絶望はすぐそこにある CL5節 アトレティコvsミラン(H) 2021.11.24



CL大一番。アトレティコにとってもミランにとっても、必勝の一戦となった。

ここまでアトレティコは1勝1分2敗。
リバプール相手に2つ負けて、実質ポルトとの2位争い。
ミランは1分3敗で最下位。ただし、ここで勝つと可能性が見えてくるし、ここで負けると3位でのELもなくなるので、3ポイント必須。アトレティコにとってもここで負けるとELすら逃す可能性のあるヒリヒリする試合である

欠場はアトレティコが前節レッドのフェリペと、トリッピア、フェリックスが怪我。
ミランはFWのレビッチにGKメニャン、最終ラインはカラブリアとトモリが怪我という情報。なかなか上手くいかないものである
ミランは直前のリーグ戦でフィオレンティーナに4失点で今季初黒星(3-4)。どっちも酷いミスの出る試合だったが。


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
サヴィッチ / ヒメネス / エルモソ
ジョレンテ / コケ / ルマル / デ・パウル / カラスコ
グリーズマン / スアレス

長らく出場停止だったサヴィッチがようやく今季CL初出場。形は3-5-2を選んだ。


・ミラン
タタルシャヌ
カルル / ケアー / ロマニョーリ / テオ・エルナンデス
ケシエ / トナーリ / サーレマーケルス / ブラヒム・ディアス / クルニッチ
ジルー

4-2-3-1だと思われるが前線の配置は後ほど。

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●前半〜臆病なアトレティコと、貫いたミラン〜

まず前半、ボールを握ってプレーしたのはアウェーのミランだった。ビルドの構築はケシエorトナーリが最終ラインに落ちて後ろ3。
フィオレンティーナ戦ではケシエが積極的に落ちていたように見えたが、この日はトナーリが真ん中に落ちているケースも。ただ、全体的にはケシエが左に落ちるケースが多かった。これが基本形だったので、解説

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この場合、この日はトップ下だか何なんだかよくわからん配置にいるブラヒム・ディアスがトナーリと並列くらいまで降りてくる。本当はゴールに近い位置でプレーして欲しいんだろうけど、この日はケシエ、テオ、トナーリとの距離が近く、前進においては効果的な良い形だった。サーレマーケルスまで中央レーンに入り込み左側でオーバーロードを作ってとにかくここを押し込む狙いのミラン。


そして33番のクルニッチ。彼が2トップなんだかトップ下なんだか左アウトサイド(レオンの代わり)なんだかいまいちわからない配置で関わる。左側に人数をかけた攻撃がよく見られた。次に書くがクルニッチは守備でもディアスとテオの負担軽減の役割をこなしており、この日一番戦術指示を受けていた選手だと思われる

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ディアスが低い位置で構築に関わる場面。大外を取るのはクルニッチ。この日はとにかく気の利く汗かき役として起用されていた様子

こんなに人数かけてネガトラはどうすんねん、というところだがロストするとサーレマーケルスがどこからともなくすっ飛んできてファーストディフェンスをしていた。効率的なんだかやむを得ずなんだかわからない謎設計である


で、アトレティコの撤退は4-4-2だった。そういえばミラン戦は前回も後ろ4枚だったね。
カウンターでカラスコを使おうという意図はハッキリと見られたが、適材適所の意味ではあんまり見えない部分も。相手の出方によって配置をいじれる11人でスタートしたのかなと思っている。


一方のアトレティコの保持、ミランの非保持。

アトレティコはオサスナ戦によく似た、エルモソが高い位置を取る4-4-2にも見える3-5-2、という形。ジョレンテがどれだけ効果的に高い位置を取れるか。

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ミランはまず、ディアスを一列目に押し出して4-4-2で配置。ライン間封鎖の意図がありそうだが、クルニッチは良い可動域をしている。ディアスの守備負担を減らすと同時に彼を前残りさせるために必要な仕事だった。面白いな。

で、アトレティコはエルモソにボールを出す。が、ミランが仕込んでいた狙いだったように見えた。

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エルモソにボールが出たタイミングでディアスがコケを消す。ルマル、カラスコを捕まえて、エルモソは出しどころが消えた。

前半、アトレティコはスアレスとグリーズマンに背後を狙う意識が乏しく、”そんな簡単に止まるか?”と感じるレベルで簡単に止まった。正直ガッカリするレベル。ミランのプレスも、ボールを奪いきる程の強度で来ていた訳でもなく、ただただこの日のアトレティコが臆病に見えた。一体何を恐れていたのか?


●前半終了
お互い決め手に欠いたまま前半を終えた。
ただ、ミランの印象の方が明らかに良かったのは言うまでもない。
アトレティコは珍しくジャッジに対してもネガティブなリアクションを繰り返した。本当に何があったのか、というレベル。

ミランは最終ラインに欠場者が多く、わざわざ一手間加えて丁寧に前進しているが、そのせいか普段よりもミスやリスキーな失い方が少なく、結果的にカウンターを受ける場面はなかった。


●後半
後半。開始早々にルマルに裏抜けされるなど、相変わらず茶目っ気のある緩さを見せてくれるミラン。
引き続き決め手を欠く両者だが、セカンドボールの反応が速いミランが徐々にプレーエリアを高くしていく。

とにかく1点が必要なミランと、今日は勝てそうもないアトレティコ。

64分に選手交代。
アトレティコはコレアとロディを入れる。
ルマル、エルモソがアウト。
ミランは4枚替えでジュニオール・メシアス、バカヨコ、フロレンツィ、イブラヒモビッチを投入。どんどん前がかりに。

アトレティコは投じた策全てが得点をするためには感じられず、ただ時間が過ぎるのを待つだけになった。81分のグリーズマン→コンドグビアの交代で、完全に3ポイントを諦めたように見えた。真意はわからない。


・よく走ったミラン
勝負が決したのは87分。ミランはケシエがこの時間でもよく走った。にしてもあまりにも緩かったアトレティコ。何故そんなところをガラ空きにした?クロスに飛び込んだのは途中出場のメシアス。歓喜のミラン。絶望するアトレティコ。

ロスタイムにクーニャに決定機が来たが、決める事が出来ず。


●試合結果
しかし、ミランは最後の最後まで落ち着いて攻めた。焦らず、急がず。それだけピオリ監督の戦術に信頼を置いているのだろう。最後まで信じるものを持ち、全員でよく戦っていた。

対するアトレティコは、前半と同様後半も腰が引けたまま。勇気を持って戦う事が出来なかった。はっきり言ってCLに相応しくない戦いだ。この試合に関しては正直よくわからない。別のチームを見ているようだった。


これでB組は3チームが最終節に2位から4位まで可能性を残す事に。まだ終わったわけではないが、強気な事を言える状況でなくなった。絶望はすぐそこにある。


11/24
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 0-1 ミラン
得点者
【ミラン】’87 メシアス


●ピックアッププレー
無し


●ピックアップ選手
無し

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