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こういう3ポイントは重要ですよ 16節 アトレティコvsアルメリア(H) 2023.12.10

今季前半戦の重要な連戦、フェイエノールト戦、バルサ戦を1勝1敗となったアトレティコ。一旦リセットしてホームでアルメリアと戦う。

アルメリアはここまでめちゃくちゃ最下位。最近毎年のように未勝利で年を越すクラブがあるからみんな気にしなくなっている気がするがアルメリアもまだ未勝利。0勝4分11敗。前節はベティスに0-0で引き分けているので、ハマればどうにかなりそうだがそういうのは2年前のレバンテでみんな飽き飽きしている。ちなみにこの試合が今季初めてのクリーンシート。

ミッドウィークにはUDバルバストロというクラブと国王杯の2回戦を戦い、0-1で敗れている。典型的な残留争いクラブのムーブ。セグンダ・ディビシオンR.F.E.Fだから4部かな。
スタメンのうち前線半分は控えとBチームの選手を起用したが前半で先制されると後半頭からアリバス、ポソ、バトストンを投入しロベルトーネ、ラマザニまで出場することになった。そして1点も取れませんでした。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヴィツェル / アスピリクエタ
ジョレンテ / デ・パウル / コケ / リーノ
グリーズマン / コレア / モラタ

エルモソが今季初めてスタメンから外れた。
アスピリクエタを起用。サヴィッチは12節ラス・パルマス戦以来のスタメン。

・アルメリア
マクシミアーノ
チュミ / エドガル・ゴンザレス / モンテス / アキエメ
ロピ / ロベルトーネ / ポソ / エンバルバ / アリバス
バチストン

5バック風。配置などは後ほど。




●前半

先週のバルサ戦からのリバウンドが求められたアトレティコは積極的にボール持とうぜの姿勢を見せる。
チーム状況のよろしくないアルメリアからすると失点しないために後ろ重心で試合に入っており、アトレティコがボールを持てた理由は割と相手都合であった。それはそれ。

アルメリアは5-2のブロックを確定させて前の3枚、アリバス、エンバルバ、バチストンの3人は流動的。3CBとコケ、デ・パウルの5人をどこで止めるか、という調整を行う。攻撃に転じた時にこの3人の立ち位置が、アリバスがトップ下のような位置にいた方が良かったり、バチストンは真ん中から右に逃げた方が良かったり、という都合と噛み合わせながら色々試していた。エンバルバはサヴィッチがタイマン対応。
全体的には双方前後に5vs5が作られるような人数バランスになり、当然相手の5バックに対してライン間で縦パスを受ける動きが効果的になる。

コレアのライン間ワーク

コレアの得意分野。5分にはここからアルメリアの最終ラインの鬼緩対応でグリーズマンが抜け出して簡単に決めるがオフサイドだった。でもこういう急造感のある3CBが誰を捕まえるねんみたいな苦しみはアトレティコも散々経験してきたのであまり馬鹿にする気にはなれない。

アトレティコは、「そちらが同数で戦うというならこちらは上等です」という感じで同数を受け入れ、WBの対人守備もそのままやっていた。大外は負ける可能性がない箇所なので特に違和感はない。そうなるとアスピリクエタが相手HVのところまで飛び込んできて人数差のバグを生む動きが効果的になり、アトレティコは左ハーフスペースから突破口を見つけ始めた。

エルモソとはまた違う攻撃の特徴を一発で出せるアスピリクエタは流石です。これがクオリティ。

ちなみに前節に続き真面目くんリーノは自分の近くにグリーズマン&アスピリクエタが寄ってくる環境で"レーンを開けた方がいいんでしょうか"という位置取りが増えた。彼は大外に突っ立ってる方が優位を作れるのであまり思考ストレスを増やしたくないが、一人で勝手に悩んでるのはどうしたらいいんでしょう。味方の距離が近い時はリケルメの方がやりやすそう。この日も後半のメンフィスとの関与とか良かったね。

先制点は上記の"同数を受け入れた"ところから生まれている。

同数でやると決めたからにはチュミのところに出てくるのはグリーズマン。同数なのでロベルトーネまでコケが出てくる。当然ポソにはリーノがついていて出し所が全てなくなり、体勢の悪かったチュミからグリーズマンが引っ掛けた。モラタがセサル・モンテスとGKを振り切って先制。グリーズマンのプレスが良かったというよりコケのはっきりした矢印が良かったかなと。あとモンテスは軽い。
ギリギリ擁護するとモンテスからチュミへのパスはちゃんと遠い足(左足)に渡していたのでGKに戻せたんじゃないかというのはある。

2点目はアスピリクエタのドリブルゲインで1stラインをあっさり突破し、デ・パウルの配球で右サイドでジョレンテ&グリーズマンが2vs1を作って簡単に突破。コレアは10月1日カディス戦以来の久々のゴールとなった。

先制以降のアトレティコは、数的同数とはいえコケがロベルトーネを追いかけ回す事はなくなり、割と中央で簡単に前向きを作られ始める。この辺の不穏な感じを放置し続けたツケをここから試合終了まで払い続ける事になっていく。

アリバスがコケ周辺をうろちょろし始めると、CHとWBを捕まえきれなくなりCHに前を向かれ始めた。この時間帯にバルサ戦同様プレス回避で抜け出すコンビネーションが上手くいかないシーンが目立ち、着々と押し込まれ始める。
終盤には5分間くらいCKを浴び続ける謎時間もありながら、ひとまず2-0で前半終了。


●前半終了

序盤からアルメリアの守備が怪しく、簡単に2点取った(グリーズマンのオフサイドもあった)が、ペースを手離してから守備の時間が増えたのはよろしくない。ちなみに個人的にはこの試合はラツィオ戦の重要度と比較した時に勝てばあとはどうでもいい試合だと思っているので前半終了までグダグダする程度なら特に気にする必要もないと思って見ていた。誰が何分までプレーするのかも得点差に依るだろうし、こういう試合は難しい。
別に悪口ではないがモラタなんて楽勝だろうからあとは点取る仕事だけやらせてくれという態度が見え見えだった。別にストライカーなんてそれでいいが。アトレティコ的には"でもコレアのプレータイムは確保したいしメンフィスもプレーさせたいし"という難しいバランスにハマっていった。


●後半

交代なしで後半。正直失う物のないアルメリアは0-2である以上もう何点取られても一緒であり、捨て身で飛び込んでくるのがかなり厄介だった。いくらなんでもアトレティコは失う物が多すぎる。トランジションで後手に回り、2,3人PA内に突っ込んでくる攻撃に序盤はめちゃくちゃだったポソのクロスが合い始め、リターンの少ない耐える時間が続いていった。
しかもこの時間失う物がなさすぎるアルメリアのファール上等のコンタクトでアトレティコは疲弊していった。負けてもいいとはもちろん言わないが、日が悪すぎる。お付き合いする試合ではない。ちょうど良い感じにうざかった。

アトレティコはプラン通りの選手交代を優先。60分でモラタとデ・パウルを下げてラツィオ戦に備えさせる。メンフィス&サウルを30分使うのも計画通り。
まあ2点取られる事はないだろうなという甘読みもあり、じゃあ3点目を取りに行く姿勢は?という内容の後半だったが、選手達もそう思っていたのだろう。バルサ戦で「意思統一が」なんて話をしたが、この試合も似たような内容。ラツィオ戦に頭が傾き始めており難しかった。

そんな状態で62分に失点する。偶然抜け出された形だったがもう一回偶然があったらポイントを落とすわけで。ところでアトレティコキラーのバチストンはこれが対アトレティコ6ゴール目。異なる4クラブでアトレティコから点を取っているのは彼だけらしい。しかも元アトレティコ所属という情報量の多さ。
その後もボールを握り返せないアトレティコはアリバスとエンバルバの連携などでピンチを招き、その度オブラクが止め続けた。


結局75分の交代もプランを優先。
アスピリクエタ、コレア、リーノを下げてヒメネス、モリーナ、リケルメを入れた。
終盤はメンフィス&リケルメで複数チャンスを作り、ジョレンテはボールが出てこなくても駆け上がり続け、最後の最後までトドメをさせず、とんでもない数のCKを浴びながら3点目を取りに行くのか守り切るのかふわふわしたままスコアを維持し、どうにか勝ち切った。


●試合結果

"2-1で勝利"という結果だけが手元に残った。
正直に言って、2-0になった時点で「この試合に勝つことだけを考えてください」と言われればいくらでも手の施しようはあった。モリーナを入れて5-4-1で構えて良かったし、リーノをどこまで引っ張るかなんて議題もなかったし、コレアもリードした時点で下げても良かった。この試合に勝てば優勝の試合だったらそれで良かった。この試合の議題は2つだけで、まずラツィオ戦が念頭にあるという事。そのためにベンチに下げたい選手がいる。起用したくない選手がいる。プレータイムを分け合う必要がある。その上で2つ目の議題、3ポイントは必ず取れという中で、実は両方遂行できている。だからこれでいい。それでいいのかマッチレビュワー。

個人的にだが、この試合がなぜこうなってしまったのかは説明してきた通りだし、アルメリアの試合をおそらく大多数の人よりはたくさん見ている(今季9試合目)身としては、こんなものだ。4点も5点も取れるとは思っていないし、逆に同点に追いつかれるともあまり思っていなかった。でもミッドウィークの国王杯でシュンとなってたりしなかったらちょっと危なかったかもね。

アトレティコはフェイエノールト戦、バルサ戦と重要な試合を戦ってきて、ミッドウィークには重要なラツィオ戦が待っているという状況であり、変な試合になる要素は多分にあったタイミングだった。アルメリアだって必死だ。今日は勝った。マドリーは引き分けた。バルサは負けた。必要だった3ポイントを積んだのはアトレティコだ。
次はラツィオ戦。そうして続いていく。興味深い試合であった。これもまた一つの、Partido a Partido.


12/10
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-1 アルメリア
得点者
【アトレティコ】’18 モラタ ’22 コレア
【アルメリア】’62 バチストン


●ピックアッププレー

アスピリクエタの特徴が出た前半24分の場面をピックアップする。

ビルドアップに成功してグリーズマンからパスを受けたデ・パウルが前向き。モラタを狙った縦パスがエドガルに引っ掛かりロスト。右サイドの守備に参加していたバチストンが最初のパスを引き取りアリバス、エンバルバへ縦パスをつけて局面をひっくり返そうとした場面。ここでは後方待機していたアスピリクエタが鋭い矢印を出して一気に囲い込みボール奪取。前を向く事すらさせなかった。

アスピリクエタは自分の背中のマークを捨てるのが上手い。人数関係を把握し瞬時に自分のスピードとパススピードを計算に入れて前に飛び出すタイミングが正確。スピードに難がありまずは後ろに下がる事を優先しがちなヴィツェル&エルモソコンビとは違う特徴を発揮した。アトレティコのDFは本当にみんな違ってみんな良い。この日はサヴィッチだって、圧倒的な対人能力とアスピリクエタの背後までカバーする守備範囲を発揮したし、ソユンジュだって、ヘイニウドだってそれぞれの良さがある。この日の守備は良かった。


●ピックアップ選手

ジョレンテ
右サイドの縦挙動を90分繰り返して、フラストレーションを溜め続けていた。もう一点分くらいの仕事はさせてあげたかった。お疲れ様。

サヴィッチ
久しぶりの出場だったが問題ないクオリティ。たまには休むのもいいね。

メンフィス
スペースがあり相手がハードにマークできない環境で投入され、自由自在にボールを動かした。あとは最後のタイミングのところだけ。

オブラク
仕事の多い試合で4つのセーブ。失点シーンも訳のわからない反応で一度は止めていた。

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