存在しないライン間 CL B組4節 ミランvsポルト 2021.11.3


さてサンシーロ。
3連敗のミランはここで勝ち点が取れないとほぼ終了。一方のポルトはここで3ポイント取れると大きく大きくグループ突破が近づく試合。


●スタメン
・ミラン

タタルシャヌ
カラブリア / トモリ / ロマニョーリ / テオ・エルナンデス
ベナセル / トナーリ / サーレマーケルス / ブラヒム・ディアス
レオン / ジルー


いつの間にかテオとブラヒム・ディアスが復帰。
GKメニャンがいない以外はだいたいメンツが戻っての決戦


・ポルト
ディオゴ・コスタ
ジョアン・マリオ / エンベンバ / ぺぺ / サイドゥ
グルイッチ / セルジオ・オリベイラ / オタビオ / ルイス・ディアス
タレミ / エバニウソン

勝ったホームゲームとはCHウリベ→グルイッチ、左SBのウェンデル→ザイドゥが変更。

スタメン



●前半
前半の45分は3節同様ポルトのペース。
前節の勢いそのままにプレスの圧力でミランを圧倒する。

前プレ

めちゃくちゃに人に行く。前を向かせない。縦パスは蹴らせない。
個人的にはベナセルはもう少し抵抗できないかな、と思ってしまうが。前節も思っていた。

ミランにとっては前節にはいなかったテオ、ブラヒム・ディアスがいる。この2人から打開したかったがテオはともかくとしてディアスは明らかにコンディションが途上。この強度の試合はまだキツかった。


・狙われたベナセル
早々6分に、ポルトが前プレのボール奪取から先制。ボールに近づいてくるベナセルが明らかに狙われた。

ベナセル

CBからのボールの受け手がベナセルしかおらず、次のパスコースを完全に消され、グルイッチの激しい寄せで奪う。最後は全員がルイス・ディアスへのお膳立てを意識していた。

おそらくCBに近づいて受けようとするベナセルに狙いを定めていた。左サイド側を向かせてテオ、レオンを消して後はファール覚悟で後ろから奪い取る。デザインされた前プレ。ミランはメニャンがいればと思わずにはいられない。


・ポルトのライン間圧縮
とにかくミランにスペースを与えないポルト。
前から人に圧力をかけて楽に前進させないと同時に、3列の幅をとにかくコンパクトに保つ。

14:40の配置

画像4


ライン間でボールを引き出したいサーレマーケルスは全く呼び込む幅はなく、同じくディアスは堪らず落ちてボールに触りに来る。この場面ではベナセルの選択はレオンの裏だった。

23:10の配置

画像5


やりすぎなくらいのコンパクト。
この場面ではロマニョーリ経由でレオンの足下につけたが背後から寄せられて失っている。逆襲でCKを奪ったポルト。グルイッチの際どいヘディングに繋げた。

トナーリがサリーしたりと、どうにか地上戦で前進したいミランだが、ポルトの硬い守りを動かせない。
大外で浮いているテオ、レオンの足下を取り所に設定されてズタボロにされた。
ポルトはセットプレーと、時折見せるルイス・ディアスの突破でチャンスをいくつも作り、ミランはただただ疲弊していった。ミランの一番のチャンスはロスタイムのロングカウンターだったと思う。


●前半終了
ポルトの圧力、圧縮の勢いに屈し、追いかけ回されたミランの45分間。効果的なビルドアップは出来ず、奪われてはショートカウンターに晒された。
突破口にしたいブラヒム・ディアスはトップフォームからは程遠く、脆さを炙り出される前半となった。

ポルトは後半も同じ強度を保てるのかが見もの。保てないでほしい、という気持ちも正直ある。保てちゃったら怖い


●後半
ミランは負傷したカラブリアに替えてカルルin
ビルドアップは変わらないが、前線の動き出しが変わった。

後半

レオンとブラヒム・ディアスが背後を狙う
ジルーが落ちてきてラインを動かすイメージで背後を狙うように。

61分、セットプレーからミランが追いつく。オウンゴールではあったが、ジルー、カルルの気合。

ポルトは流石にキツくなってきて、スライドがズレ始め、ミランは幅を使い始める。
83分にイブラヒモビッチがテオの折り返しを流し込んだが、オフサイド。

ポルトは右サイドまで走り回っていたルイス・ディアスもさすがのガス欠。前のタレントを入れ替えながら戦ったが、同点にされた以降は勝ち越しの可能性は作れず、耐える試合に。


●試合結果
ドロー。ホームのミランはようやく初の勝ち点。
前半のやられ方を見ればドローは御の字だが、後半は逆転可能な内容だっただけに。最終ラインを押し下げる作業で徐々にワイドを使えるようになって押し込めた。しかし逆転のゴールは奪えず。

対するポルトは前半をほぼ完璧にやりきったが、トーンダウンした後半、同点にされて以降は脅威を作りだせず、防戦一方に。陣地奪回の手順がロングボールのセカンドボールに頼りがちで、一度リズムを失ったり疲労が出てくると解決策がなくなる。保持で落ち着けないタイプである。とはいえ前半のペースが90分持ったら流石に怖いので少し安心。

これであと2つ勝つしか無くなったミランと、守るものができてしまったポルト。どちらもアトレティコ戦がポイントになりますね。


11/3
サンシーロ
ミラン 1-1 ポルト
得点者
【ミラン】’61 OG(エンベンバ)
【ポルト】’6 ルイス・ディアス


●ピックアップ選手
フィカヨ・トモリ(ミラン)
守備対応もビルドアップの介護も仕事が多かったが我慢した。見れば見るほど良い選手だよね

テオ・エルナンデス(ミラン)
彼がいると色々無理が効く。「そこ準備してなかったわ」というところをどうにかしてくれる非常に便利な選手。アトレティコに帰ってくる気はないかい?

セルジオ・オリヴェイラ(ポルト)
プレースキックの鬼として良いボールを連発。もっと騒がれても良い選手だと思うけどね

マルコ・グルイッチ(ポルト)
前プレの奪いどころのポイントとして機能。とにかくボールに強く、先制のシーン含め奪取後も冷静沈着。この試合の重要な役割となった

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