想定外と想定外と、また想定外 CL3節 アトレティコvsリバプール(H) 2021.10.19
さてCL3節!
週末のグラナダ戦が不意に延期となったアトレティコ。代表明けで思わぬ休養をもらえた。ラッキーと受け取ろう。
対するリバプールはワトフォードとのアウェーゲームを戦ってマドリード入り。疲労度は押して測るべし
まあ対戦相手が監督変わりたてホヤホヤだったり色々あった試合だが、普通に5-0で勝った。疲れてヘバる、みたいな事を期待するのは無理そうである。ちなみに南米予選を戦ってきたアリソン、ファビーニョの2人は直接マドリード入りしているらしい
アトレティコ選手達の中間の代表試合出場時間はこちら
🇺🇾 ヒメネス
10/8 コロンビア戦 60分
10/11 アルゼンチン戦 出場なし
10/15 ブラジル戦 出場なし
🇺🇾 スアレス
10/8 コロンビア戦 45分
10/11 アルゼンチン戦 90分
10/15 ブラジル戦 90分 1ゴール
🇦🇷 デ・パウル
10/8 パラグアイ戦 67分
10/11 ウルグアイ戦 65分 1ゴール
10/15 ペルー戦 90分
🇦🇷 コレア
10/8 パラグアイ戦 出場なし
10/11 ウルグアイ戦 出場なし
10/15 ペルー戦 出場なし
🇸🇮 オブラク
10/8 マルタ戦 90分 無失点
10/11 ロシア戦 90分 2失点
🏴 トリッピア
10/9 アンドラ戦 90分
10/12 ハンガリー戦 出場なし
🇪🇸 コケ
10/7 イタリア戦 75分
10/11 フランス戦 15分
🇧🇪 カラスコ
10/8 フランス戦 90分 1ゴール
10/10 イタリア戦 87分
🇫🇷 グリーズマン
10/8 ベルギー戦 90分
10/11 スペイン戦 90+2分
🇲🇽 エレーラ
10/7 カナダ戦 80分
10/10 ホンジュラス戦 90分
10/13 エルサルバドル戦 27分
リバプールは知らん
ジョレンテ、サヴィッチ、クーニャが怪我で召集見送りになったため少なめだった。言っちゃ悪いけどW杯予選は別としてネイションズリーグなんて選ばれなくていいだろ
ヒメネスの怪我の具合は如何程か
さてこのB組。この試合が諸々の行く先を決めてしまいそう。もちろんミランとポルトどっちが勝つのかも重要だけどね
リバプールはここで3ポイント取ればもう1位抜けが決まりと言える。アトレティコはミランに勝てたのでここで引き分け以上だと安心感がある。負けるとややこしくなるのでここはゼロでいきたい試合
●スタメン
久しぶりのスタメン!
・アトレティコ
オブラク
フェリペ / エルモソ / コンドグビア
トリッピア / コケ / ルマル / デ・パウル / カラスコ
フェリックス / グリーズマン
サヴィッチの出場停止は4節まで。なんとコンドグビアを最終ラインに入れるが、"3CBの継続"のためにどうするか、という視点に立てばむしろこれ以外の選択肢はないわけで、納得
クーニャ、ジョレンテ、ヒメネスの怪我組は結局全員ベンチから。
・リバプール
アリソン
アレクサンダー=アーノルド / マティプ / ファン・ダイク / ロバートソン
ヘンダーソン / ケイタ / ミルナー
サラー / フィルミーノ / マネ
アリソンが戻った。ファビーニョはベンチから。フィールド10人はワトフォード戦と同じメンツで
さて大一番
●前半
・シメオネの用意した守備プラン
アトレティコは5-3-2でのブロック守備を選択。
対リバプールとしてシメオネが準備したプランは、おそらく下記の通りだと考える。ゾーン別に分けて解説する。
・ゾーン1
ゾーン1では2トップでアンカーを使わせず左右どちらかを選択させる(右ならアーノルド、左ならミルナーが落ちて大外にロバートソンとなる)
CBのロングボールは警戒しながら、SBの持ち上がりに対して真正面からIH(デ・パウルとルマル)が寄せる事で持ち上がりを牽制
・ゾーン2
ゾーン2ではIHとWBで相手SBを最低限警戒。アーノルドに持ち運ばれる部分はやや許容。サイドチェンジした先のロバートソンに対してはWBトリッピアが付く。ここはかなり強めに寄せて牽制する。
サラーとマネにクリーンなボールを入れさせない事が前提で、幸いリバプールの中盤の構成的にもCHから組織ごと破壊される事はなく、警戒するのはマネ、フィルミーノが落ちてボールを引き出す動きに限定する
リバプールは右の大外をサラーが取る。ケイタはワイナルドゥムがやっていたようなタスクで、いなくなったFWの位置に入るパターンが多い。ヘンダーソンが普段やっているように大外をサポートされる方が守りにくくなるので、ここは助かる。
・ゾーン3
ゾーン3では放り込みに対して急増3CBがどこまで我慢できるか。サラー、マネにシンプルな1対1の勝負をさせず、全体のブロックで対応する
といったところだと思う。
プレビューツイートに照らし合わせると、
・相手SBに誰がどこまで行くのか
→ゾーン1ではIH(デ・パウルとルマル)が真正面から寄せて前進阻害。撤退後はIHとWBで監視
・アンカーの消し方
→2トップで消して無力化する。経由させない
・ラインの高さ(低さ)設定
→ライン間にボールを入れさせず、裏を取られない高さを調節。一番使われたくないGK-CB間へのボールは阻止
・どこで対人しようとするのか
→SBからSBのサイドチェンジに強く寄せて狙う
相手CHが前を向いたところ
サラー、マネとの1対1を避ける
かなと。
良く出来た部分を挙げるとすると、ゾーン別の対応の共通理解がよく、変なタイミングでライン間で前を向かれたり、裏へのスルーパスでGKと1対1を作られる、といったいわゆる"崩された場面"は90分通じて1つもなかった。ちゃんとゾーン1ではトップの足下に付けられない高さ。相手が侵入してくるに連れ、GK-CB間にボールを入れられない低さへと微調整ができた。この辺りはさすがアトレティコの守備、というところだった。が、実態は開始早々に2失点した。その内訳を確認する。
・CBが泣きどころになる形が苦しい
人数バランス的には悪くないのかもしれないが、やはり如何せんCBの質で圧倒的に劣る。
マネ、フィルミーノが落ちてボールを受ける動きに、フェリペが出過ぎるとコンドグビアを晒す事になるのが不安。ほぼ無防備になってしまうので思い切ってボールにプッシュするような守備は難しく、どうしてもコケ周辺で計画的にボールを奪うような囲み込みの守備が出来てこない。
それと、例えば左からのアーリークロスで晒されるのはコンドグビアとエルモソである。これがそもそもの泣きどころになってしまうのが辛い。
先制点はまさに上記の2つから。
マネがポストになってロバートソンが高い位置。一度跳ね返されたが、ロバートソンが再度クロス。
その抜けた先にサラーが待っていて、カラスコ相手の1対1の状況を作られて侵入を許す
2点目。
ロバートソンにデ・パウルが出ていく。ちょっと行き過ぎた感はあったが、フィルミーノに大裏を取られそうだったので仕方ない。中盤が2枚で晒される。
一回裏に抜けたはずのフィルミーノがもう隙間でボールを要求してるのが憎い。捕まえきれない。"フィルミーノのランニングでラインを下げられ、降りていくフィルミーノを追いかけて行く事ができない"という、CBからしたら舌打ちしたくなるほど歯痒い状況だ。空いた右ハーフスペースにアレクサンダー=アーノルドが侵入してくる
アレクサンダー=アーノルドの立ち位置が良かった。よく見えている。内側に入ってきてのアーリークロス。跳ね返しが甘く、ケイタにシュートを打たれる。試合を終わらせそうな2点目
ここまでで13分である。絶望感があった。5,6点いかれるんじゃないかという展開に。
・サラーのラストサードでの1対1
・フィルミーノの上下動
・SBの持ち出し
を、全部やられてしまったので、準備したプランそのものが通用しなかった感がある。シメオネの設定した局所で相手をハメられず、効果的とは言えない前半になった。
・突然の反撃
しかしアトレティコはここから反撃する。きっかけを作ったのはフェリックスだった。
単独でボールキープしてチームを前進させた。18分頃だったが、相手陣内で前向きにプレーした事自体、チーム全体でこの試合で時初めてだったのではないか
そこからCKを得て、ショートコーナーからルマルが1枚剥がしてクロス。コケのシュートをグリーズマンが触ってゴール
・同点に
34分同点に。ピックアッププレーとして後述する。
シメオネの中にはエルモソ、カラスコ、フェリックスの関わりで打開し、グリーズマンで仕留めたい、という狙いは確かにあるだろう。ただ、相手に守備をセットされたところから本当にこの関わりだけで決めてしまったのは脱帽。フェリックスはここのところ状態がとても良く、いよいよ脱皮の可能性を感じる。40分にも単独カウンターでシュートまで行ったがアリソンの好セーブに阻まれる。
2得点のグリーズマンも、代表明けだが今季ベストの出来。スピード感が戻ってきて自信も感じた。守備でも、なんだかわからないけど1人でボールを引っ掛けちゃう予測守備は健在で懐かしくもあった。
●前半終了
どうなってしまうのかと不安になる立ち上がり15分だったが、何故か追いついた。
フェリックスの質で攻勢に出られた部分はあったが、リバプールのコンディションが相当悪かったと考えるのが自然だろう。即時奪回の囲い込みも遅く、最悪の事態を避けられた。
リバプールの起用の面ではケイタの効果が薄く、サラーは大外に張り続ける時間が多かった。ケイタは失点に2つとも関係していた事もあまり印象は良くなかったかと
シメオネは1-2の時点でロディを準備していたが、むしろどうするつもりだったのか、という気がする。結果オーライだがあの時点でそこを替えるメリットはあまりなかったのではないか
●後半
アトレティコはヒメネスinで真ん中に
コンドグビアお疲れさん。彼を3CBの中でも真ん中にしたのは、左に置いてサラーとの対人に晒されるよりはまだマシ、という配慮だっただろう。チームの必要に迫られての起用だったし、正直試合後に彼が起用法に文句を言っても責められない使い方だったが、彼は彼のプロフェッショナルを見せたと思う。(インタビューとか読んでないから知らないけど)
決して効果的に機能はしなかったが、最大限の敬意は表すべき45分だった。
リバプールはファビーニョin
ケイタは難しいタスクだった。
双方のわかりやすい改善ポイントを変更してきて、後半戦に
・グリーズマンの退場
52分のグリーズマンの一発退場でまた潮目が変わる。目まぐるしい試合だ
足を伸ばした先にフィルミーノの顔があり、不運な退場だった。残念だが仕方ない。
しかし数的優位になってもリバプールのペースは上がらずボールは右往左往。人と人の間を使えず、アトレティコのコンパクトなゾーンに侵入出来ない。退場者が出たアトレティコはさらにラインを下げた事で裏のスペースを使われる事態を避け、奪ったボールをなんだかんだで相手PAまで進めて可能性を残した。謎の10人慣れ
・カラスコの裏が心配
ただ、アトレティコはカウンターでカラスコが突っ走るしか選択肢がない事が多く、ヘンダーソンに背後を使われるリスクが高まる。
疲労もあり、早く選手交代したかったが、エルモソが痛んだりと状況が変わる中でなかなかボールが途切れず、結局そのエルモソの背後にアバウトに入ってきたボールでジョタをひっ倒しPK献上。お粗末と言えばお粗末だったが、あまり責めたくもない
アトレティコもセットプレーからヒメネスの名演技でPKを取り返したかと思われたが迫力と人徳が足らず、VARで取り消し。これで勝負あった
●試合結果
退場もあり、PKもあり。
双方に思ったような試合にならなかったと思うが、アトレティコはホームでポイントを逃す結果となった。
どこまでチームを褒めるべきか、どこまで相手のコンディションに配慮するべきかに悩む試合結果だが、リバプールが良くなかったという事は紛れもない。
守備に関してはリバプールは特殊なので、彼らを止められないからといってアトレティコの取り組みが悪いという話にはならない。次の対戦のプランは必要だけどね。
攻撃でフェリックスの質が通用した事と、デ・パウルの奪回即裏パスがここでも効いたのはポジティブ。デ・パウルは崩しのフェーズでカラスコとシンクロするシーンもあり、何かを掴んだ様子。コケが隣のポジションにいる限り、どんどんボールにチャレンジして良い。
エルモソの守備については戦前からわかりきっていた事で、そこに敗因を求めるのは面白くない。なんであんな対応をしたのか疑問はもちろんあるが、どんなものであれ彼のポカなど正直ある程度は折り込み済だ。リーグ戦で指摘するのはわかるがCLの大一番でスタメンで使っておいて彼を敗因にしても。
"その役割が出来る選手が彼しかいない"のは別にエルモソの責任でもない。何も気にせずチャレンジしてほしい。
裏でミランが敗れ、4ポイントでアトレティコとポルトが並んだ。リバプールの首位抜けはほぼ決まって、2位争いとなる。
アトレティコは次が最大の鬼門となるアウェーのアンフィールドでのリバプール戦。ここで1ポイント取れると大きい。それと、アトレティコが負けるとリバプールが残り2試合でメンバーを大幅に落とす可能性が出てくる。なんとかギリギリ5節ポルト戦までは全力で戦ってほしいので、ここで踏み留まらせたい
9/15
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 2-3 リバプール
得点者
【アトレティコ】’20 ’34 グリーズマン
【リバプール】’8 ’78 サラー ’13 ケイタ
●ピックアッププレー
34分アトレティコの同点ゴールの場面。
リバプールのセットプレーをオブラクがキャッチしてビルドアップ。
ここで、なんとなくコケの位置が低かったが、トリッピア側から進めずやり直したボールを簡単にサイドチェンジした。今になって思うとずいぶん簡単にエルモソをフリーにさせてくれたなという感じだが、無警戒だったのだろうか?
あまりにもフリー。ケイタは何も消せておらず、アレクサンダー=アーノルドはカラスコに引っ張られ、フェリックスにクリーンなボールが入る
あとはフェリックスがケイタ、マティプ相手に前進してグリーズマンのパーフェクトなフィニッシュに繋げた。
フェリックスとグリーズマンで取った見事なフィニッシュ、と思っていたがあらためて細部を見返すと、別にスピード感のあるカウンターではなかったにも関わらず、リバプールの守備もなかなかお粗末だったなと。
前3枚残っているのにエルモソに随分簡単にボールを持たせてくれた。
もちろんフェリックスの反転とキープ、グリーズマンのファーストタッチとフィニッシュは素晴らしかった。こういう得点は増えてほしいな
●ピックアップ選手
グリーズマン
2発。特に2点目はまさにグリーズマン。守備も効いており、チームの中心だった。退場は残念だったが仕方ない
フェリックス
足下でボールを受けて個人で打開。カウンターで単独でフィニッシュまで。良い出来だった。もう少しでヒーローになれる
デ・パウル
対人で止めて裏パス。彼の特徴が出た。
CLに値する選手である事を証明した
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