンテカ借りただけじゃ流石にキツい。中堅くらいの年齢の選手も多いし、最終ラインにスピードがないのもしんどかった。そのせいかは知らんが退場者も毎年多い。


●スタメン
・アトレティコ
グルビッチ
モリーナ / ヒメネス / ヴィツェル / エルモソ
コケ / デ・パウル / ルマル / カラスコ
グリーズマン / モラタ

4戦連続の見慣れたスタメン。エルモソは中間に怪我したという情報も見たが。
CBはコスティスがベンチ入り。左利きの子だよね。

・エルチェ
バディア
パラシオス / ビガス / クレルク / ラウタロ・ブランコ
ジョン・ヌワンコ / グンバウ / フィデル / テテ・モレンテ
ボイェ / エンテカ

左は単独突破オバケのラウタロ・ブランコ。右サイドはパラシオスとテテ・モレンテが並ぶメンバー。2トップはボイェとエンテカの筋肉質系コンビ。




●前半
エルチェの非保持は5バック。5-2-3で入った。

カラスコにテテ・モレンテがランデヴーして最終ラインに吸収される。それでいてアトレティコの3CBには圧力をかけましょうという前3枚の配置はちょっと二兎を追っているように感じた。何よりライン間がスカスカでこれでは守りようもなく見えたが、最終ラインを高く保ち、FWのボイェとエンテカがパスコースを巧く消すような立ち位置を意識してどうにか形にしていた。エンテカはこんな賢い感じだったかね。アトレティコ側もスピード感に乏しく、さっさとバリオスが欲しい雰囲気だったが。というか裏蹴れば?という印象。

エルチェのこの形は、ボールを奪うとフィデルが顔を出して縦パスの入りを狙っていた。凄く良い表現をするとロシアW杯のデブライネのような。フリックを受けてゴールまで一人で行ってくれという意味でエンテカの起用なんだなと

むしろ面白かったのはエルチェのボール保持で、テーマは無理やり可変してアトレティコの選手がいないところを進もうという様子。

ジョン・ヌワンコが大忙しで右CBの位置へ落ちてパラシオスを大外へ押し出す。同時にテテ・モレンテがWG化するがカラスコがここについていく意識が希薄。カウンターを狙って、という言い訳を免罪符にしているようにも見えたが気に入らない対応だった。
降りてくるフィデルをコケが監視する関係で中央のグンバウが割とフリーになり、デ・パウル&ルマルは付近にマーク対象がおらず手持ち無沙汰になってグンバウに大きな展開を使われていた。グリーズマンが張り付けば?という感想しかないが。

途中から張り付いていた
これでエルチェの最終ラインは余裕を持ってボールを持ち、クレルク辺りから精度の良いロングボールがバンバン飛んでくるようになって、エルチェの狙っている展開が見えてきた感じ。普通にエルチェのボール保持が確定していった。どうにかしろよ

アトレティコの決定機は17分。

ルマルがカラスコとのワンツーを使ってマークを剥がして侵入。これで逆側のハーフスペースのデ・パウルをフリーにした。

最後はモリーナのグラウンダーのクロスに3人入り込んだが惜しくも合わず。こういう工夫でいいんだよ、という攻撃。ルマルの特徴の生かし方も良かった。これが決まっていたら勝ってた試合だったね。その後に似た場面を作れなかったのは何故だろう。

前半、活路になったのはアトレティコはエルモソからの配球、エルチェはフィデルの顔出しと、ラウタロ・ブランコの単独突破。特にラウタロ・ブランコのスピードはモリーナでもシンプルに止めることが難しく危なっかしかった。サイドをエグられるとクロスに上手く対応できるメンバーでもないので危険がいっぱい。エルチェの先制点はアトレティコ側のミスによるものだが、これもラウタロ・ブランコが突破を試みて得たスローインからだった。


●前半終了
先制されたが前半のアトレティコの取り組みに違和感はない。相手の配置も4-4-2か5-3-2かわからないまま始まったし、ボールを握れないわけでもない相手であり対応を見ながらやっていきましょうという狙いにも一切間違いはない。というかアトレティコは最近そうやって勝っている。

結局は5-2-3だったエルチェの配置はハイラインでスペースを消そうという狙いは良かったがボールの奪い所の設定が正直あまりわからず、IHコンビとグリーズマンに破壊されちゃうんじゃないかなと見ていたが結果無失点で耐えている。8割方裏目に出ると思ったが結果は収支プラス。ベカセッセ監督が賭けに勝ったと評していいのかもわからない。配置の攻防に勝ち負けを賭けていたのかも正直あまりわからん。

アトレティコは決定機を作りながらそれを逃し再現性をなかなか生み出せず、こういう試合で何をしてはいけないかと言えばミスをしてはいけない。そしてミスが出た。リードされて前半を折り返す。では後半は無理やりこじ開ける展開になる。先季よく見た構図である。


●後半
アトレティコのビルドアップがエルチェの3FW+2CHのプレスをなかなか外せなくなっていく。
そうなるとアトレティコはIHコンビ(デ・パウル&ルマル)の工夫ですよ、という様子だがデ・パウルはエンテカに背中で消されるとズルズル低い位置に落ちていって効果的に立てず、ルマルは怪我して53分に交代。君はいつもそうだな。代わりはコレアだった。バリオスが良かったと思うんだけど、2CHの近くでボールを引き出せればいいのでまあコレアでもいいと思う。怪我人はいいとしてデ・パウルは単独でプレスに行って空転したりと悪いところばかりが目立った。なぜコンディションが悪い日に限って動きたがるんだ。

それよりも最終ラインに問題が出てきて、クロス爆撃を連発されてヒメネスが明らかに過負荷。そして後半になってからエルチェはエンテカをヴィツェル側に置いてくる性格の悪さを見せてきて度重なるトランジションでヴィツェルがガス欠。そもそも駆けっこしてエンテカに勝てるわけがないのに先にエネルギーも無くなるという分の悪い攻防になった。しかも得点が必要なアトレティコは61分の選手交代でエルモソ→レギロンでCBを2枚にして押し込みを狙う。過負荷だったヒメネス&ヴィツェルのタスクとカバー範囲が拡大する交代は少し意外だったが、他の選択肢があったかと言われると微妙。同時にデ・パウル→バリオスをようやく交代。

トランジションを増やしたことも悪いことばかりではなく、62分にグリーズマンとカラスコで決定機を作り、コレアの裏抜けやポケット取りなども見せてはいた。モラタもとんでもないスピードで単独で裏を取ったが1vs1のセンスが絶望的に欠落していた。
そしてエルチェは配置のキーマンだったラウタロ4ブランコとエンテカの2人がどっちも故障っぽい感じで交代することに。アトレティコはここでエンジン掛けたかったけども。

70分過ぎからはもう裸で駆け回ってる感じになり、変な失い方をしてはカウンターで突っ走られてCBがヘロヘロになっていった。エルチェも最下位らしい詰めの甘さで全然2点目が入る雰囲気はなかったが。
アトレティコの攻撃は駄目な日はこんなもんですねという感じでモラタにいくつか決定機を作ったが彼の日ではなかった。全体的に身体が重そうだったこと以外、アトレティコの取り組みに最近の試合との違いは特に感じなかった。決まらなければこんなもんでしょう。


●試合結果
せっかく先週マドリーの上に出たのに負けた。残念。
失点はミスだし説明することもないが、なんだか身体が重そうな選手がちらほら。特にデ・パウルはキツそうだった。理由は知らないしいいんだけど、60分まで引っ張る必要はあったのかね。別に負けてもいいとは言わないけど。どう見ても駄目そうだったのに。ヴィツェルもそう。1.5週空いて何がキツいのか知らんが。

試合に臨む姿勢・取り組みに、特に最近の試合とのギャップは感じていない。負ける時はこんなもんだろという感想で、別にここが駄目だとか誰が駄目だみたいな感想もそんなにない。オブラクがいないとこういう負け方もあるという切なさはあれど、それを何かの教訓にするタイミングでもないでしょう。第2GKを補強しましょうねというだけの話で。

バリオスとレギロンはもう少し長い時間見たいと思っていた選手なのでちょうどいいと思ったが、ノーインパクト。これが負けたことより残念だったかもしれない。タイトルが消えて怪我人が出始めてスタメンが固定されちゃいました、じゃあベンチにいる選手達はどうなんですか、この選手なんてどうですか。っていうテーブルにも載ってこない。バリオスなんてこんな試合突っ立ってて止めて蹴るだけでもいいんだから頭使いなさい。
シメオネも試合に飽きたのか最後はカルロス・マルティンを使ったが彼もノーインパクト。バックアップがいるに越したことはないポジションだが彼が来季のスカッドにいることはないでしょう。

さて34節はソシエダもジローナにドロー。まだ7ポイント差ある。あと4試合。


5/14
エスタディオ・マルティネス・バレロ
エルチェ 1-0 アトレティコ
得点者
【エルチェ】'41 フィデル


●ピックアップ選手
エルモソ
中間は別メニュー調整という話もなんのその。キレのある動きと正確なサイドチェンジでビルドアップを推し進めたがそれが生きる試合にはならず。レギロンを入れるところで交代になったのは大事を取ってかなと

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